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3 妖精までいました
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再び目覚めた時にも事態は変わっていなかった。俺の体は相変わらず銀髪碧眼の幼女のままだったし、枕元にはエルフの双子が眠っていた。
「う~、一体全体どうなってるんだ?夢じゃないのか?マジで異世界トリップってやつ?」
ほんとに訳がわからない。異世界トリップで普通性別とか年齢まで変わるか?だんだん不安になってきた。
自分の元の体の名前もまだ思い出せない。もしかして転生したから思い出せない?ここにきてようやくその考えに思い至った。
いやいやいや。それはない。
死ぬような目に遭った記憶はない。痛いなあ、苦しいなあ、死にそうだ、なんて感じた覚えてもない。竜巻……いや、ないないない!
と、とりあえず名前だけでも思い出そう。
思い出せ、思い出せと頭を押さえていると、ポチャンと音がした。テーブルの上に置いて花瓶からのようだ。
近付いてみれば花瓶の縁に何かいる。じーっと近付いて行くと……
「人形?動いた!小人!?」
「よかった!見えるのね!」
花瓶に座っていた小さい生き物が俺を見て言った。人をそのまま小さくしたような生き物は、なんだかとても嬉しそうな顔をしている。
その小人は背中に生えた透き通った羽で飛び、俺の手に乗ってきた。近所の女の子が持ってたなんとかちゃん人形よりも小さい、体長十センチぐらいのサイズだ。だから凄く軽い。むしろ重さなんてないくらいだ。
よくよく見ると、その羽は無色透明ではなく薄く色が着いている。緑…いや、青か……綺麗だな。
これはもしや妖精ってやつだろうか。
じっと見ていると、顔の周りを飛び廻り出した。
「君は妖精?」
「そうよ!わたし、セクアナ!水の妖精なの!」
話し掛けていいものなのか迷ったが、俺が尋ねると妖精は嬉しそうに答えた。テーブルの上に移ってお辞儀までしてくれる。随分と礼儀正しいな。
「え……っと、セクアナちゃん?セクアナちゃんはいつこの部屋に入って来たの?」
「セクアナって呼んで!ずっとここにいたわ。疲れたからこの水の中で休んでただけ」
セクアナはそう言って花瓶を指した。
やっぱり水の妖精だから回復するのは水の中ってことなのか?それにしてもずっと?ずっとって俺がここに来る前からか?
「な、なあ、じゃなくて…ねえ、セクアナはいつからここにいたの?」
俺は幼女。俺は幼女。気持ち悪いと思いながらも女の子口調を復活させる。
「一緒に来たの、覚えてないの?」
「一緒に来た?もしかして……わ、わたしと?」
「そうよ!ふあぁ~、眠い。リオナ、わたしまだちょっと眠いの。起きるまで待っててね!」
セクアナはそう言って、また花瓶の中に戻ってしまった。
まだ聞きたいこともあったのに……。
あれ?そういや今……なんかリオナとか言わなかったか?
もしかして俺の名前か……?もちろん元のではない。この幼女の体の名前だ。なぜだかそう思う。リオナと言われて酷く胸がざわついたのだから。
胸を押さえていたら、ライアンが入ってきた。
「起きたのか?どうだ、体の調子は?」
「あの、えと…大丈夫。よく眠れたわ」
そう言ったとたん、ぐうぅぅと盛大にお腹の虫が鳴った。は、恥ずかしい……。
「ははは、いい音だ。ちょっと待ってろ。今なんか持ってきてやる」
ライアンはそう言ってすぐに部屋を出ていった。
それから五分もたたず、ライアンは部屋に戻ってきた。食欲をそそるいい匂いがする。運んでこられたワゴンにはたくさんの料理が載っていた。どう考えても幼女の俺には食べきれない量だ。
テーブルの上に料理が所狭しと並べられていく。どれも見たことがない物ばかりだが、色とりどりで鮮やかで、凄く美味しそうだ。
「ほら、たんと食べな」
イエッサー!
