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4 妖精と契約しました
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間もなくして、ライアンがルーイとブリギッド姉さまを伴って帰ってきた。
「妖精と契約だって?凄いね、えーっと……リオナになったんだっけ?よかったよ」
ルーイがにこにこと笑いながら入ってきた。服装が先程と違っている。似たような白いズルズルの服だけれど、無地ではなかった。白地に細かな金色の模様が入っている。襟や袖にも同じような模様が施されていた。その白衣の上に黄金の胸当てをつけている。契約をする時の正装なのかもしれない。
その後に続いて相変わらずナイスバディなブリギッド姉さまが入ってきた。色気たっぷりな微笑みを浮かべている。こちらは服は一緒だが手に何か持っているようだ。
「それにしても……やっぱり随分高位の妖精だねえ、その子」
ルーイがセクアナを見て言う。
「見えるんですか?」
「もちろん。これでも上級魔法使いだからね。一応王宮では若手の中では一番って言われてるんだ。残念ながら妖精とはまだ契約出来てないけど」
「……やっぱり高位ってどういう意味?」
「聞いてないの?リオナの傷を治したのはこの子だよ」
てっきりルーイか双子が治してくれたんだと思っていたから、この発言にはちょっとびっくりした。
「そうよ、だからちょっと疲れたの」
「そうだったのか!てっきりお前が治したんだと……」
ライアンまで驚いている。
「僕は治癒魔法苦手だからね。一回であんな見事に治せないよ。だから水の高位妖精だと思ったんだ」
「あの……えと、遅くなったけどありがとう。助かったわ」
「どういたしまして。わたし、リオナの役に立てたんだね!嬉しい!」
俺がお礼を言うと、セクアナが嬉しそうに笑った。
「さて、じゃあ契約の儀式の説明に入るよ。契約の方法は簡単だ。その子の名前と君の血さえあればね」
血と聞いてちょっと憂鬱になった。大きな声では言えないが、血を見るのは物凄く苦手だ。自分のも他人のも、偽物でさえ嫌だ。採血なんて目を閉じなきゃ出来ない。
はい、そうです。ヘタレなんです。すみません。
俺が青くなったのに気付いて、ルーイが笑った。
「そんなに心配しなくても大丈夫だよ。血がいるのはほんのちょっとだけだから」
「どのくらい?指先からほんの数滴だよ」
それなら大丈夫か。
ふぅと息を吐いて椅子に凭れた。
「まず今から僕が言う言葉を覚えてね。誓願の言葉なんだけど……紙にでも書こうか」
「難しくて読めないかもしれないから口で言って」
というかマジで読めない。起きた時、机に置いてあった本をちらっと見たけど、全くもって読めなかった。英語に似たような文字もあったけど、ほとんどが記号にしか見えない。
チート能力ここでも発動せず。残念!
「わかった。あ、始める前に一応聞くけど、その子の名前わかってるよね?」
「うん。セクアナって言うの」
「セクアナね。わかった。じゃあ始めるね」
ちょっとドキドキしてきた。ちゃんと覚えられるのか、俺!
「神に遣えし聖なる霊(たましい)よ。我に許しを与えたまえ。偉大なる水の長よ。そなたの子供を我は求む。そなたの子供、水の精霊、セクアナよ。我はなんじの力を欲す。我の力と言葉を糧とし、我にその偉大なる力を与えたまえ。この血に従い、我と契約したまえ」
ふぅとルーイが息を吐いた。終わったらしい。
それにしても……長い。思ったより長かった。何とか覚えられそうだが、とちったらどうしよう。
「大丈夫。君なら出来るよ。助けてあげたいけど、儀式の間は僕が結界を張らなきゃいけないし、他のみんなは外に出てないないといけないから」
さっき簡単って言ったのに、結界って。意外と大変なことじゃないか?失敗したらどうなるんだ?
内心頭を抱えていると、セクアナが大丈夫だよ、と耳元で囁いた。双子たちも隣でにこにこ笑っている。
ま、なんとかなるか。やるしかねえな!
