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中編
しおりを挟む「あの、エリオット殿下、マリー様の話を聞いても……」
良いのでは、と口にしようとしたら、マリー様からめっちゃ睨まれた。怖いわ! ちょっとヒロインがそんな顔しないでよ! 私の中のマリーちゃんは天真爛漫な天使なんだから!
「――聞いて下さい! エリオット殿下! エリオット殿下はカリスタ様に騙されているんです!」
そんなセリフ原作にないよ!? 何回ノーマルエンドを繰り返したと思っているんだ。おかげで技術系のスキルもコンプリしたわ! そしてそれを活かして学年二位の成績にまでなったんだから! ちなみに学年首席は毎年エリオット殿下だった。一度も勝てたことがない。ちょっと悔しい。だってあれだけやり込んでいたのに!
「カリスタがわたしを騙す? なんのために?」
全くだ。いや、いや、彼女の話もちゃんと聞いてあげてください、エリオット殿下……。悪役令嬢として、やれることはやったハズだよね、私。流石に命の危険がある行いはしていないけど……。
「それは……そうっ! 私を嫌っているから!」
「カリスタはマリー嬢が嫌いなのか?」
そこで私に振らないでもらえませんか、殿下。私はあ~ともう~とも言えない言葉を頭の中で繰り返して、ばっと扇で口元を隠した。
「好きも嫌いもありませんわ。マリー様、私があなたに忠告して差し上げたのに、まだ理解されていないようですわね」
ああ、口から悪役令嬢っぽい口調で言葉が出て来る! イメトレしておいたおかげね! さて、これどっちがどっちをいじめているように見えるのかしら。困った、真面目に困った。って言うかこの態勢おかしくない? なんで悪役令嬢の私がエリオット殿下に抱きしめられているわけ? なんで殿下VSヒロインになっているわけ? ダメだ、何も考えられない……!
「忠告?」
「そ、そうですわ! 私、カリスタ様から怖い顔で『あまり男性に近付かないほうがよろしいですわよ』と言われていたんです! おかしいですよね? 男性とも仲良くしたほうが学園生活は楽しいですもの!」
「……それは君が、婚約者の居る男性にばかり近付いたから、カリスタがその婚約者たちの代表として君に忠告したんじゃないか。調べはついているよ」
調べられていた、だと……!? 会場の人たちは、私たちにすっごく注目している。……やめてぇ。こっち見ないでぇっ! こんなイベントじゃないんだよー!
『カリスタ。君のことはとても良い婚約者だと信じていたのに、君はわたしを裏切ったんだね。マリーに危害を加えようとしたり、周囲の生徒と一緒になっていじめるとは……君を信じていたわたしがバカだった』
『そんな……! 殿下、違います! わたくしはただ……!』
『黙れ! 何も聞きたくない。カリスタ、君との婚約を破棄する! ……怖かったろう、マリー。もう君は、何も恐れることはないんだ』
『エリオット殿下……ありがとうございます……!』
こんな感じのイベントなんだよ、本来は!
おかしい、絶対おかしい。そりゃあ原作のカリスタはマリーに危害を加えようとしたわよ? 階段から突き落とそうとしたり、ぶん殴ろうとしたり、まぁほぼ未遂で終わってるんだけどね! カリスタの良いところは、周りの人たちが手を貸します! と言っても断って全部自分の力でやろうとするとこだ。
でもねでもね、そりゃあ自分でやろうとするから周りからバレバレになってね、卒業パーティーで婚約破棄を宣言されるんだけどね? ……そうなるように、私も頑張って来たつもりなんだけど――!?
流石に原作のように階段から落そうとしたり、ぶん殴ろうとはしなかったよ? 命の危険があるのはアウトだと思うし。なので、チクチクと嫌味……って言うか、正論を口にする機会はなぜか多かったから……まぁ、マリー様の目には私がマリー様を嫌っているように見えるでしょう。
「それに君は、あろうことかわたしを誘惑しようとした」
……え?
「だって、あんなに見つめられたら、どんな女性だってころっと行きますわ!」
「ころっと行かない女性がここに居るのだが?」
じーっと見つめられて、私は首を傾げる。
「それに見つめていたわけじゃない、睨んでいたんだ」
……待って、なぜエリオット殿下がマリー様を睨むのよ? もうわけがわからないよ……!
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