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来る征戦の騎士、明かされる聖剣の未知
42話 我求む
しおりを挟む「クソッ!! 何なのだホントに!!」
時は戻って西の森の中、ステルゥは自身が得意とする、召喚魔法に手を加えた第2魔法で呼び出した使い魔によってレノンが敗れたことを知ると、側にある木を殴りつけながら怒鳴った。
「計画を何ひとつ達成できていないじゃないか! 何故聖剣を持っていて異世界人なんぞに負けるのだ! あぁ、わが祖国ヤイル王国の敵をとる計画が……」
ステルゥは、サーク王国跡地にドラゴンを召喚し連合軍を壊滅させようと企んでいた国の生き残りだった。
ヤイル王国が連合軍に派遣した騎士たちはその罪によりエウレナに討ち取られ、運良く逃れることができたステルゥは復讐の機会を作り出すため、レノンを利用していたのだ。
本来ならレノンが転移者を捕える際の騒ぎに乗じてエウレナとサラを殺すはずだったが、レノンが敗れたとあっては仕方ない。門を正面から突破してしまおうと彼は考えた。
「幸い、第3王女はここと反対の東の門にいる。あいつが来る前にせめてでも……」
ステルゥは計画を変えることになっても怒りこそすれ、サーク王国跡地から持ち続けていた余裕を失うことはなかった。彼には奥の手があった。
「私の魔法を使うに当たって、征戦騎士が負けたことはかえって都合がいいのかもしれないな」
口元の笑みを取り戻したステルゥは声高らかに叫ぶ。
「貴様の片割れは呆気なく死んだな。今、あいつの無念に報いる機会をくれてやる。来い……ノン・エルケーエル!!」
逃げるにしてもせめて第3王女を殺し、ロベルタに損害を与えてやらねば気が収まらない。
――――――
「……ろ」
ここはどこだ。柳葉は自分にかけられた声にその意識を覚醒させた。
「起……ろ」
声がする。この声は男のものか? 随分と渋い声だ。
「起きろ。起きるのだ、主よ」
「……うるせぇ」
夜中に起こされたときのような気持ちの悪さを感じた柳葉は、その声が鬱陶しかったこともあり毒づく。
「早く目を覚ませ。死にたいのか」
「……」
死にたくはない。声から逃げるようにして被ったパーカーのフードを外し、目を開ける。
そこで彼は初めて自分が一面真っ白な空間にいることを知る。そして側では白い美しい竜が自身を見下ろしていた。
「お、お前、確か……」
「やっと目を覚ましたな。主よ」
竜は顔を近づけてそう話す。青白いひげと背中の毛が風もないのにゆらゆらと靡いている。
「あの時俺が召喚したドラゴン……お前話せたのか……」
「正確には竜、または龍だが、どうでもいいな」
その竜の喉元だと思しき場所に逆さになった鱗がある。逆鱗というやつだろう。そんなことを考えていた柳葉に竜が言った。
「……主の身に危機が迫っている。今、主を守ることができるのは我しかいない。主と共にここに来た者たちでは間に合わないだろう」
竜は金色の瞳で柳葉を見据えている。
「我に許可をくれ。主と共に脅威を打ち倒す許可を」
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