オカルト研究部員の非日常な日常

秋月一花

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2章:異存

怪異の元凶 6話

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「なんだ、今の音!?」

 架瑠かけるは急いで扉を開けようとしたが、ビクともしない。

 鍵がかかっていることに気付き、開錠しようとしたがまったく動かず、閉じ込められたことに気付く。

「どけ!」

 つむぎの言葉に扉から離れる。彼が繰り出した炎が扉に命中し、燃え上がる――はずだった。

 炎が消え、紬は扉を開けようとしたがやはりビクともしない。

「紬の炎が効かない……!?」

 信じられないとばかりに目を大きく見開く架瑠に、紬はもう一度扉を開けようとする。だが、結果は同じだ。

 黒板の血文字は『ミィツケタ』と『いのち』『ちょうだい』が大部分をしめ、隅に『かける』『にげて』と小さくつづられている。

「……ッ」

 架瑠の瞳が淡く光る。自分の意志とは関係なく、なにかがえ始めた。

 辺り一面が血の海になり、ギラリとしたナイフの刃、ナイフにべったりと塗られている赤い血。

 ――あの夢と、同じ光景。だが、確実に夢ではない。

「――ぐ、ぅ……」

 苦しそうに呻く架瑠に、紬がハッとしたように彼の肩に手を置く。

「お前……」

 紬は、架瑠の目から流れるものに目をみはる。――彼は、血の涙を流していた。

 本人は気付いていないのか、気にする余裕がないのか、ただ真っ直ぐに黒板を見つめている。

「どうしておれを狙うんだ?」

 黒板の血文字に問いかける。血文字が揺れて、文字が綴られた。

 その文字は――……

「『お前の眼がほしい』?」

 自分の眼に、なんの価値があるというのか。この世ならざるモノが視えるせいで、いつもなにかにまとわりつかれていた。

 蓮也れんやに出会ってからは、彼がその都度祓ってくれていた。しかし、いつの間にかまた架瑠についてきて、いたちごっこが続いていたことを思い出し、架瑠は眉間に皺を刻む。

 修行を始めてから少しはマシになったが、それでも視えることでつい考えてしまうことがあった。

 交通事故で亡くなった両親。なぜ、両親の顔が思い出せないのだろうか、と。

 黒板の血文字は段々と黒ずんでいく。どろりと流れて、ぴちょん、と音がした。

 垂れた血から人間ヒトの手が現れ、勢いよく架瑠の首に手を伸ばす。

 紬が炎を繰り出そうとしたが、一瞬遅かった。

 首を掴まれた架瑠は、その力の強さに声にもならない声を紡ぐ。

「架瑠!」

 紬には興味がないのか、手はぐっと架瑠の喉を圧迫していった。首を掴んでいる人間の手をギリギリと爪で引っ掻くが、意味はないようだ。

 首を掴まれている状態で炎を使ってしまえば、架瑠を巻き込むかもしれない。

 紬は意を決したように架瑠の首を掴んでいる人間の手を、ぐっと力を込めて引っ張った。
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