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3章:探求
『架瑠』 1話
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血の海から現れた『架瑠』は、全身を鮮血で濡らしていた。髪や顔にこびりつき、そこだけ黒く変色している。
もう何年も、そのままであったように。
「誰、だ……?」
『おれはお前さ。お前が封じている記憶を持つモノ』
にぃ、と『架瑠』の口角が上がる。眉をひそめ、不愉快そうな表情を浮かべながら。そのアンバランスな笑みに、架瑠は顎や唇を震わせた。
(封じている記憶――……?)
怪訝そうに眉根を寄せる架瑠に、『架瑠』は腰に手を添えてぬちゃり、ぬちゃりと粘り気のある足音を立てながら彼の『両親』の真ん中に立つ。
『お前は本当に、救いようがないな』
くくっと喉奥で笑う『架瑠』。顔のない両親の腹部から、鋭いナイフが現れ、架瑠の頬をかすめる。
痛みよりも、熱さを感じた。つぅ……と流れる自身の血に、架瑠はぐっと拳を握った。
『かわいそうに。こんなヤツを庇って死ぬなんて!』
バッと両手を広げて、『架瑠』は高らかに声を上げる。
庇って、死ぬ? ――両親が? 困惑の表情を浮かべている架瑠に対し、今度は呆れたように目を細めた。
『まだ思い出さないのか? お前が五歳の頃、なにがあったのか――……』
かわいそうに、と『両親』に近付いてその肩を抱く姿に、ズキリ、と頭の奥が痛む。
立っていることもままならなくなり、びしゃっと派手な音と飛沫を上げて血の海にうずくまった。
ズキン、ズキン、と頭が痛む。思い出すことを拒むように。
ドクン、ドクン、と鼓動が跳ねる。それを思い出してしまったら、受け入れることができるのかどうか、わからなくて。
はぁ、はぁ、と架瑠の息が浅くなっていく。頭と心臓が締め付けられる痛みに、ぐっと眉間に皺を刻んだ。
そんなとき――ぽとり、となにかが落ちた。いつも胸元のポケットに入れている、両親の形見が入った水色の袋。
『お前のせいでお前のせいでお前のせいでお前のせいでお前のせいでお前のせいでお前のせいでお前のせいでお前のせいでお前のせいでお前のせいでお前のせいでお前のせいでお前のせいで……』
架瑠を呪うような言葉を、再び『架瑠』が紡ぐ。
水色の袋は血の海に落ちたせいで、赤く染まっていき、架瑠は小さく「ぁ」とつぶやいた。
両親の形見を、掬い上げなくては。そう思って手を伸ばすと、血の色に染まった袋が淡い輝きを放ち――……
「違うっ!」
声を荒げながら、架瑠の前に現れたのは、伊吹だった。
「い、ぶき……さん……?」
「しっかりして、るーくん! キミが闇に呑み込まれて、どうするの!」
叱咤するように架瑠を見据える伊吹に、架瑠は大きく目を見開く。
『――いいや、違わない。両親はおれのせいで死んだんだ』
もう何年も、そのままであったように。
「誰、だ……?」
『おれはお前さ。お前が封じている記憶を持つモノ』
にぃ、と『架瑠』の口角が上がる。眉をひそめ、不愉快そうな表情を浮かべながら。そのアンバランスな笑みに、架瑠は顎や唇を震わせた。
(封じている記憶――……?)
怪訝そうに眉根を寄せる架瑠に、『架瑠』は腰に手を添えてぬちゃり、ぬちゃりと粘り気のある足音を立てながら彼の『両親』の真ん中に立つ。
『お前は本当に、救いようがないな』
くくっと喉奥で笑う『架瑠』。顔のない両親の腹部から、鋭いナイフが現れ、架瑠の頬をかすめる。
痛みよりも、熱さを感じた。つぅ……と流れる自身の血に、架瑠はぐっと拳を握った。
『かわいそうに。こんなヤツを庇って死ぬなんて!』
バッと両手を広げて、『架瑠』は高らかに声を上げる。
庇って、死ぬ? ――両親が? 困惑の表情を浮かべている架瑠に対し、今度は呆れたように目を細めた。
『まだ思い出さないのか? お前が五歳の頃、なにがあったのか――……』
かわいそうに、と『両親』に近付いてその肩を抱く姿に、ズキリ、と頭の奥が痛む。
立っていることもままならなくなり、びしゃっと派手な音と飛沫を上げて血の海にうずくまった。
ズキン、ズキン、と頭が痛む。思い出すことを拒むように。
ドクン、ドクン、と鼓動が跳ねる。それを思い出してしまったら、受け入れることができるのかどうか、わからなくて。
はぁ、はぁ、と架瑠の息が浅くなっていく。頭と心臓が締め付けられる痛みに、ぐっと眉間に皺を刻んだ。
そんなとき――ぽとり、となにかが落ちた。いつも胸元のポケットに入れている、両親の形見が入った水色の袋。
『お前のせいでお前のせいでお前のせいでお前のせいでお前のせいでお前のせいでお前のせいでお前のせいでお前のせいでお前のせいでお前のせいでお前のせいでお前のせいでお前のせいで……』
架瑠を呪うような言葉を、再び『架瑠』が紡ぐ。
水色の袋は血の海に落ちたせいで、赤く染まっていき、架瑠は小さく「ぁ」とつぶやいた。
両親の形見を、掬い上げなくては。そう思って手を伸ばすと、血の色に染まった袋が淡い輝きを放ち――……
「違うっ!」
声を荒げながら、架瑠の前に現れたのは、伊吹だった。
「い、ぶき……さん……?」
「しっかりして、るーくん! キミが闇に呑み込まれて、どうするの!」
叱咤するように架瑠を見据える伊吹に、架瑠は大きく目を見開く。
『――いいや、違わない。両親はおれのせいで死んだんだ』
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