俺は嬉々として料理に食らいついた。
「食べ終わった頃にまた来る。慌てずゆっくり食えよ」
「うん!」
料理はどれも食べたことないぐらい美味しかった。ここは天国だ!俺は無我夢中で食べた。
四分の一程食べた所で双子が起きてきた。
「おはよう~」
「よく眠れた?」
「うん、ありがとう。おかげでよく眠れたよ。え~と、フラムたちも食べる?」
エルフが人間の料理を食べられるかは知らないが、一応勧めてみる。
「いいの?食べる~」
「わ~い。おいしそう!」
喜ぶ双子に癒された。可愛い。
しかしその食欲は可愛くなかった。物凄い勢いで食べ始めたと思ったら、あっという間に山盛りの料理を完食していく。大食いチャンピオンも真っ青になるくらい。
エルフ、ぱねえ~~。
俺が圧倒されている間に全ての皿が空いてしまった。まあお腹いっぱいだからいいけど、りんごに似たのは食べてみたかったな。
ちょっとだけがっかりしていたら、タイミングよくライアンが戻ってきた。
「おっ!全部食べたのか。えらいえらい」
頭を撫でてくれるが、中身は成人した男だからやめて欲しい。けど今の俺は幼女だ。可愛い幼女を大人が誉めて撫でるのは仕方ない。我慢我慢。
「フラムたちも食べさせてもらったー」
「おいしかったー」
「そうか、よかったな」
ライアンは嬉しそうに報告する双子を俺と同じように撫でると、空になった食器をワゴンに載せる。そして俺の正面の椅子に腰をかけた。
どうやら真面目な話が始まるみたいだ。
「今のとこ、お前に関わりがありそうな情報は何も入ってきていない。少なくともこの近隣、王都全域でも行方不明になっている子供はいないし、竜巻の情報も上がってきていない」
「そうなんだ」
「心配するな。ちょっと難航しそうだけど、必ずお前が誰か、家族も見付けてやるよ」
ライアンがにかっと外国の俳優みたいに笑った。
「ありがとう。わたしも何か思い出したらすぐ言うね」
まああんまり期待はしないで欲しいけど。
「それにしても、名前がないのは不便だな。いつまでもお前って呼ぶ訳にもいかないだろうし……仮にでいいから何か呼んで欲しい名前はないか?」
「リオナ」
俺は思わず即答した。先程妖精に呼ばれた名前だ。ライアンが驚いている。
あ、ヤバイかな?けどそれ意外の名前で呼ばれるのも違和感を感じる。
「リオナか……似合ってるな」
「うん!かわいい!」
「カワイイ、カワイイ!」
「あ、ありがとう。嬉しいな。実はさっきいた妖精ががそう呼んでくれたの」
「妖精?」
「? 自分で妖精だって言ってたけど……」
何かおかしいのだろうか。もしや精霊はいても妖精はいないとか?
不安に思っていると、ライアンがガバリと俺の両肩を掴んできた。
「見えるのか!?」
「リオナ、スゴい!」
「うん!妖精が見えるなんてスゴいね!」
「そ、そうなの?」
ブリギッド姉さまのような精霊がいるのだから、妖精も普通に見えるものだと思っていたが……どうやら違うらしい。
「え……っと、精霊とか妖精ってほんとは見えないの?」
そう尋ねると三人がかりで説明してくれた。
精霊は普通の人にも見えるが妖精は普通の人には見えないらしい。見えるのは魔力が高い者だけ。
しかも見えても会話まで出来る者は人間ではあまりいないんだそうな。人間でそれが出来るのは珍しく、魔力が余程高く、エルフや精霊並みにある者だけなんだとか。
ヤバイ。ここにきてそんなチートな能力が!?
