モノクロコントラスト ー黒き翼と白き記憶ー

ゆずたこぽんず

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第五章 研究所

✦✦Episode.50 太陽の香り

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✦ ✦ ✦Episode.50 太陽の香り

 白い石造りの壁を踏み、木漏れ日の中へ足を踏み出す。 地面に揺れる、優しい陽光……温かい春風の香りを胸一杯に大きく息を吸い込こみ、吐き出した息はスッと爽やかに空気に溶ける。

――この森には様々な木々が生い茂り、道の先まで色とりどりの花でいっぱいに埋め尽くされていた。 その華やかな色合いに、蝶も鳥も小さな甲虫たちも踊るように飛び回っている。

 外の世界は、記憶に残らない程遠く、生まれて初めて見るような景色に、ミレアとシアンは外の景色を存分に楽しんでいた。 その傍らで、クロトはと言うと……地面にしゃがみこんで頭を抱えていた。

「なぁ、こいつ……どうする?」 

 瞳の先に見える、小さくて白い綿毛のような仔犬が、尻尾を降りながら、こちらを、きゅるんと眺めている。 二人がクロトの肩越しにそれを覗き込むと、そのつぶらな瞳とぱちりと目があった。

「いやぁ、どうするもなにも……この白いモフモフは……なんというか……ですねぇ……」
「……きゃわいい……!!」

 ミレアはそっと真っ白な仔犬に手を添えると、それを求めていたかのように腕の中に収まった。 もふもふとした綿毛は、ミレアに抱き締められながら、小さな尾を左右に揺らして、粒のような瞳を輝かせている。

「――わっふ!」

 へっへと急ぐように速い息が、可愛らしい舌と共に出たり入ったり、地下で見た小動物と違って愛らしい、このぬいぐるみのようなモフモフに、ミレアは思わず顔を埋めた。

「あぁっ、すごい、ふわふわしてて、可愛すぎる!!ふわふわぁ~!」
「うっ……ず、ズルいですよミレア!!私にも、そのモフモフを抱かせてください!!」

 取り合いのように、モフモフがミレアとシアンの腕を行ったり来たりしている。 まんざらでもない顔で、モフモフは好きなように撫でられ続けていた。 その光景を生暖かい目で見守っていたクロトは、呆れて頭を抱え、大きくため息をついた。

 そもそも、なぜこの仔犬がこんなところにいるかと言うと――ほんの少し前に、白銀の獣と激戦を繰り広げていたはずなのだが……。

「まさか、あれが、このモフモフになるとは……」

 すっと、目の前につぶらな瞳が現れる。 じいっとそれを眺め、溢れそうになる感情を出さないように、ぐっと耐える。 こんな得体の知れない獣を、抱き締められるはずか無い。

「クロトