12年目の恋物語

真矢すみれ

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13年目のやさしい願い

29.本当の言葉2

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「……ちゃん、……陽菜ちゃん! ……大丈夫?」

 ハッとして顔を上げると、目の前に心配そうな表情の一ヶ谷くん。
 知らず知らずの内に自分の思考に浸っていた。最近、こういうことが多い。
 もっとしっかりしなきゃ、とギュッと拳を握りしめた。

「……大丈夫。ごめんね」

「いや、オレはいいんだけど。もし、気分悪いんだったら、」

「違うの。……あの、いろいろ思い出して、考えちゃって」

「なら、いいんだけど。でも、ムリしないでね」

「ありがとう。……続き、聞かせて」

 一ヶ谷くんは、わたしの目をじっと見て、わたしが笑顔を浮かべると、ようやくホッとしたように続きを話し出した。

「それでね、入学式の日、裏口で陽菜ちゃんを見つけた時、オレ、運命だって思ったんだ」

「……え? 運命?」

「運命って言うか、……そう、運命の神様がオレにチャンスをくれたって感じかな」

 その時の興奮を思い出したのか、一ヶ谷くんはどこか嬉しそうだった。

「同じ学校に通って、遠くから見るだけでもいいって思ってた。もし声が聞けたら、きっと、すごく嬉しいだろうなって思ってた。それだけで、きっと幸せだと思ってたんだ。でも、実際に入学式の前にあんなところで会ったらもうダメだった。運命の神様に、はなから諦めるんじゃなくって、ダメ元でガンバってみろって言われた気がしたんだ」

 一ヶ谷くんは、ふうっとまた長く息を吐いた。

「ごめんね。初対面のフリして」

「……ううん」

「もうね、ムリなんだってのは、よく分かった。ちゃんと諦めるよ。だけど本当は陽菜ちゃんの顔が気に入ったとか一目惚れとか、そんなんじゃないんだって……それだけは言いたかった」

 そこまで話すと、一ヶ谷くんはようやくホッとしたように笑顔を浮かべた。

「ありがとう」

 そう言うと、一ヶ谷くんは苦笑した。

「陽菜ちゃん、お礼言うの早すぎ」

「え?」

「って言うか、何にお礼言ってるの?」

「……話してくれて、ありがとう、かな」

「好きになってくれて、ありがとう、じゃないの?」

 その言葉に絶句していると、一ヶ谷くんはクスリと笑った。

「冗談冗談。困った顔しないで」

 それから、一ヶ谷くんは小さくため息を吐いた。

「って、そんな話をしてる場合じゃないね」

 急に真顔になった一ヶ谷くん。
 その「そんな話をしてる場合じゃない」という言葉が、ふと頭に残った。

「……あ!」

「え? 何? どうしたの?」

「一ヶ谷くん、学校は!?」

 そう。一ヶ谷くんも制服を着ていた。
 カナが遅刻しないように出た後に来た一ヶ谷くん。
 少し前に、始業時間を過ぎてしまった。

「あはは。何かと思った。大丈夫。学校、電話しといたし」

「……なんて?」

「登校途中に腹が痛くなったから、トイレ寄って行きます。遅れるけど心配しないで下さい」

「……トイレ、って」

「これならダメって言えないでしょ?」

 真顔で言われたその言葉がおかしくて、思わず声を上げて笑ってしまった。
 ひとしきり笑った後、一ヶ谷くんはボソリと言った。

「……こっからのが、正直、話しにくいんだけどさ」

「もしかして、あの女の子の話?」

 一ヶ谷くんはゆっくりとうなずき、顔を上げると、意を決したように話し始めた。

「あの子、篠塚しのつか繭子まゆこって言うんだけど、オレが中学の時のクラブのマネージャーだった先輩」

「マネージャー?」

「うん。野球部のマネージャー。一つ上だから、陽菜ちゃんと同じ高二だね」

 大人っぽく見えたけど、同い年だったんだ。
 と、そこも気になったけど、野球部のマネージャーと言うのも、どうにもしっくり来なかった。みんながみんなそうという訳じゃないだろうと思いつつも、運動部のマネージャーなんて言うと、お世話好きなしっかり者というイメージがある。あの時の彼女からは想像しがたい。

