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3章:竜の国 ユミルトゥス
スターリング領 2話
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◆◆◆
翌日、空は快晴。
まるで、私たちのことを歓迎してくれているみたい。
ローレンとチェルシーは私服、私も動きやすいドレスに着替えて朝食前に屋敷を出た。
馬車に乗って揺られること三十分ほど。
どんどんと中心部に近づいているのだろう。人々の賑やかな声が耳に届く。
馬車の窓から外を眺めると、市場が開かれているのか、とても人が多い!
「すごいですね……」
「早朝はいつもこんな感じだよ。朝市が開かれているから、結構賑やかなんだ」
朝市……! とじっくりと外を眺めていると、彼は「行ってみる?」と提案してくれた。
その言葉にパァッと表情を明るくさせて、こくりとうなずく。
「じゃあ、近くで降りて見てみよう」
「楽しみですわ」
近くに馬車をとめて、フィリベルトさまが先に降りる。
すっと手を差し伸べたので、その手を取って馬車を下りた。
そのあと、別の馬車に乗っていたローレンとチェルシーも降りてきて、私たちに近づいてくる。
「なんだかとっても賑やかですね!」
「どんなものが売られているのか、気になります」
私たちは今日一日、スターリング領を楽しもうと思い、気合を入れていろいろと準備をしたの。
歩きやすい服装に靴はもちろん、朝食も街でいただこうと思い、屋敷の食事の前に出発したのだ。
「ジェレミー、デリック、お前たちのほうがここら辺は詳しかったな?」
ローレンとチェルシーの隣には、スターリング領でフィリベルトさまの護衛をしていた騎士の二人。
サクリアナ王国で聞いていた、物語を書いている騎士がジェレミー、恋人を募集しているのがデリックだと紹介していただいたの。
ジェレミーはローレン、デリックはチェルシーの隣にいる。
ちらちらと彼女たちを見ているのは、どうやって声をかければいいのか悩んでいるから?
「うーん、なんだかいい匂いがしますね……」
「朝市でいろんなものを売っているので……チェルシーさんは、どんなものがお好きですか?」
チェルシーがくんくんと辺りの匂いを嗅いで、しみじみとつぶやいた。
すかさず、デリックが彼女の好みを聞き出そうとしている。
「美味しいものならなんでも! デリックさんは?」
「俺は貝類が好きですね。美味しいんですよ」
「わぁ、食べてみたいです!」
うん、私も食べてみたい。
なんて考えながら、彼女たちの会話を聞いて、心を和ませた。
その一方で、ジェレミーが目をキラキラとさせながら、ローレンと会話しようとがんばっている姿が視界に入る。
おそらく、ローレンのほうが年上ね。何歳なのかしら、彼。
「ローレンさんは、趣味をお持ちですか?」
「ええ。読書が趣味です」
「読書……あの、どんな本がお好きなのか、教えていただけますか?」
と、こちらもローレンのことを知ろうと、いろいろ質問していた。
私はフィリベルトさまを見上げる。
婚約者と、侍女たち、さらに彼の護衛たちと一緒に歩くのって、なんだかとても楽しいわ。
翌日、空は快晴。
まるで、私たちのことを歓迎してくれているみたい。
ローレンとチェルシーは私服、私も動きやすいドレスに着替えて朝食前に屋敷を出た。
馬車に乗って揺られること三十分ほど。
どんどんと中心部に近づいているのだろう。人々の賑やかな声が耳に届く。
馬車の窓から外を眺めると、市場が開かれているのか、とても人が多い!
「すごいですね……」
「早朝はいつもこんな感じだよ。朝市が開かれているから、結構賑やかなんだ」
朝市……! とじっくりと外を眺めていると、彼は「行ってみる?」と提案してくれた。
その言葉にパァッと表情を明るくさせて、こくりとうなずく。
「じゃあ、近くで降りて見てみよう」
「楽しみですわ」
近くに馬車をとめて、フィリベルトさまが先に降りる。
すっと手を差し伸べたので、その手を取って馬車を下りた。
そのあと、別の馬車に乗っていたローレンとチェルシーも降りてきて、私たちに近づいてくる。
「なんだかとっても賑やかですね!」
「どんなものが売られているのか、気になります」
私たちは今日一日、スターリング領を楽しもうと思い、気合を入れていろいろと準備をしたの。
歩きやすい服装に靴はもちろん、朝食も街でいただこうと思い、屋敷の食事の前に出発したのだ。
「ジェレミー、デリック、お前たちのほうがここら辺は詳しかったな?」
ローレンとチェルシーの隣には、スターリング領でフィリベルトさまの護衛をしていた騎士の二人。
サクリアナ王国で聞いていた、物語を書いている騎士がジェレミー、恋人を募集しているのがデリックだと紹介していただいたの。
ジェレミーはローレン、デリックはチェルシーの隣にいる。
ちらちらと彼女たちを見ているのは、どうやって声をかければいいのか悩んでいるから?
「うーん、なんだかいい匂いがしますね……」
「朝市でいろんなものを売っているので……チェルシーさんは、どんなものがお好きですか?」
チェルシーがくんくんと辺りの匂いを嗅いで、しみじみとつぶやいた。
すかさず、デリックが彼女の好みを聞き出そうとしている。
「美味しいものならなんでも! デリックさんは?」
「俺は貝類が好きですね。美味しいんですよ」
「わぁ、食べてみたいです!」
うん、私も食べてみたい。
なんて考えながら、彼女たちの会話を聞いて、心を和ませた。
その一方で、ジェレミーが目をキラキラとさせながら、ローレンと会話しようとがんばっている姿が視界に入る。
おそらく、ローレンのほうが年上ね。何歳なのかしら、彼。
「ローレンさんは、趣味をお持ちですか?」
「ええ。読書が趣味です」
「読書……あの、どんな本がお好きなのか、教えていただけますか?」
と、こちらもローレンのことを知ろうと、いろいろ質問していた。
私はフィリベルトさまを見上げる。
婚約者と、侍女たち、さらに彼の護衛たちと一緒に歩くのって、なんだかとても楽しいわ。
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