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2章:異存
怪異の元凶 1話
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翌日。やっぱり異界に取り込まれ、架瑠は頭を抱える。
「――この部室だけ異界に取り込まれるって、おかしいよね?」
「おかしいどころか、こうも連日取り込まれるほうが変だろう。元凶を叩かないと終わらないんじゃないか、これ」
紬が呆れたように肩をすくめながら、すっかりおなじみになった『よこせ』『かける』『にげて』の文字を眺めた。
「ワタシは毎日怪異に触れられて、嬉しいけどね!」
「……そこで喜んじゃうんですね、羽井田先輩……」
佑心は相変わらず怪異に瞳を輝かせているし、茉莉もだいぶ慣れてしまったのか、がくりと肩を落として言葉を紡ぐ。
「元凶って言っても……」
怪異に取り込まれてから、何度か霊視をしているが、視えるものは同じだ。
べったりと血で濡れているナイフ。あれがなにを意味しているのか、架瑠にはわからなかった。――いや、正確には意味を知ろうとはしなかった。
ナイフを見ると、心臓が早鐘を打つ。まるで、『思い出すな』と警告しているように。
「とりあえず、今日は少し様子を見てみるか」
「いつもは紬に焼いてもらって、帰還するもんね」
血で出来た人間の手が襲いかかってきたのは、初日だけ。それ以降は怪異に取り込まれてすぐに、紬の炎で黒板を燃やしてもらい、帰還していた。
紬の炎は黒板を焼くが、現実世界に戻ると黒板は綺麗なままだ。血文字もなく、燃えてもなく、本当にオカルト研究部の部室だけが現実世界と切り離されてしまう。そんな変な怪異のようだ、と架瑠はため息を吐く。
「では、今日は少し時間を潰そうか」
「大丈夫なんでしょうか……」
不安げな茉莉に、佑心は彼女に近付いて、その背中を軽く叩いて励ました。
「ワタシたちは氷華界からも帰還したんだよ? さらにこの怪異に取り込まれてからも無事に帰還している! きっと神は我々の味方だよ!」
「か、神さま……ですか?」
こくり、と大きく首を縦に動かす佑心に、茉莉は目を丸くする。
佑心の言葉にびっくりしたのは、茉莉だけではない。
架瑠も紬もぎょっとしたように目を見開いていた。
「……神さまが味方なら、怪異に巻き込まれないと思いますが……?」
架瑠の言葉に、紬と茉莉は同意のうなずきを返した。それを見た佑心は、茉莉の背中から手を離し、自身の腰に手を添えるとにんまりと微笑む。
「神はきっと、ワタシたちの成長を願っているんだよ」
「成長……?」
「そう、これは神から与えられた試練! 乗り越えることで、神から祝福を受けられるのさ! ……そう考えたほうが、気が楽ではないかい?」
ぐっと拳を握り熱く語る佑心に、架瑠たちは目をぱちくりと瞬かせた。
「――この部室だけ異界に取り込まれるって、おかしいよね?」
「おかしいどころか、こうも連日取り込まれるほうが変だろう。元凶を叩かないと終わらないんじゃないか、これ」
紬が呆れたように肩をすくめながら、すっかりおなじみになった『よこせ』『かける』『にげて』の文字を眺めた。
「ワタシは毎日怪異に触れられて、嬉しいけどね!」
「……そこで喜んじゃうんですね、羽井田先輩……」
佑心は相変わらず怪異に瞳を輝かせているし、茉莉もだいぶ慣れてしまったのか、がくりと肩を落として言葉を紡ぐ。
「元凶って言っても……」
怪異に取り込まれてから、何度か霊視をしているが、視えるものは同じだ。
べったりと血で濡れているナイフ。あれがなにを意味しているのか、架瑠にはわからなかった。――いや、正確には意味を知ろうとはしなかった。
ナイフを見ると、心臓が早鐘を打つ。まるで、『思い出すな』と警告しているように。
「とりあえず、今日は少し様子を見てみるか」
「いつもは紬に焼いてもらって、帰還するもんね」
血で出来た人間の手が襲いかかってきたのは、初日だけ。それ以降は怪異に取り込まれてすぐに、紬の炎で黒板を燃やしてもらい、帰還していた。
紬の炎は黒板を焼くが、現実世界に戻ると黒板は綺麗なままだ。血文字もなく、燃えてもなく、本当にオカルト研究部の部室だけが現実世界と切り離されてしまう。そんな変な怪異のようだ、と架瑠はため息を吐く。
「では、今日は少し時間を潰そうか」
「大丈夫なんでしょうか……」
不安げな茉莉に、佑心は彼女に近付いて、その背中を軽く叩いて励ました。
「ワタシたちは氷華界からも帰還したんだよ? さらにこの怪異に取り込まれてからも無事に帰還している! きっと神は我々の味方だよ!」
「か、神さま……ですか?」
こくり、と大きく首を縦に動かす佑心に、茉莉は目を丸くする。
佑心の言葉にびっくりしたのは、茉莉だけではない。
架瑠も紬もぎょっとしたように目を見開いていた。
「……神さまが味方なら、怪異に巻き込まれないと思いますが……?」
架瑠の言葉に、紬と茉莉は同意のうなずきを返した。それを見た佑心は、茉莉の背中から手を離し、自身の腰に手を添えるとにんまりと微笑む。
「神はきっと、ワタシたちの成長を願っているんだよ」
「成長……?」
「そう、これは神から与えられた試練! 乗り越えることで、神から祝福を受けられるのさ! ……そう考えたほうが、気が楽ではないかい?」
ぐっと拳を握り熱く語る佑心に、架瑠たちは目をぱちくりと瞬かせた。
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