「じゃ、じゃあ、名前教えてもらったんだけど、これも普通じゃないの?」
「スゴーイ!!リオナ、妖精とケイヤクしたの?スゴいスゴい!!」
「ほんとにスゴいね!妖精と契約できる人なんてめったにいないよ!」
「け、契約?」
また訳のわからない言葉だ。これにもまた三人が懇切丁寧に教えてくれた。今度はこの世界の精霊や妖精たちについて詳細に。
この世界には人間が住むこの人間界と、精霊が住む精霊界があるらしい。
妖精はそのどちらの世界にも存在しているが、その存在を知覚できるのは魔力を持つ者だけ。魔力を持つ者は魔法の行使に妖精を媒介にさせることが多く、妖精の力を使えば、より強大な魔法が使え、普通の魔法でも楽に使えるようになるのだ。妖精自身は簡単な魔法は使えるが、人間のように複雑な魔法は使えないため、好奇心旺盛な妖精は喜んで人間に力を貸すのだとか。
また、はっきりと見えるのは魔力が高い者だけで、その中でも会話することが出来る者はほんの一握りである。
さらに、妖精が名前を教えるのはその人間と契約したいからであり、契約出来る人間はエルフ以上の魔力持ちだけ。全魔法使いの一割にも満たない。王都でさえ二人しかいない。なぜなら契約すれば、常にその妖精に魔力を与え続けなければいけないからだ。
一方、精霊は基本精霊界でのみ生活している。人間によって召喚された者だけが人間界にやってくることが出来、契約すると召喚魔法を使わなくても人間界に存在し続けることが出来る。
召喚する魔力さえ持っていれば、精霊は力を貸してくれるが、いかんせん気紛れなので契約してくれるかくれないかは、精霊の好みやその時の気分による。精霊は高い魔力を保有しているが人間界では魔法が使えないため、人間の魔法使いの意志によってのみ魔法を使うことが出来るのだ。
それから妖精はほとんどが人型で個体差があるのに対し、精霊は獣や半獣、人型と、色々あるらしい。高位の精霊になると姿ん変えることも自由だとか。種族の差はあるが個体差はなく、人間界に召喚されて初めて個々の人格が形成される。なので精霊界にいる間は名前もなく、人間界に召喚した者が名前を与えるのだ。もちろん何度も召喚されていれば精霊界にいつつも人格を持ったままでいられる。
ちなみにエルフは全種族が高い魔力を保有しており、また、精霊や妖精の力を借りなくても魔法を行使できる特別な存在らしい。
この双子、小さいのに凄いんだなあ。思わず繁々と眺めてしまった。
「だから名前を名乗ったってことは契約して欲しいってことなんだ」
「そうなんだ……」
「リオナ、その妖精ってどんなんだった?」
「おしえて、おしえて!」
どんなって言われても……。
キラキラした目で双子に聞かれるが、説明に困ってしまう。
悩んでいたらポチャンと水音がした。花瓶を見ればやはりセクアナがいた。
「そこにいるよ」
「あ、ほんとだ。いた!」
「かわいいね!水の妖精だ!」
双子たちがセクアスを見てはしゃぐ。しかしライアンはセクアスとは少しずれた場所を見ている。
「ライアンには見えないの?」
「ああ。俺には魔力がないからな」
意外だ。近衛騎士団の団長だからてっきり見えると思ってた。
「ねえ、妖精さん?」
「セクアナって呼んでって言ったよね、リオナ!」
「なんでわたしがリオナなの?」
「リオナはリオナだよ!リオナ、自分の名前もわかんないの?」
連呼される度、確信した。確かに俺はリオナだ。
「リオナ、早くわたしと契約して!」
「契約って言われても……」
一体全体契約がどんなものかわからない。大体にして契約なんてしてもいいかもわからない。
ちらりと双子たちを見るが首を振る。エルフは妖精と契約しないので知らないらしい。
「ライアン……」
困ってライアンを見れば、彼は頭を掻いた。
「ああ、えーと……契約かあ。俺やり方知らねぇんだよなあ」
「いやあの……、その前に、わたしみたいなどこのだれともわからない人間が契約してもいいの?」
「構わないだろう?何か困るのか?」
よくわからなかったので首を振る。
「じゃあ、ちょっと待ってろ」
そう言うとライアンは出ていった。
「う~、一体全体どうなってるんだ?夢じゃないのか?マジで異世界トリップってやつ?」
ほんとに訳がわからない。異世界トリップで普通性別とか年齢まで変わるか?だんだん不安になってきた。
自分の元の体の名前もまだ思い出せない。もしかして転生したから思い出せない?ここにきてようやくその考えに思い至った。
いやいやいや。それはない。
死ぬような目に遭った記憶はない。痛いなあ、苦しいなあ、死にそうだ、なんて感じた覚えてもない。竜巻……いや、ないないない!
