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2 どうやら異世界みたいです
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「∇□×○※◆∀?」
部屋に誰かが入ってきた。
男性みたいだがやたらいい声だ。何を言っているのか、布団を被っているからかよくわからない。
びくびくしながら布団にくるまっていると、足音が近付いてきた。ベッドを覗き込まれている気配がする。
「○×◆□※∇」
男がまた何か言って俺の布団を剥がした。
しまった!目と目が合ってしまった。
ああ、やっぱり。
どう見ても外国人だ。
白い肌にウェーブのかかった栗色の髪、茶色がかった金色の瞳。鼻筋は高く俳優ばりの濃い顔立ちのめっさ男前だ。欧米人の年齢はよくわからないが、アラサーぐらいだろうか。
何かのコスプレなのか、いや、それともやはり俳優だから撮影なのか、少々変わった服を着ている。中世の騎士っぽい鈍色の甲冑だ。あちこちに傷がある。
その男前がにっこり笑った。女なら即ノックダウンだ。
とりあえず寝ているのは失礼かと思い、起き上がろうとすれば男が手を添えてくれる。う~ん、やっぱ紳士だ。
そして優しい手つきで、小さい子供にするように頭を撫でてくれた。体はごつくて威圧感があるのに優しいんだなあ。あ、今の俺は小さい子供なんだった。
とりあえずここがどこなのか聞こうと男を見ると、彼は優しげな笑顔のまま俺を見て言った。
「○※×◆∀>∇?■×◆□∇※∀?」
何を言っているのかさっぱりわからない。ラノベにありがちな言葉が通じるチートな能力が、夢の中だからか俺にはないようだった。不親切だなあ、俺の夢。
「※∀○×□>◆?」
もう一度何か聞かれたがやはりわからない。
俺が困っているのに気付いて、言葉が通じていないのがわかったようだ。今度は身ぶり手振りで教えてくれようとする。
「×■○◆∀>∇ライアン」
自分を指差していたので、どうやら彼の名前らしい。見た目の通りの名前だ。ジロウとかだったら笑ってしまう。
彼はそれから俺の方を示した。どうやら名前を聞かれているらしい。
そこではたと気付いた。自分の名前がわからない。もちろん今の姿ではなく、俺の元の姿の名前をだ。
顔も性別も、どこに住んでたとか、何をしてたとか、家族や友達のことまで思い出せるのに、なぜか自分の名前だけが思い出せない。
俺は誰だったんだろう。
頭を抱えながら唸っていると、また誰かが入ってきた。先程までは気付かなかったが、飾り棚の横に扉があり、そこから二つの人影が現れた。一人はモデルか何かですかって思う程の高長身。そしてライアンとはまた違ったタイプのイケメンだ。
白いズルズルした服を着ていて、長い金髪を後ろで縛っている。
そしてその後ろから現れたもう一人を見て驚愕した。
その人物?のおかげで、ここが海外のどこかではなく、地球がある俺がいた世界ではない、所謂トリップ物でよくあるファンタジーな異世界であることはよくわかった。そんなに現実逃避したかったのか、俺よ!
金髪の男に続いて現れたのは、超絶好みなダイナマイトなナイスバディ。あの、不○子ちゃ~んすらも凌駕する、ボン・キュッ・ボンの赤い髪の綺麗なお姉さま?だった。
ただし……ただしどう見ても人間ではない姿をしている。額にはピンク色のキラキラ光る石が埋め込まれ、頭からは角のような三角の乳白色の物体が刺さっていた。尻から蜥蜴のようなワニのような、赤くて大きい尻尾が生えている。どう見ても特殊メイクと呼べるレベルじゃない。
こんなに巨乳で美人なのに~。夢の癖に!