俺が頭を上げると、ブリギッド姉さまが手に持っていた何かをテーブルに置いた。白い小さな器だ。それに青い小瓶に入っていた水を注ぐ。
「これは精霊界にある、聖なる水なんだ。完全に浄化された水なんだ。これに君の血を読み込ませる。ブリギッド、頼むよ」
ブリギッド姉さまが俺の親指を掴んで、その針で刺した。
「いたっ!」
僅かだけど指先から血が滲み出てくる。その血を数滴、器に入った水に垂らした。
赤い血が水面にぽわっと拡がり、消えたと思ったら中央が青く光った。
「うん、反応したね。じゃあこれから儀式を始めるよ。みんなは外に出てて」
みんなが部屋を出ていったのを確認すると、ルーイは水の入った器を床に置いた。そしてその水を指先に付け、その指で器を中心にした円と記号のようなものを描き始める。
「さあ、入って」
円を描き終えると、ルーイは俺を円の中に呼び寄せた。そして中央にある器にセクアナを立たせる。それから自分もセクアナを挟んで俺の正面に立った。
「リオナ、今から誓願の言葉を言って」
俺は頷いて先程言葉を口にした。その直後に円から柔らかな青い光が溢れだし、俺たちを包む。
「神に遣えし聖なる霊よ。我に許しを与えたまえ。偉大なる水の長よ。そなたの子供を我は求む。そなたの子供、水の精霊、セクアナよ。我はなんじの力を欲す。我の力と言葉を糧とし、我にその偉大なる力を与えたまえ。この血に従い、我と契約したまえ」
俺がそう言い終えたとたん、光が中央、セクアナに集まった。その光は彼女を一際青く輝かせる。しばらくすると、その光が徐々に薄くなって銀色変化していく。そしてその銀色の光もやがて消えた。それと同時に床の円も消滅した。
長かったがなんとかとちらずに済んだ。ほっとしていたところに、セクアナが頬に飛び付いてきた。
「リオナ、これからよろしくね!」
「こちらこそよろしく!」
セクアナは俺の周りを嬉しそうに飛ぶ。その時、セクアナの耳に銀色の耳飾りが着いているに気付いた。
「それが君と契約している証だよ。君にも証があるよ。見てごらん」
そう言って小さな鏡を渡される。除き込むと、俺の、幼女の瞳の色が変わっていた。緑から青へ。
「うわっ!」
気持ち悪いなと思ったが、「ふふふ、きれいきれい」とセクアナが喜んでいるので、これでいいのだと納得した。
翌朝。
これはもしや、何か大変な使命が課せられているやつじゃないか?
呪われた人々を救え、とか、魔王を封印しろ、とか、ドラゴンを倒せ、とか、そういう無茶ぶりな展開が待っていそうな気がする。でなければこんなチートな能力はいらないはずだ。
俺は朝起きた直後から、次々と頭に浮かんでくるヤバイ予想をぶつぶつと唱えていた。昨日は契約の興奮で何も考えられなかったが、一晩寝たら色々懸念が出てきてしまったのだ。
だってそうだろう?
王都に二人しかいない妖精との契約者、そんな稀な存在になってしまったのだ。しかもあんな大層な儀式によって。
何もしないでいい訳がない。
あの時それに思い至らなかったんだ?バカだろ、俺!
頭を抱えながら自己嫌悪に陥る。
「リオナ、大丈夫?頭痛いの?治そうか?」
セクアナが心配そうな顔で聞いてくる。
「大丈夫。心配しないで。別に頭が痛い訳じゃないの」
「ならいいけど……あ、じゃあ、今日は外に行かない?みんなにリオナを紹介したいの!」
「外に?別にいいけど……」
あれ?そういえば……。
外に出る扉がまた見当たらない。フラムに起こされた時は扉はあった。というか見えていた。その後朝食が運ばれて……。
見えなくなったのはフラムが出ていってからだ。
「ねえセクアナ、扉見える?
「ううん、あるけど今は見えない」
あるけど見えない?どういう意味だ?