と、とりあえず名前だけでも思い出そう。
思い出せ、思い出せと頭を押さえていると、ポチャンと音がした。テーブルの上に置いて花瓶からのようだ。
近付いてみれば花瓶の縁に何かいる。じーっと近付いて行くと……
「人形?動いた!小人!?」
「よかった!見えるのね!」
花瓶に座っていた小さい生き物が俺を見て言った。人をそのまま小さくしたような生き物は、なんだかとても嬉しそうな顔をしている。
その小人は背中に生えた透き通った羽で飛び、俺の手に乗ってきた。近所の女の子が持ってたなんとかちゃん人形よりも小さい、体長十センチぐらいのサイズだ。だから凄く軽い。むしろ重さなんてないくらいだ。
よくよく見ると、その羽は無色透明ではなく薄く色が着いている。緑…いや、青か……綺麗だな。
これはもしや妖精ってやつだろうか。
じっと見ていると、顔の周りを飛び廻り出した。
「君は妖精?」
「そうよ!わたし、セクアナ!水の妖精なの!」
話し掛けていいものなのか迷ったが、俺が尋ねると妖精は嬉しそうに答えた。テーブルの上に移ってお辞儀までしてくれる。随分と礼儀正しいな。
「え……っと、セクアナちゃん?セクアナちゃんはいつこの部屋に入って来たの?」
「セクアナって呼んで!ずっとここにいたわ。疲れたからこの水の中で休んでただけ」
セクアナはそう言って花瓶を指した。
やっぱり水の妖精だから回復するのは水の中ってことなのか?それにしてもずっと?ずっとって俺がここに来る前からか?
「な、なあ、じゃなくて…ねえ、セクアナはいつからここにいたの?」
俺は幼女。俺は幼女。気持ち悪いと思いながらも女の子口調を復活させる。
「一緒に来たの、覚えてないの?」
「一緒に来た?もしかして……わ、わたしと?」
「そうよ!ふあぁ~、眠い。リオナ、わたしまだちょっと眠いの。起きるまで待っててね!」
セクアナはそう言って、また花瓶の中に戻ってしまった。
まだ聞きたいこともあったのに……。
あれ?そういや今……なんかリオナとか言わなかったか?
もしかして俺の名前か……?もちろん元のではない。この幼女の体の名前だ。なぜだかそう思う。リオナと言われて酷く胸がざわついたのだから。
胸を押さえていたら、ライアンが入ってきた。
「起きたのか?どうだ、体の調子は?」
「あの、えと…大丈夫。よく眠れたわ」
そう言ったとたん、ぐうぅぅと盛大にお腹の虫が鳴った。は、恥ずかしい……。
「ははは、いい音だ。ちょっと待ってろ。今なんか持ってきてやる」
ライアンはそう言ってすぐに部屋を出ていった。
それから五分もたたず、ライアンは部屋に戻ってきた。食欲をそそるいい匂いがする。運んでこられたワゴンにはたくさんの料理が載っていた。どう考えても幼女の俺には食べきれない量だ。
テーブルの上に料理が所狭しと並べられていく。どれも見たことがない物ばかりだが、色とりどりで鮮やかで、凄く美味しそうだ。
「ほら、たんと食べな」
イエッサー!
