エリートオメガ受佐美の秘密

TERRA

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エリートオメガ受佐美の発情

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会議室を出た後、受佐美はそっとため息をついた。
背筋を伸ばして歩くものの、心の奥はざわざわと落ち着かない。
攻田の視線。最近、あきらかに変わった。それまでの軽さや無邪気さが消え、代わりにまっすぐで、どこか見透かすような眼差しを向けてくる。

(……また見てた。)

エレベーターのボタンを押す指先が、かすかに震えた。
慌てて手を引き、胸の奥に沸き起こるざわめきを無理やり押し込める。

(……気のせいだ。あんなの、一時の気まぐれに決まってる。)

そう言い聞かせても、攻田の変わった態度。ふとした時に自然に手を貸してくれるさりげない優しさが、なぜか頭から離れなかった。

エレベーターの中、鏡に映る自分と目が合う。無意識に視線を逸らして、ぎゅっと拳を握る。

(……わからない。)

受佐美は今まで、ただひたすら「優秀でいなければ」と必死に生きてきた。
オメガだと診断されたときも、誰にも知られぬよう、自分を守ることで精一杯だった。
他の事なんて、考える余裕もなかった。
だからこそ、今、この心のざわつきが何なのか、うまく言葉にできない。

誰もいないオフィスの片隅で、そっと胸元を押さえる。
微かに残る攻田の視線の余韻を、消すことができずに。

そのとき、ポケットのスマホが短く震えた。
ディスプレイには、弟・小太刀の名前が表示されている。

「……なんだ?」
できるだけ冷たく応答したつもりだったが、声がわずかに揺れてしまう。

『兄さん、今どこ?最近全然連絡ないし……大丈夫?』

その声は甘さをまとっているが、耳に馴染んだ「支配者の響き」が隠れていた。自然と背筋が強張る。

「仕事中だ。用がないなら切る。」

『そんな冷たくしなくてもさ。俺、兄さんのことちゃんと心配してるんだよ?……まさか、職場でバレそうになってる?』

その一言に、息が詰まった。

「……問題はない。」
精一杯、無感情を装う。

『ほんと?兄さん、俺のこと裏切ったりしないよね?まあ、安心して。俺はずっと兄さんの味方だから。兄さんは俺だけ信じてればいいんだよ?』

一方的にそう告げられ、通話は切れた。
受佐美はスマホを机に置き、深く息をつく。
背中に冷たい汗が張り付いている。

(……逃げ場なんて、最初からないのに。)

静かなオフィスの片隅で、目を閉じる。
胸の奥に広がる重たさを、どうすることもできずに。
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