「なんてもったいない!!」
俺は思わずベッドに突っ伏した。
急に臥せった俺に、彼らは慌てているように口々に何か言っている。心配してくれているようだが、やっぱり何を言っているのかさっぱりだ。
そこにまた違う声が聞こえた。
「大丈夫?」
「まだイタイ?」
子供の声だ。不思議なことにその言葉は理解出来た。
「フリン、フラム、○×◆※∇?」
先程のお姉さまのだろう声が何か言った。最初の聞き取れた言葉は名前だろうか。
「わかったー」
子供の声がそれに応える。やはり子供の声は理解できるな、と不思議に思っていると、突然体が暖かくなるのを感じた。外からではなく体の内側からの熱だ。
思わず顔を上げると、目の前に二つの小さな顔があった。
思わずぎょっとした。あまりにもそっくりな顔が二つ。それはまあいい。ただ二人の顔が、顔の色が、人間とは全く違っていた。肌の色が薄い灰色なのだ。おまけに耳は尖っている。
明らかに人間じゃない。顔の作りはは可愛いけど。でも正直恐い。
恐らく子供だろうが、人間じゃない存在に目の前まで近付かれて、びびらない訳はない。思わず壁際まで寄ってしまった。
そんな俺を見て、二人は顔を見合わせる。
「これで言葉がわかるよ」
「わかる?わかるよね!」
二人の子供がにこりと笑う。その顔がなんだか年の離れた従弟たちに似ていて、ようやく落ち着いた。
「あ、ありがとう」
俺がそう言うと、二人はぴょんぴょん飛び跳ねて喜んだ。
可愛い。なんか凄い可愛いぞ。
俺の今の体よりかは年上だろうが、それでも十歳くらいだろう。無性にぎゅうと抱き締めたくなった。
ショタコンとかロリコンの気はないはずだけどな……俺。
とりあえず恐怖は消えたので、おずおずと元の場所に戻れば、ライアン手を差し出してきた。
「改めまして、俺はライアン・オニール。よろしく」
握手を求められた。ゴツゴツした男らしい手だ。羨ましい。
「僕はルアン・ケリー。普段はルーイって呼ばれてる。君もそう呼んで。王宮で魔法使いをしてるんだ」
次にベッドサイドに腰をかけて話し掛けてくれたのは、金髪長身のイケメンさん。二十代半ばくらいだろうか、ライアンより背は高そうだか線が細いから威圧感がない。
それにしても変な格好だと思ったら、魔法使いだったのか。納得だ。
しかし魔法使いかあ、いよいよ異世界って感じだな。俺も使えるのかな?
ちょっとだけワクワクしていたら、今度はあの色っぽいけど人間じゃないお姉さまが近付いてきた。ああ、その胸にダイブ、いや、ぱふぱふしたい。
「私はブリギッド。サラマンダーの精霊よ。一応高位の精霊なの」
妖艶なお姉さまはなんと精霊だった。精霊がどんな存在か、サラマンダーが何か、色々よくわからないけれど、うふんと色気たっぷりな微笑みを投げ掛けられて、どうでもよくなってしまった。俺ってつくづくアホだな。
サラマンダーだけど巨乳のお姉さまがベッドを離れ、先程の子供たちを自分の前に立たせる。二人の顔はやっぱりそっくりだった。けれど髪型は少し違う。一人は襟足が長めのショーットカット。もう一人はそれより少しだけ全体的長く、後ろの髪は肩まであった。おそらく女の子だろう。
「この子たちはフリンとフラム。双子のエルフなの」
「名前、名前教えて!ボク、フラム」
「ワタシ、フリン、なまえは、なまえは?」
エルフの双子がベッドに乗って近付いてくる。
「ごめんなさい。お、いや、わたし…名前わかんない」
一応この体に見合う話し方にした。男性で、まして二十歳過ぎた大人だなんて知られたくない。それに話しても信じてもらえないかもしれないし。
ま、一番はこのまま可愛い幼女を演じた方が親切にしてくれそうだ、という打算的な考えのもと、俺は幼女キャラになりきることにした。
ちょっと、いや、かなりキモいな、俺。
その後も色々聞かれたが、もちろん俺は何一つまともに答えることが出来なかった。
どこの誰か、ここがどこかもわからない俺に、三人の大人プラス二人の子供はとても親切だった。
三人の説明によれば、ここはティルナ・ノーグ国の王宮で、近衛騎士団の宿舎の中らしい。
ライアンはその近衛騎士団のなんと団長だそうだ。カッコいいなあ。
それにしても……。宿舎とはいえ、さすが王宮。どうりで広いはずだ。調度品も高そう。汚さないようにしよう……。
改めて部屋を眺めていると、今度は俺を見付けた時の話になった。
「どこから来たのもわからないとは不思議よねえ…あなた王宮の裏庭で倒れてたのよ。しかも血塗れで」
なんだそれ?