俺は嬉々として料理に食らいついた。
「食べ終わった頃にまた来る。慌てずゆっくり食えよ」
「うん!」
料理はどれも食べたことないぐらい美味しかった。ここは天国だ!俺は無我夢中で食べた。
四分の一程食べた所で双子が起きてきた。
「おはよう~」
「よく眠れた?」
「うん、ありがとう。おかげでよく眠れたよ。え~と、フラムたちも食べる?」
エルフが人間の料理を食べられるかは知らないが、一応勧めてみる。
「いいの?食べる~」
「わ~い。おいしそう!」
喜ぶ双子に癒された。可愛い。
しかしその食欲は可愛くなかった。物凄い勢いで食べ始めたと思ったら、あっという間に山盛りの料理を完食していく。大食いチャンピオンも真っ青になるくらい。
エルフ、ぱねえ~~。
俺が圧倒されている間に全ての皿が空いてしまった。まあお腹いっぱいだからいいけど、りんごに似たのは食べてみたかったな。
ちょっとだけがっかりしていたら、タイミングよくライアンが戻ってきた。
「おっ!全部食べたのか。えらいえらい」
頭を撫でてくれるが、中身は成人した男だからやめて欲しい。けど今の俺は幼女だ。可愛い幼女を大人が誉めて撫でるのは仕方ない。我慢我慢。
「フラムたちも食べさせてもらったー」
「おいしかったー」
「そうか、よかったな」
ライアンは嬉しそうに報告する双子を俺と同じように撫でると、空になった食器をワゴンに載せる。そして俺の正面の椅子に腰をかけた。
どうやら真面目な話が始まるみたいだ。
「今のとこ、お前に関わりがありそうな情報は何も入ってきていない。少なくともこの近隣、王都全域でも行方不明になっている子供はいないし、竜巻の情報も上がってきていない」
「そうなんだ」
「心配するな。ちょっと難航しそうだけど、必ずお前が誰か、家族も見付けてやるよ」
ライアンがにかっと外国の俳優みたいに笑った。
「ありがとう。わたしも何か思い出したらすぐ言うね」
まああんまり期待はしないで欲しいけど。
「それにしても、名前がないのは不便だな。いつまでもお前って呼ぶ訳にもいかないだろうし……仮にでいいから何か呼んで欲しい名前はないか?」
「リオナ」
俺は思わず即答した。先程妖精に呼ばれた名前だ。ライアンが驚いている。
あ、ヤバイかな?けどそれ意外の名前で呼ばれるのも違和感を感じる。
「リオナか……似合ってるな」
「うん!かわいい!」
「カワイイ、カワイイ!」
「あ、ありがとう。嬉しいな。実はさっきいた妖精ががそう呼んでくれたの」
「妖精?」
「? 自分で妖精だって言ってたけど……」
何かおかしいのだろうか。もしや精霊はいても妖精はいないとか?
不安に思っていると、ライアンがガバリと俺の両肩を掴んできた。
「見えるのか!?」
「リオナ、スゴい!」
「うん!妖精が見えるなんてスゴいね!」
「そ、そうなの?」
ブリギッド姉さまのような精霊がいるのだから、妖精も普通に見えるものだと思っていたが……どうやら違うらしい。
「え……っと、精霊とか妖精ってほんとは見えないの?」
そう尋ねると三人がかりで説明してくれた。
精霊は普通の人にも見えるが妖精は普通の人には見えないらしい。見えるのは魔力が高い者だけ。
しかも見えても会話まで出来る者は人間ではあまりいないんだそうな。人間でそれが出来るのは珍しく、魔力が余程高く、エルフや精霊並みにある者だけなんだとか。
ヤバイ。ここにきてそんなチートな能力が!?
