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動いた運命、王都までの道程
18話 一足先にコールンへ
しおりを挟むコウトは新しく呼び出してもらったマナオオカミを連れ鏡達の下へ戻った。七篠らが襲われていたこと、トイルが言っていた異世界人召喚についての情報を聞いた鏡は剣呑な顔をしていた。
「話はわかった。森立についてだけど、ブレイグさんから聞いたんだがコールンにもトイル達騎士の駐屯地があるそうだ。着いたらそこに捜索を依頼してみよう」
「そうだね。一応、コールンまでの道すがらも注意して行こう。案外すぐ近くにいるかもしれない」
2人でそう話してマナオオカミに跨がる。
鏡の乗る火傷痕のあるマナオオカミにブレイグが、コウトの乗るマナオオカミにミーラと柳葉を乗せて出発した。
コウト達がコールンに着いたのは昼過ぎだった。結局、途中で森立が見つかることはなかった。
コールンは周囲を高い壁に囲まれていて、門の前まで行くと見張りの騎士が何人か立っている。
彼等はマナオオカミに乗ったコウト達を見るとすぐに街へ入れた。
マナオオカミはその騎士たちに預け、ブレイグ達と別れる。その際、宿がないならぜひうちの宿屋に泊まっていってくれと場所を教えられた。どうやらブレイグ夫妻はコールンで宿屋を経営しているらしい。
鏡が柳葉を背負い、2人は騎士の案内でコールンにあるウォークの騎士団の診療施設まで向かう。
「許容量を超えたマナを扱ったことによる失神だ」
「でも、失神にしては長過ぎるような気がしますが……」
「一旦、体を巡るマナが抜けきるまでこのままだろうよ。と言ってもあと2日程だ」
医師の診断では安静にさせていれば心配はいらないとのことだった。
「それと、人探しの依頼をしたいんだがいいだろうか」
「人探しィ?」
「はい、僕らの仲間の女の子とはぐれてしまって、マナオオカミに攫われたらしいんです」
コウトの説明に騎士の1人が反応する。
「マナオオカミって言ったらここらへんじゃねぇだろう。あいつらは岩場に住んでて、森にはいねぇんだ」
「野生じゃないんです。ウォークで訓練されたヤツで、トイルって人が喚び出したんですけど……」
「!!」
騎士達はトイルの名前に反応した。どうやら彼等はトイルのことを知っているようだ。
「あいつか……」
「まじかよ! マナオオカミが言うこと聞かないなんてあんのか?」
「彼と知り合いなのか?」
「同じ時期に騎士訓練受けてたからな。……わかった、探してみるぜ」
コールンの騎士達は森立を探してくれるようだ。
「ありがとうございました」
診療施設に柳葉を預け、捜索依頼を出した2人はブレイグ夫妻の宿屋を目指してコールンの街を歩いていた。
「……あまり人がいないというか、活気が無いというか」
鏡が呟く。人がいないわけではなかったが、すれ違うのは鎧を着た騎士達や緊張した面持ちの人が多く全体的に暗い印象だ。
「僕たちの服装のせいかな。鏡君はブレザーだし、俺はワイシャツ。それに2人ともひどく汚れているから、怪しまれてたりするんじゃないかな」
「そうかもな。宿屋に着いたら風呂に入ろう、ついでに服も洗いたい」
コールンの街並みは今でこそ静けさがあるが、石造りの建物が多く、それらは照らされる日の光をよく引き立たせている。ブレイグ夫妻の店はいくつかの露店が出されている通りの奥にあった。
木製の扉を開けて中に入ると強い酒の匂いがした。数人の男が酒盛りをしている。その中の1人が今しがた皿を下げた少女を呼んだ。
「ん? おーいユーリちゃん。客だぞぉ」
「はーい、ただいま!」
ユーリと呼ばれた少女が明るく返事をしてコウト達の下へ来る。身長はコウトの胸あたりで、白いエプロンを着けている。
「おまたせしました! えーと、あれ? もしかして……お父さ―ん、お母さーん」
ユーリは2人の顔と服装を交互に見ると、店の端のほうにある階段を登っていってしまった。
2人が不思議に思っていると、すぐに人を連れて戻ってきた。彼女に手を引かれているのはブレイグとミーラだ。
「ねぇ、この方達じゃない? お父さんとお母さんを助けてくださったのって‼」
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