「なんで見えないの?」
「んー?目隠しの魔法がかけてある」
「??????」
ますますもって意味がわからない。
ちょうどお茶を持ってきてくれたイーヴィンさんに聞いてみた。
イーヴィンさんはなんとルーイの契約精霊なのだそうだ。昨夜紹介してもらったときにはびっくりした。てっきりブリギッド姉さまがルーイの契約精霊だと思っていたのに。
イーヴィンさんは、ハニーブロンドのキラキラしたサラサラヘアーが素敵な美人さんだ。ブリギッド姉さまは妖艶だけど、こちらは聖母って感じの柔らかで優しい風貌をしている。何の精霊かわからなくて尋ねたが、内緒です、と言って教えてくれなかった。胸の部分が開いていない、ゆったりした服を着ているためわかりにくいが、彼女もまた巨乳だ。人型になっている精霊って、みんな巨乳なのだろうか。
まあそれは置いておいて。
俺が扉の不思議について尋ねると、イーヴィンさんは苦笑した。
「う~ん、そうですねえ。ここの王宮には危ない人がいますから、リオナ様がお一人で外に出て、捕まらないようにされているのでは?だからお一人で出ていかれないように、リオナ様がお部屋にお一人の際は見えないようにしているのです」
え?ここ、王宮だろう?危ない人なんているのか?ほんとにいるとしたら、そもそもそんな危ない人をなんで放置してるんだ?俺が捕まるってなんで?
あ、もしかして……。
「わたしの魔力が高いから?だから利用されないようにするため?」
「それも違いますわ。まあ……いつかは紹介されるでしょうが、その方はとても身分の高い方なのです。だから危ない行動をしても捕まえられないのですわ」
「ええぇぇぇっ!」
なんて迷惑な人なのだろう。身分が高いってことは宰相とか大臣とかそんな立場の人ってこと?まさか王様…なんてことはないよな?ていうか危ない行動って!!
拷問とか誘拐とか監禁とか……。
ゾクリと背筋に寒気が走る。思わずぶるっと震えると、セクアナがどんと胸を叩いた。
「大丈夫!わたしがちゃんとリオナを守るわ!危ない人なんて、水責めにして溺れさせてあげる!」
た、頼もしい。……けどえらく過激だな。
「あ、ありがとう。もしもの時はよろしくね」
「まっかせて!」
頼もしい妖精に、ようやく安心してお茶を啜った。
「あ、そういえば……セクアナと一緒に、今日外に出掛けたいんだけど、行ってもいい?」
一息ついたら思い出した。セクアナが嬉しそうに瞳を輝かせて俺を見ている。
「私では決められませんので、ルーイ様に聞いてまいりますね」
「ごめんなさい。お願いします」
「それまで決して外にはお出にならないで下さいね。
「出られないから大丈夫よ。ここで大人しくしてるわ」
イーヴィンさんが出ていくと、俺はふぅと息を吐いた。
ここで悶々と悩んでいたって仕方ない。外に出れば何かわかるかも……。
お茶を飲み干し、俺は気合いを入れた。
「妖精と契約だって?凄いね、えーっと……リオナになったんだっけ?よかったよ」
ルーイがにこにこと笑いながら入ってきた。服装が先程と違っている。似たような白いズルズルの服だけれど、無地ではなかった。白地に細かな金色の模様が入っている。襟や袖にも同じような模様が施されていた。その白衣の上に黄金の胸当てをつけている。契約をする時の正装なのかもしれない。
その後に続いて相変わらずナイスバディなブリギッド姉さまが入ってきた。色気たっぷりな微笑みを浮かべている。こちらは服は一緒だが手に何か持っているようだ。
「それにしても……やっぱり随分高位の妖精だねえ、その子」
ルーイがセクアナを見て言う。
「見えるんですか?」
「もちろん。これでも上級魔法使いだからね。一応王宮では若手の中では一番って言われてるんだ。残念ながら妖精とはまだ契約出来てないけど」
「……やっぱり高位ってどういう意味?」
「聞いてないの?リオナの傷を治したのはこの子だよ」
てっきりルーイか双子が治してくれたんだと思っていたから、この発言にはちょっとびっくりした。
「そうよ、だからちょっと疲れたの」
「そうだったのか!てっきりお前が治したんだと……」
ライアンまで驚いている。
「僕は治癒魔法苦手だからね。一回であんな見事に治せないよ。だから水の高位妖精だと思ったんだ」
「あの……えと、遅くなったけどありがとう。助かったわ」
「どういたしまして。わたし、リオナの役に立てたんだね!嬉しい!」
俺がお礼を言うと、セクアナが嬉しそうに笑った。
「さて、じゃあ契約の儀式の説明に入るよ。契約の方法は簡単だ。その子の名前と君の血さえあればね」
血と聞いてちょっと憂鬱になった。大きな声では言えないが、血を見るのは物凄く苦手だ。自分のも他人のも、偽物でさえ嫌だ。採血なんて目を閉じなきゃ出来ない。
はい、そうです。ヘタレなんです。すみません。
俺が青くなったのに気付いて、ルーイが笑った。
「そんなに心配しなくても大丈夫だよ。血がいるのはほんのちょっとだけだから」
「どのくらい?指先からほんの数滴だよ」
それなら大丈夫か。
ふぅと息を吐いて椅子に凭れた。
「まず今から僕が言う言葉を覚えてね。誓願の言葉なんだけど……紙にでも書こうか」
「難しくて読めないかもしれないから口で言って」
というかマジで読めない。起きた時、机に置いてあった本をちらっと見たけど、全くもって読めなかった。英語に似たような文字もあったけど、ほとんどが記号にしか見えない。
チート能力ここでも発動せず。残念!
