12年目の恋物語

真矢すみれ

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番外編2 規格外の恋物語

エピローグ

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 つきあい始めて一ヶ月後、気になって聞いてみた。

「先輩、なんで、わたしの告白にOKしたんですか?」

 先輩は、逆に真顔で聞き返してきた。

「あれ、やっぱり告白だったんだよね?」

「先輩、相変わらず、失礼ですね」

「ボクに失礼なことを言わせるなんて、寺本だけだよ」

 先輩は笑う。



 最近、「寺本さん」から「さん」が取れた。



「で?」

「ん? なに?」

「なに、じゃなくて、だから、なんで告白にOKしたんですか? って」

「ああ」

 先輩は、まじまじとわたしの顔を見た。
 それから、半分笑いながら言った。

「寺本、面白いから」

「…………先輩」

「にらむなよ。ほめてるんだからさ」

「へえ~」

 先輩はわたしの頭にポンと手をおいて、にっこり笑った。



 陽菜に見せる優しい穏やかな笑顔でもない、世間のみなさまに見せるような優等生の笑顔でもない、他の誰にも見せることのない、いたずらっこのような素の笑顔。
 わたしにだけ見せてくれる、素の表情。

「先輩、好きです」

「ありがとう」

 先輩はまた、面白そうに笑った。

「ボクも寺本のこと、好きだよ」

 え!?
 思いもかけない言葉にポカンとしてると、先輩はくすくす笑った。

「あ、もう! からかって~」

「いや。ボクは嘘は言わない」

 それは陽菜の次に、かも知れない。
 そう思いながらも、顔が赤くなるのを感じた。



 ドラマチックでもなんでもない、小さな小さな恋物語。
 ちょっとだけ普通ではない、規格外の恋物語。
 わたしと先輩の恋物語は、きっとまだ始まったばかり。



 これから、まだまだ続いていく予定にしている。


 《 完 》
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