【完結】アシュリンと魔法の絵本

秋月一花

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3章:アシュリンと再会。

アシュリンとリーリクル。 9話

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 アシュリンが水の精霊の加護かごを受けた、ということにメイソンとロッティは驚いていた。

 人それぞれ、得意な属性がある。だが、他の属性だって使えないわけではない。

 しかし、以前アシュリンは自分に水の属性は無理なんじゃないかと弱音を吐いていたことがあった。だからこそ、水の精霊の加護を受けたことに目を丸くしてしまったのだ。

「ぼくがサポートするから、安心して」
「うん!」

 どうやってサポートするつもりなんだろう? と不思議に思いながらも、アシュリンは湖の水を浮かせてみる。

「大きな水の球、作れる?」
「やってみる!」

 ぷかぷかと浮いている水を丸くなるようにイメージして、形を整えていく。思っていた以上に大変だ。魔力がじりじり減っていく感じがして、少し身体がふらついた。

 そっと、ラルフが彼女の身体を支える。

「そのまま、球体を二つにするイメージで……」

 耳元でささやかれて、アシュリンはびっくりしてラルフを見た。支えられた手から、ぽかぽかとしたなにかが、身体に入り込んでいて今ならなんでもできそうだと水の球体に集中した。

 ゆっくりと、大きな球体は二つにわかれていく。

「もっと細かくできる?」
「うんっ!」

 細かい作業は苦手だけど……今なら、できる気がした。

 もっともっと細かく、小さな球体を作り上げていく。

 だが――その集中力がぷつりと切れて、球体たちは一瞬で湖の中に戻り水しぶきを上げた。

 水しぶきが太陽の光を反射して、きらりと輝くのを見て、アシュリンは「あーあ」と肩を落とす。

「すごいじゃないか、アシュリン! 前に来たときはあんなに細かい水の球体を作れなかったじゃないか!」
「素晴らしいものを見せてもらったわ、ありがとう、アシュリン」

 孫娘の魔法の成長を喜ぶメイソンとロッティに、アシュリンの気持ちは少し持ち直したらしく、「そうかな?」と頬を染めて後頭部に手を置いた。

「……それにしても、精霊の加護ってすごいね。あんなに細かく球体を作れるようになるなんて……」

 アシュリンは自分の両手を見つめて、信じられないとばかりに言葉をこぼした。ラルフがぽんぽんと彼女の肩を叩き、ふっとやさしく微笑む。

「そうだね」

 ラルフの言葉に、メイソンがなにかを言いたそうに口を開いたが、ロッティに止められた。

 二人は気付いていた。ラルフのサポートがあってこそ、アシュリンはあそこまで細かい魔法が使えたということに。

 ラルフは二人を振り返り、口元に人差し指を立てた。

 ――内緒ですよ。

 そう、言葉にせず口を動かす。それを見てメイソンとロッティは小さく眉を下げて、こくりと首を縦に動かす。

「それじゃあ、ボートにでも乗ろうか?」
「乗るー!」

 アシュリンは右手を大きく上げて、元気よく返事をした。
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