「わかった。あ、始める前に一応聞くけど、その子の名前わかってるよね?」
「うん。セクアナって言うの」
「セクアナね。わかった。じゃあ始めるね」
ちょっとドキドキしてきた。ちゃんと覚えられるのか、俺!
「神に遣えし聖なる霊(たましい)よ。我に許しを与えたまえ。偉大なる水の長よ。そなたの子供を我は求む。そなたの子供、水の精霊、セクアナよ。我はなんじの力を欲す。我の力と言葉を糧とし、我にその偉大なる力を与えたまえ。この血に従い、我と契約したまえ」
ふぅとルーイが息を吐いた。終わったらしい。
それにしても……長い。思ったより長かった。何とか覚えられそうだが、とちったらどうしよう。
「大丈夫。君なら出来るよ。助けてあげたいけど、儀式の間は僕が結界を張らなきゃいけないし、他のみんなは外に出てないないといけないから」
さっき簡単って言ったのに、結界って。意外と大変なことじゃないか?失敗したらどうなるんだ?
内心頭を抱えていると、セクアナが大丈夫だよ、と耳元で囁いた。双子たちも隣でにこにこ笑っている。
ま、なんとかなるか。やるしかねえな!
俺が頭を上げると、ブリギッド姉さまが手に持っていた何かをテーブルに置いた。白い小さな器だ。それに青い小瓶に入っていた水を注ぐ。
「これは精霊界にある、聖なる水なんだ。完全に浄化された水なんだ。これに君の血を読み込ませる。ブリギッド、頼むよ」
ブリギッド姉さまが俺の親指を掴んで、その針で刺した。
「いたっ!」
僅かだけど指先から血が滲み出てくる。その血を数滴、器に入った水に垂らした。
赤い血が水面にぽわっと拡がり、消えたと思ったら中央が青く光った。
「うん、反応したね。じゃあこれから儀式を始めるよ。みんなは外に出てて」
みんなが部屋を出ていったのを確認すると、ルーイは水の入った器を床に置いた。そしてその水を指先に付け、その指で器を中心にした円と記号のようなものを描き始める。
「さあ、入って」
円を描き終えると、ルーイは俺を円の中に呼び寄せた。そして中央にある器にセクアナを立たせる。それから自分もセクアナを挟んで俺の正面に立った。
「リオナ、今から誓願の言葉を言って」
俺は頷いて先程言葉を口にした。その直後に円から柔らかな青い光が溢れだし、俺たちを包む。
「神に遣えし聖なる霊よ。我に許しを与えたまえ。偉大なる水の長よ。そなたの子供を我は求む。そなたの子供、水の精霊、セクアナよ。我はなんじの力を欲す。我の力と言葉を糧とし、我にその偉大なる力を与えたまえ。この血に従い、我と契約したまえ」
俺がそう言い終えたとたん、光が中央、セクアナに集まった。その光は彼女を一際青く輝かせる。しばらくすると、その光が徐々に薄くなって銀色変化していく。そしてその銀色の光もやがて消えた。それと同時に床の円も消滅した。
長かったがなんとかとちらずに済んだ。ほっとしていたところに、セクアナが頬に飛び付いてきた。
「リオナ、これからよろしくね!」
「こちらこそよろしく!」
セクアナは俺の周りを嬉しそうに飛ぶ。その時、セクアナの耳に銀色の耳飾りが着いているに気付いた。
「それが君と契約している証だよ。君にも証があるよ。見てごらん」
そう言って小さな鏡を渡される。除き込むと、俺の、幼女の瞳の色が変わっていた。緑から青へ。
「うわっ!」
気持ち悪いなと思ったが、「ふふふ、きれいきれい」とセクアナが喜んでいるので、これでいいのだと納得した。
翌朝。
これはもしや、何か大変な使命が課せられているやつじゃないか?