何も覚えていない。全く記憶にない。血塗れ?どういうことだ!?
「何か竜巻にでも巻き込まれたみたいな感じだったわ。服が破れてて、切り傷がたくさんあったの」
竜巻と言われてもピンと来ない。
「そうか……。それもわからないのか……。痛かったろうに」
ライアンが痛ましげに俺を見る。
俺は視線を逸らした。そんな顔してもらっても覚えてないし、だいたい傷も治っている。たぶん魔法で治してくれたんだろう。身に覚えもないことでかわいそがられてもな……。
「もしかして何か辛い目に遭って、記憶をなくしたのかもしれないね。大丈夫。大事なことならきっと思い出すよ」
ルーイが笑って、慰めるように頭を撫でてくれた。
ブリギッド姉さまもぎゅっと抱き締めてくれる。
豊満な胸が!ダイナマイトなお胸があぁ!柔らかいのにこのなんとも言えない弾力。これは神だ!神が与えたもうた奇跡だ!
ああ、サイコーの感触!もっとお願いします!!
アホなことを思っていると、ライアンにも頭をくしゃりと撫でられた。男はいらねえ!
「そうだな、何か思い出すまでここにいればいいさ」
「そうそ。ここは安全だしね。あ、警備隊には僕から通しておくよ。近衛騎士団のみんなにはライアンから言ってくれるだろう?」
「ああ。あ、いや、その前に陛下だな。それとルーリー殿下にも言わないと……」
「殿下にはもう言ってある」
「お前仕事はえーなあ。あ、だからこの部屋なのか……」
三人が真剣に話しているのに、だんだんと目蓋が重くなってくる。聞かないといけないのに……。
うつらうつら船を漕ぐ俺を、双子がベッドに運んでくれる。
「ネムイの?ねていいよ」
「ボクたちがそばにいてあげるから」
その言葉になぜか安心して、俺は眠ってしまった。
夢の中なのに寝るって……夢じゃないのか!?
いや、きっと目が覚めたら俺の部屋なはず。
きっとそうだ……。
部屋に誰かが入ってきた。
男性みたいだがやたらいい声だ。何を言っているのか、布団を被っているからかよくわからない。
びくびくしながら布団にくるまっていると、足音が近付いてきた。ベッドを覗き込まれている気配がする。
「○×◆□※∇」
男がまた何か言って俺の布団を剥がした。
しまった!目と目が合ってしまった。
ああ、やっぱり。
どう見ても外国人だ。
白い肌にウェーブのかかった栗色の髪、茶色がかった金色の瞳。鼻筋は高く俳優ばりの濃い顔立ちのめっさ男前だ。欧米人の年齢はよくわからないが、アラサーぐらいだろうか。
何かのコスプレなのか、いや、それともやはり俳優だから撮影なのか、少々変わった服を着ている。中世の騎士っぽい鈍色の甲冑だ。あちこちに傷がある。
その男前がにっこり笑った。女なら即ノックダウンだ。
とりあえず寝ているのは失礼かと思い、起き上がろうとすれば男が手を添えてくれる。う~ん、やっぱ紳士だ。
そして優しい手つきで、小さい子供にするように頭を撫でてくれた。体はごつくて威圧感があるのに優しいんだなあ。あ、今の俺は小さい子供なんだった。
とりあえずここがどこなのか聞こうと男を見ると、彼は優しげな笑顔のまま俺を見て言った。
「○※×◆∀>∇?■×◆□∇※∀?」
何を言っているのかさっぱりわからない。ラノベにありがちな言葉が通じるチートな能力が、夢の中だからか俺にはないようだった。不親切だなあ、俺の夢。
「※∀○×□>◆?」
もう一度何か聞かれたがやはりわからない。
俺が困っているのに気付いて、言葉が通じていないのがわかったようだ。今度は身ぶり手振りで教えてくれようとする。
「×■○◆∀>∇ライアン」
自分を指差していたので、どうやら彼の名前らしい。見た目の通りの名前だ。ジロウとかだったら笑ってしまう。
彼はそれから俺の方を示した。どうやら名前を聞かれているらしい。