「やっぱり、違和感ある?」

 わたし、変な顔してたのかな?
 うなずくと、一ヶ谷くんは「だよなぁ」と笑った。

「野球部にカッコいい先輩がいてね、篠塚先輩、その人目当てにマネージャーやってたの」

「……なるほど」

「ははは。納得した?」

 一ヶ谷くんはうなずくわたしを見て、面白そうに笑った。

「で、高校もその先輩を追いかけて行ったんだけどね、先輩にはもう彼女ができててさ」

 そこで、一ヶ谷くんはいきなり話を変えた。

「篠塚先輩、広瀬……先輩に命を助けてもらったんだって?」

「え? ……うん。命までかは、分からないけど」

「篠塚先輩、運命だって言うんだよね。これは運命の出会いだって」

 心なしか、苦々しい表情の一ヶ谷くん。
 申し訳なさそうにわたしを見て、それから自嘲気味に笑った。

「ごめんね。運命の押し売りなんて、いらないよね。て言うか、迷惑だよね」

 ……迷惑?
 申し訳ないけど、正直なところ迷惑だと思った。けど、言えなかった。
 偶然の再会をチャンスだと捉えた一ヶ谷くんと、ムリヤリ他校に忍び込んで、保健室にまで寝込みを襲いに来た篠塚さん。
 篠塚さんのはきっと運命の押し売りだ。でも、一ヶ谷くんのは少し違う気がした。

「あのね? 聞いていい?」

「うん」

「何であんなことしたの?」

 篠塚さんと知り合いなのは分かった。だけど、知り合いだからって、わざわざ他校の生徒を学校に入れるような手引きをする? 見つかったら大問題だと思うんだけど……。
 いくら、わたしのことが好きだからって、カナが邪魔だからって、一ヶ谷くんがそこまでする人とも思えなかった。

「えっとね……」

 一ヶ谷くんは言いにくそうに視線をさまよわせた。

「オレの兄貴なの。篠塚先輩が好きだった人」

「……え? お兄さん?」

「二歳上の兄貴。オレがいたからってのもあって、高校行っても、兄貴、試合なんかは応援に来てくれてた。だから、篠塚先輩もマネージャ続けてたんだと思う。兄貴のこと、あれこれホントいろいろ聞かれたし」

 二つ上のお兄さん、篠塚さん、一ヶ谷くん。

 お兄さんが高校三年生、篠塚さんが二年生、一ヶ谷くんが一年生。

「でも、兄貴、高校で彼女ができたんだ。オレ、兄貴に彼女できたの知ってたけど、……そんなのイチイチ報告したりしないよね? 篠塚先輩が、部活引退してからだったしさ」

 一ヶ谷くんはため息を吐いた。

「あの人、結構強引なんだよ。この前、突然、電話かかってきたと思ったら呼び出されて。仕方なしに行ったら、あんたが彼女のことを教えてくれてたら、わたしは時間をあんなに無駄にしなかったし、別の高校に行っていたかも知れないのに……って詰め寄られて。それ、もう一年も前のことですよって言ったらさ、ようやく次の運命の人を見つけたから、協力しろって言うんだよ」

 一ヶ谷くんは、膝の上で拳をギュッと握りしめた。

「篠塚先輩、周到でさ、うちの学校に進学した知り合いから、広瀬先輩の情報、しっかり仕入れててさ。オレが陽菜ちゃんに片思い中で、壮絶なバトルが繰り広げられてるってのも、知ってたんだ」