呪われた人々を救え、とか、魔王を封印しろ、とか、ドラゴンを倒せ、とか、そういう無茶ぶりな展開が待っていそうな気がする。でなければこんなチートな能力はいらないはずだ。
俺は朝起きた直後から、次々と頭に浮かんでくるヤバイ予想をぶつぶつと唱えていた。昨日は契約の興奮で何も考えられなかったが、一晩寝たら色々懸念が出てきてしまったのだ。
だってそうだろう?
王都に二人しかいない妖精との契約者、そんな稀な存在になってしまったのだ。しかもあんな大層な儀式によって。
何もしないでいい訳がない。
あの時それに思い至らなかったんだ?バカだろ、俺!
頭を抱えながら自己嫌悪に陥る。
「リオナ、大丈夫?頭痛いの?治そうか?」
セクアナが心配そうな顔で聞いてくる。
「大丈夫。心配しないで。別に頭が痛い訳じゃないの」
「ならいいけど……あ、じゃあ、今日は外に行かない?みんなにリオナを紹介したいの!」
「外に?別にいいけど……」
あれ?そういえば……。
外に出る扉がまた見当たらない。フラムに起こされた時は扉はあった。というか見えていた。その後朝食が運ばれて……。
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「ねえセクアナ、扉見える?
「ううん、あるけど今は見えない」
あるけど見えない?どういう意味だ?
「なんで見えないの?」
「んー?目隠しの魔法がかけてある」
「??????」
ますますもって意味がわからない。
ちょうどお茶を持ってきてくれたイーヴィンさんに聞いてみた。
イーヴィンさんはなんとルーイの契約精霊なのだそうだ。昨夜紹介してもらったときにはびっくりした。てっきりブリギッド姉さまがルーイの契約精霊だと思っていたのに。
イーヴィンさんは、ハニーブロンドのキラキラしたサラサラヘアーが素敵な美人さんだ。ブリギッド姉さまは妖艶だけど、こちらは聖母って感じの柔らかで優しい風貌をしている。何の精霊かわからなくて尋ねたが、内緒です、と言って教えてくれなかった。胸の部分が開いていない、ゆったりした服を着ているためわかりにくいが、彼女もまた巨乳だ。人型になっている精霊って、みんな巨乳なのだろうか。
まあそれは置いておいて。
俺が扉の不思議について尋ねると、イーヴィンさんは苦笑した。
「う~ん、そうですねえ。ここの王宮には危ない人がいますから、リオナ様がお一人で外に出て、捕まらないようにされているのでは?だからお一人で出ていかれないように、リオナ様がお部屋にお一人の際は見えないようにしているのです」
え?ここ、王宮だろう?危ない人なんているのか?ほんとにいるとしたら、そもそもそんな危ない人をなんで放置してるんだ?俺が捕まるってなんで?
あ、もしかして……。
「わたしの魔力が高いから?だから利用されないようにするため?」
「それも違いますわ。まあ……いつかは紹介されるでしょうが、その方はとても身分の高い方なのです。だから危ない行動をしても捕まえられないのですわ」
「ええぇぇぇっ!」
なんて迷惑な人なのだろう。身分が高いってことは宰相とか大臣とかそんな立場の人ってこと?まさか王様…なんてことはないよな?ていうか危ない行動って!!
拷問とか誘拐とか監禁とか……。
ゾクリと背筋に寒気が走る。思わずぶるっと震えると、セクアナがどんと胸を叩いた。
「大丈夫!わたしがちゃんとリオナを守るわ!危ない人なんて、水責めにして溺れさせてあげる!」
た、頼もしい。……けどえらく過激だな。
「あ、ありがとう。もしもの時はよろしくね」
「まっかせて!」
頼もしい妖精に、ようやく安心してお茶を啜った。
「あ、そういえば……セクアナと一緒に、今日外に出掛けたいんだけど、行ってもいい?」
一息ついたら思い出した。セクアナが嬉しそうに瞳を輝かせて俺を見ている。
「私では決められませんので、ルーイ様に聞いてまいりますね」
「ごめんなさい。お願いします」
「それまで決して外にはお出にならないで下さいね。
「出られないから大丈夫よ。ここで大人しくしてるわ」
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