「じゃ、じゃあ、名前教えてもらったんだけど、これも普通じゃないの?」
「スゴーイ!!リオナ、妖精とケイヤクしたの?スゴいスゴい!!」
「ほんとにスゴいね!妖精と契約できる人なんてめったにいないよ!」
「け、契約?」
また訳のわからない言葉だ。これにもまた三人が懇切丁寧に教えてくれた。今度はこの世界の精霊や妖精たちについて詳細に。
この世界には人間が住むこの人間界と、精霊が住む精霊界があるらしい。
妖精はそのどちらの世界にも存在しているが、その存在を知覚できるのは魔力を持つ者だけ。魔力を持つ者は魔法の行使に妖精を媒介にさせることが多く、妖精の力を使えば、より強大な魔法が使え、普通の魔法でも楽に使えるようになるのだ。妖精自身は簡単な魔法は使えるが、人間のように複雑な魔法は使えないため、好奇心旺盛な妖精は喜んで人間に力を貸すのだとか。
また、はっきりと見えるのは魔力が高い者だけで、その中でも会話することが出来る者はほんの一握りである。
さらに、妖精が名前を教えるのはその人間と契約したいからであり、契約出来る人間はエルフ以上の魔力持ちだけ。全魔法使いの一割にも満たない。王都でさえ二人しかいない。なぜなら契約すれば、常にその妖精に魔力を与え続けなければいけないからだ。
一方、精霊は基本精霊界でのみ生活している。人間によって召喚された者だけが人間界にやってくることが出来、契約すると召喚魔法を使わなくても人間界に存在し続けることが出来る。
召喚する魔力さえ持っていれば、精霊は力を貸してくれるが、いかんせん気紛れなので契約してくれるかくれないかは、精霊の好みやその時の気分による。精霊は高い魔力を保有しているが人間界では魔法が使えないため、人間の魔法使いの意志によってのみ魔法を使うことが出来るのだ。
それから妖精はほとんどが人型で個体差があるのに対し、精霊は獣や半獣、人型と、色々あるらしい。高位の精霊になると姿ん変えることも自由だとか。種族の差はあるが個体差はなく、人間界に召喚されて初めて個々の人格が形成される。なので精霊界にいる間は名前もなく、人間界に召喚した者が名前を与えるのだ。もちろん何度も召喚されていれば精霊界にいつつも人格を持ったままでいられる。
ちなみにエルフは全種族が高い魔力を保有しており、また、精霊や妖精の力を借りなくても魔法を行使できる特別な存在らしい。
この双子、小さいのに凄いんだなあ。思わず繁々と眺めてしまった。
「だから名前を名乗ったってことは契約して欲しいってことなんだ」
「そうなんだ……」
「リオナ、その妖精ってどんなんだった?」
「おしえて、おしえて!」
どんなって言われても……。
キラキラした目で双子に聞かれるが、説明に困ってしまう。
悩んでいたらポチャンと水音がした。花瓶を見ればやはりセクアナがいた。
「そこにいるよ」
「あ、ほんとだ。いた!」
「かわいいね!水の妖精だ!」
双子たちがセクアスを見てはしゃぐ。しかしライアンはセクアスとは少しずれた場所を見ている。
「ライアンには見えないの?」
「ああ。俺には魔力がないからな」
意外だ。近衛騎士団の団長だからてっきり見えると思ってた。
「ねえ、妖精さん?」
「セクアナって呼んでって言ったよね、リオナ!」
「なんでわたしがリオナなの?」
「リオナはリオナだよ!リオナ、自分の名前もわかんないの?」
連呼される度、確信した。確かに俺はリオナだ。
「リオナ、早くわたしと契約して!」
「契約って言われても……」
一体全体契約がどんなものかわからない。大体にして契約なんてしてもいいかもわからない。
ちらりと双子たちを見るが首を振る。エルフは妖精と契約しないので知らないらしい。
「ライアン……」
困ってライアンを見れば、彼は頭を掻いた。
「ああ、えーと……契約かあ。俺やり方知らねぇんだよなあ」
「いやあの……、その前に、わたしみたいなどこのだれともわからない人間が契約してもいいの?」
「構わないだろう?何か困るのか?」
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