 一ヶ谷くんは今にも泣き出しそうな顔で、わたしを見た。

「……悪魔のささやきって、本当にあるんだね。二人が別れたら、陽菜ちゃんが手に入るかも知れないって言われて、オレ………」

 それから、一ヶ谷くんは静かに立ち上がって、ゆっくりと、そして深々と頭を下げた。

「陽菜ちゃん、ごめんなさい」

「……一ヶ谷くん」

 一ヶ谷くんは頭を下げたままに話し始めた。

「オレ、陽菜ちゃんの身体が、そんなに悪いなんて知らなかった」

 え? そこ? 篠塚さんに荷担してごめんってことかと思ったら……。
 わたしの予想はことごとく外れる。
 そのせいか妙に頭はクリアで、一ヶ谷くんに対して腹が立つとか憤るとか、そんな気持ちにはまったくならなかった。

「陽菜ちゃんが身体弱いらしいってのは知ってた。でも、病院にボランティアに来てるくらいだし、そんなに悪いなんて思いもしなかったんだ。入学式の日にも倒れたの目の当たりにしてたのに、身体弱いって言うならなおのこと、貧血なら良くあることだろうって思って……」

 入学式の日、一ヶ谷くんに手を引かれて校舎裏を歩いた。
 まだ一ヶ月も経たないのに、もう遠い昔のような気がしてならない。

「金曜日だって、陽菜ちゃん、あんなに調子悪そうで顔色悪かったのに。保健室で寝ていたのに寝込みを襲うようなことして、なのにオレ、陽菜ちゃんの顔すら、しっかり見てなくて……」

 堅く握りしめられた拳に血管が浮いているのが見えた。

「話の途中で陽菜ちゃん、苦しそうな顔して真っ青になって、広瀬先輩に支えられて陽菜ちゃん、ひどく戻して…………それから、意識をなくして、救急車来て……」

 一ヶ谷くんの声が震えた。

「オレ、……………死ぬほど後悔した」

「ご、ごめんね」

 未だに頭を下げたままの一ヶ谷くんの肩が震えているのを見て、気がつくと、そう言っていた。
 その言葉に、一ヶ谷くんは驚いたように顔を上げた。

「なんで陽菜ちゃんがあやまるの!?」

「え? 驚かせちゃったし」

 正直、何の知識もない人が、わたしが倒れるところに行き会ったら、トラウマになるんじゃないかとすら思う。
 顔色は極限まで悪くなり息一つまともにできていない。さっきまで隣で普通に話していた知人が、突然、苦しみはじめて死にそうな状態になったら、そりゃ驚くと思う。

「違うでしょ!? あやまってるの、オレだから!」

「……あ、うん。でも、わたしも申し訳なかったし」

「陽菜ちゃんは何も悪くないって!」

「でも、」

「でも、じゃなくって!!」

 あんまり大きな声で言われて、思わず、身を縮めると、一ヶ谷くんはまた「ごめん」とあやまった。
 それから、少し怖い声で続けた。

「陽菜ちゃん、優しいのも大概にしなきゃ」

「……え?」

 一ヶ谷くんの厳しい表情と怖い声。
 少し怯えて一ヶ谷くんを見上げると、彼は大きく、大きくため息を吐いた。

「……諦められなくなるでしょ」

「え?」

「諦めようと思って、話しに来たのに」

「……あ」

 その言葉の意味するところがようやく理解できた。
 戸惑っていると、しばらくして、一ヶ谷くんは吹っ切れたように笑顔を見せた。

「ごめん。勝手に好きになっておいて、好きになってくれないなら冷たくしろなんて、ムチャ言ってるよな。大体オレ、陽菜ちゃんが、こういう優しい人だから好きになったのにね」

「……あのね」

「うん?」

「わたし、別に優しいわけじゃ……」

「優しいよ」

「でも」

「優しい」

「えっとね」

 しばらくの押し問答の後に、一ヶ谷くんは深々とため息を吐いて、少し遠い目をした。

「……ごめん。オレ、何やってるんだろ? 陽菜ちゃんを困らせに来たんじゃないのにね」

 それから一ヶ谷くんは、わたしを見て、優しく笑った。

「……元気になってくれて、本当に良かった。陽菜ちゃんの顔見れて、声聞けて、話ができて、本当に良かった」

 一ヶ谷くんの穏やかな表情に、気持ちがすうっと軽くなった。
 気がかりだったこと、何でこんなことになってるんだろうと思っていたこと、色んなことが、今日分かった。
 いろんな意味で、本当にスッキリした。