そこではたと気付いた。自分の名前がわからない。もちろん今の姿ではなく、俺の元の姿の名前をだ。
顔も性別も、どこに住んでたとか、何をしてたとか、家族や友達のことまで思い出せるのに、なぜか自分の名前だけが思い出せない。
俺は誰だったんだろう。
頭を抱えながら唸っていると、また誰かが入ってきた。先程までは気付かなかったが、飾り棚の横に扉があり、そこから二つの人影が現れた。一人はモデルか何かですかって思う程の高長身。そしてライアンとはまた違ったタイプのイケメンだ。
白いズルズルした服を着ていて、長い金髪を後ろで縛っている。
そしてその後ろから現れたもう一人を見て驚愕した。
その人物?のおかげで、ここが海外のどこかではなく、地球がある俺がいた世界ではない、所謂トリップ物でよくあるファンタジーな異世界であることはよくわかった。そんなに現実逃避したかったのか、俺よ!
金髪の男に続いて現れたのは、超絶好みなダイナマイトなナイスバディ。あの、不○子ちゃ~んすらも凌駕する、ボン・キュッ・ボンの赤い髪の綺麗なお姉さま?だった。
ただし……ただしどう見ても人間ではない姿をしている。額にはピンク色のキラキラ光る石が埋め込まれ、頭からは角のような三角の乳白色の物体が刺さっていた。尻から蜥蜴のようなワニのような、赤くて大きい尻尾が生えている。どう見ても特殊メイクと呼べるレベルじゃない。
こんなに巨乳で美人なのに~。夢の癖に!
「なんてもったいない!!」
俺は思わずベッドに突っ伏した。
急に臥せった俺に、彼らは慌てているように口々に何か言っている。心配してくれているようだが、やっぱり何を言っているのかさっぱりだ。
そこにまた違う声が聞こえた。
「大丈夫?」
「まだイタイ?」
子供の声だ。不思議なことにその言葉は理解出来た。
「フリン、フラム、○×◆※∇?」
先程のお姉さまのだろう声が何か言った。最初の聞き取れた言葉は名前だろうか。
「わかったー」
子供の声がそれに応える。やはり子供の声は理解できるな、と不思議に思っていると、突然体が暖かくなるのを感じた。外からではなく体の内側からの熱だ。
思わず顔を上げると、目の前に二つの小さな顔があった。
思わずぎょっとした。あまりにもそっくりな顔が二つ。それはまあいい。ただ二人の顔が、顔の色が、人間とは全く違っていた。肌の色が薄い灰色なのだ。おまけに耳は尖っている。
明らかに人間じゃない。顔の作りはは可愛いけど。でも正直恐い。
恐らく子供だろうが、人間じゃない存在に目の前まで近付かれて、びびらない訳はない。思わず壁際まで寄ってしまった。
そんな俺を見て、二人は顔を見合わせる。
「これで言葉がわかるよ」
「わかる?わかるよね!」
二人の子供がにこりと笑う。その顔がなんだか年の離れた従弟たちに似ていて、ようやく落ち着いた。
「あ、ありがとう」
俺がそう言うと、二人はぴょんぴょん飛び跳ねて喜んだ。
可愛い。なんか凄い可愛いぞ。
俺の今の体よりかは年上だろうが、それでも十歳くらいだろう。無性にぎゅうと抱き締めたくなった。
ショタコンとかロリコンの気はないはずだけどな……俺。
とりあえず恐怖は消えたので、おずおずと元の場所に戻れば、ライアン手を差し出してきた。
「改めまして、俺はライアン・オニール。よろしく」
握手を求められた。ゴツゴツした男らしい手だ。羨ましい。
「僕はルアン・ケリー。普段はルーイって呼ばれてる。君もそう呼んで。王宮で魔法使いをしてるんだ」
次にベッドサイドに腰をかけて話し掛けてくれたのは、金髪長身のイケメンさん。二十代半ばくらいだろうか、ライアンより背は高そうだか線が細いから威圧感がない。
それにしても変な格好だと思ったら、魔法使いだったのか。納得だ。
しかし魔法使いかあ、いよいよ異世界って感じだな。俺も使えるのかな?
