21 / 70
2章:異存
幽霊屋敷と異界 2話
しおりを挟む
「――なかなか無謀なことをする。あの幽霊屋敷は町では有名な心霊スポットだというのに」
腕を組んで呆れたように佑心が息を吐いた。
「そんなに有名なのか?」
この町にきたばかりの紬が佑心に視線を移す。彼はこくりとうなずいて、ピッと人差し指を立てて幽霊屋敷のことを語り出す。
「あの幽霊屋敷はね、『雪女に喰われた人』が住んでいたらしい」
「雪女に、喰われた?」
「ああ。本当かどうかはわからないが、とある男が帰宅中に雪女に出会い、彼女の美貌に一目惚れして家に招き、男と雪女は結婚して、子どもができた」
淡々と語る佑心に、紬は怪訝そうに表情を歪めた。
「しかし、妊娠中に男は浮気をして、それに激怒した雪女が男を凍らせて自分の世界に帰っていた――……という噂がある」
「……それ、雪女じゃなくても、怒るのでは?」
「本当にね!」
佑心はくつくつと喉を震わせて笑う。そして、ゆっくりと息を吐いて頬をかく。
「この話には続きがある。架瑠くん、知っているかい?」
いきなり佑心に問われて、架瑠はハッとしたように顔を上げて彼に視線を向けた。
「確か……、雪女がその屋敷から異界に帰ったから、その扉を開くと雪女のいる異界に通じる――……でしたっけ?」
「そう! 逆に言えば、この異常気象――異界が原因ではないかなっ?」
目をキラキラと輝かせながら、佑心はぐっと拳を握った。オカルト話になると一気に生き生きとした様子になる彼に、紬は目を大きく見開く。
「……あんた、本当にオカルトが好きなんだな……」
「オカルト研究部の部長になにを言っているんだい、九鬼くん」
胸を張る佑心に、紬はさっと視線をそらした。これ以上言葉を重ねようとはしなかったので、架瑠は集まった三人を見渡した。
「それで、これからどうするんですか?」
「その幽霊屋敷にいって、確かめてみよう! これは大きなチャンスだよ!」
「扉を開けたら急に異界、かもしれませんよ?」
「さぁ、それはいってみないとわからない。……というわけで、オカルト研究部、幽霊屋敷にレッツゴー!」
ハイテンションな様子に、架瑠は茉莉と視線を合わせて苦笑を浮かべる。
佑心がこうなってしまっては、自分たちには止められない。
架瑠は諦めたように一つ、ため息を吐いた。
「……大丈夫なのか、この部活」
ぽつりとつぶやいた紬の言葉が、部屋の中に響く。
「うーん、まぁ、大丈夫だと思うよ。今までも羽井田先輩がいろんな魔術? を試して、なにもなかったし……」
架瑠が一年生の頃を思い出しながら、紬に答える。あの頃は、ほぼ毎日怪しげな儀式を見ていた気がして、両肩を上げた。
腕を組んで呆れたように佑心が息を吐いた。
「そんなに有名なのか?」
この町にきたばかりの紬が佑心に視線を移す。彼はこくりとうなずいて、ピッと人差し指を立てて幽霊屋敷のことを語り出す。
「あの幽霊屋敷はね、『雪女に喰われた人』が住んでいたらしい」
「雪女に、喰われた?」
「ああ。本当かどうかはわからないが、とある男が帰宅中に雪女に出会い、彼女の美貌に一目惚れして家に招き、男と雪女は結婚して、子どもができた」
淡々と語る佑心に、紬は怪訝そうに表情を歪めた。
「しかし、妊娠中に男は浮気をして、それに激怒した雪女が男を凍らせて自分の世界に帰っていた――……という噂がある」
「……それ、雪女じゃなくても、怒るのでは?」
「本当にね!」
佑心はくつくつと喉を震わせて笑う。そして、ゆっくりと息を吐いて頬をかく。
「この話には続きがある。架瑠くん、知っているかい?」
いきなり佑心に問われて、架瑠はハッとしたように顔を上げて彼に視線を向けた。
「確か……、雪女がその屋敷から異界に帰ったから、その扉を開くと雪女のいる異界に通じる――……でしたっけ?」
「そう! 逆に言えば、この異常気象――異界が原因ではないかなっ?」
目をキラキラと輝かせながら、佑心はぐっと拳を握った。オカルト話になると一気に生き生きとした様子になる彼に、紬は目を大きく見開く。
「……あんた、本当にオカルトが好きなんだな……」
「オカルト研究部の部長になにを言っているんだい、九鬼くん」
胸を張る佑心に、紬はさっと視線をそらした。これ以上言葉を重ねようとはしなかったので、架瑠は集まった三人を見渡した。
「それで、これからどうするんですか?」
「その幽霊屋敷にいって、確かめてみよう! これは大きなチャンスだよ!」
「扉を開けたら急に異界、かもしれませんよ?」
「さぁ、それはいってみないとわからない。……というわけで、オカルト研究部、幽霊屋敷にレッツゴー!」
ハイテンションな様子に、架瑠は茉莉と視線を合わせて苦笑を浮かべる。
佑心がこうなってしまっては、自分たちには止められない。
架瑠は諦めたように一つ、ため息を吐いた。
「……大丈夫なのか、この部活」
ぽつりとつぶやいた紬の言葉が、部屋の中に響く。
「うーん、まぁ、大丈夫だと思うよ。今までも羽井田先輩がいろんな魔術? を試して、なにもなかったし……」
架瑠が一年生の頃を思い出しながら、紬に答える。あの頃は、ほぼ毎日怪しげな儀式を見ていた気がして、両肩を上げた。
0
あなたにおすすめの小説
終焉列島:ゾンビに沈む国
ねむたん
ホラー
2025年。ネット上で「死体が動いた」という噂が広まり始めた。
最初はフェイクニュースだと思われていたが、世界各地で「死亡したはずの人間が動き出し、人を襲う」事例が報告され、SNSには異常な映像が拡散されていく。
会社帰り、三浦拓真は同僚の藤木とラーメン屋でその話題になる。冗談めかしていた二人だったが、テレビのニュースで「都内の病院で死亡した患者が看護師を襲った」と報じられ、店内の空気が一変する。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる