エリートオメガ受佐美の秘密

TERRA

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エリートオメガ受佐美の秘密

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株式会社バース。

右を向いてもアルファ、左を向いてもアルファ。
ここは、選び抜かれたエリートたちだけが集まる部署だ。

春からその一員となった攻田は、憧れの人を目の前にして、胸の高鳴りを抑えきれずにいた。
黒髪がさらりと額にかかり、透けるような白い肌、どこか近寄りがたい儚げな雰囲気。
受佐美は、攻田が学生時代から尊敬してきた存在だ。

つい見惚れていると、受佐美がふいにこちらを振り向く。

「攻田、何ぼーっとしてる?」
「っ、あっ、すみません先輩!」

攻田は慌てて姿勢を正した。
「ちょっと、舞い上がっちゃって……。」
「……?」

「中高ずっと主席で、生徒会長もやってた先輩と同じ部署で働けるなんて、夢みたいで。」

その言葉に、受佐美の涼しげな眉がわずかに動く。
「……は?」

「ほんとに尊敬してるんです、俺。先輩って何をやってもトップクラスだし、親戚もエリートだらけって聞きましたし!」

受佐美は目を伏せ、小さくため息をついた。

「誰でも努力すれば、それなりに結果は出るもんだ。」

「……。」
「でも、たいていの奴は努力じゃなく、才能のせいにして勝手に諦める。」

そう言うと、受佐美は手元の資料を無造作に攻田の前へ置く。

「えっ……?」

「定時に帰りたいなら、とっととこれ片付けろ。」

「はいっ!」

攻田は勢いよく返事をし、すぐさま書類に手を伸ばす。

やっぱり、先輩はただ者じゃない。
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