「わたしの方こそ、話が聞けて良かった。わざわざ来てくれて、ありがとう」

 わたしの「ありがとう」にまた何か思ったみたいだったけど、一ヶ谷くんは今度は苦笑いするだけで、何も言わなかった。

「もう、邪魔しないから」

 邪魔? カナとのことだよね?

「……うん」

「陽菜ちゃん、倒れた時、オレは棒立ちなのに、広瀬先輩、ムチャクチャ的確に動いてて少しも動揺してなくて……。正直、叶わないって思った」

「……あ、カナは慣れてるから」

「幼なじみなんだよね」

「うん」

 その時、一ヶ谷くんのポケットで電話がブルブルっと震えた。

「ごめん。……はい、一ヶ谷です」

 電話に出た後、一ヶ谷くんはわたしを見てニッコリ笑った。

「すみません。まだ、ちょっと駅のトイレです。二回途中下車したんですけど、どうも調子悪くて。……大丈夫です。遅れますけど、ちゃんと行きますから。……はい。ありがとうございます」

 一ヶ谷くんが電話を切ってポケットに入れるのを合図に、目を合わせて、二人でクスクス笑った。

「担任。……そろそろ行かなきゃダメかな?」

「そうだね」

 時計を見ると、一ヶ谷くんが来てから随分と時間が経っていた。

「来るのが遅くなって、ごめんね。土日は面会謝絶って出てたし、その上、いつ来ても広瀬先輩いるし……。病院には何回も来たんだよ」

「ごめんね」

 カナがいたら話しにくいよね、きっと。篠塚さんの話はともかく、わたしとの出会いのことなんて。

「だから、陽菜ちゃんが謝ることじゃないでしょって。オレが勝手に来てるだけなんだから」

 一ヶ谷くんは、また苦笑いした。

「でさ、二人きりで話せる時間、もう平日の朝しかないと思って、学校に行く前に来たのに、またいるんだもん、焦ったよ」

「え? ……あ、もしかして、朝のノック」

「うん。それ、多分、オレ。こんな時間にいるなんて、反則じゃない?」

 一ヶ谷くんはぼやく。
 一歩間違ったら、わたしが返事をしてカナと鉢合わせをしていた。そうしたら、どうなっていただろう?

「それじゃあ、オレ、行くね」

「うん」

 と答えてから、思い出す。

「あ! 待って!」

「どうしたの?」

 慌てるわたしとは対照的に、一ヶ谷くんは落ち着いていた。

「あのね、篠塚さんって、もう、こんなことしない?」

「え?」

「カナのこと、諦めた?」

 ああ、と一ヶ谷くんが笑った。

「もう大丈夫だと思う。あれだけハッキリ言われて、これ以上、あがく勇気はないんじゃないかな」

「本当に?」

「陽菜ちゃん、怖いの?」

 意外そうに、一ヶ谷くんがわたしを見た。

「大丈夫だと思うよ。オレが言うのもなんだけど、広瀬先輩、陽菜ちゃん一筋で、篠塚先輩になんて見向きもしないと思うけど」

「え? 違うの。……あの、そうじゃなくて」

 怖いのは、広瀬のおじさまとお兄ちゃん。どれだけ事を大きくされないとも限らない。

「……一ヶ谷くん、もうしないって保証できる?」

「保証!?」

「やっぱり、ムリ……よね」

 わたしがはぁと小さく息を吐くと、一ヶ谷くんは慌てて言った。

「保証はムリだけど、二度とするなって言うくらいなら……」

「言ってくれる?」

「それくらいなら、もちろん」

「約束よ?」

 そう言うと、一ヶ谷くんは神妙な顔でうなずいてくれた。
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