ちょっとだけワクワクしていたら、今度はあの色っぽいけど人間じゃないお姉さまが近付いてきた。ああ、その胸にダイブ、いや、ぱふぱふしたい。
「私はブリギッド。サラマンダーの精霊よ。一応高位の精霊なの」
妖艶なお姉さまはなんと精霊だった。精霊がどんな存在か、サラマンダーが何か、色々よくわからないけれど、うふんと色気たっぷりな微笑みを投げ掛けられて、どうでもよくなってしまった。俺ってつくづくアホだな。
サラマンダーだけど巨乳のお姉さまがベッドを離れ、先程の子供たちを自分の前に立たせる。二人の顔はやっぱりそっくりだった。けれど髪型は少し違う。一人は襟足が長めのショーットカット。もう一人はそれより少しだけ全体的長く、後ろの髪は肩まであった。おそらく女の子だろう。
「この子たちはフリンとフラム。双子のエルフなの」
「名前、名前教えて!ボク、フラム」
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その後も色々聞かれたが、もちろん俺は何一つまともに答えることが出来なかった。
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それにしても……。宿舎とはいえ、さすが王宮。どうりで広いはずだ。調度品も高そう。汚さないようにしよう……。
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「どこから来たのもわからないとは不思議よねえ…あなた王宮の裏庭で倒れてたのよ。しかも血塗れで」
なんだそれ?
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「何か竜巻にでも巻き込まれたみたいな感じだったわ。服が破れてて、切り傷がたくさんあったの」
竜巻と言われてもピンと来ない。
「そうか……。それもわからないのか……。痛かったろうに」
ライアンが痛ましげに俺を見る。
俺は視線を逸らした。そんな顔してもらっても覚えてないし、だいたい傷も治っている。たぶん魔法で治してくれたんだろう。身に覚えもないことでかわいそがられてもな……。
「もしかして何か辛い目に遭って、記憶をなくしたのかもしれないね。大丈夫。大事なことならきっと思い出すよ」
ルーイが笑って、慰めるように頭を撫でてくれた。
ブリギッド姉さまもぎゅっと抱き締めてくれる。
豊満な胸が!ダイナマイトなお胸があぁ!柔らかいのにこのなんとも言えない弾力。これは神だ!神が与えたもうた奇跡だ!
ああ、サイコーの感触!もっとお願いします!!
アホなことを思っていると、ライアンにも頭をくしゃりと撫でられた。男はいらねえ!
「そうだな、何か思い出すまでここにいればいいさ」
「そうそ。ここは安全だしね。あ、警備隊には僕から通しておくよ。近衛騎士団のみんなにはライアンから言ってくれるだろう?」
「ああ。あ、いや、その前に陛下だな。それとルーリー殿下にも言わないと……」
「殿下にはもう言ってある」
「お前仕事はえーなあ。あ、だからこの部屋なのか……」
三人が真剣に話しているのに、だんだんと目蓋が重くなってくる。聞かないといけないのに……。
うつらうつら船を漕ぐ俺を、双子がベッドに運んでくれる。
「ネムイの?ねていいよ」
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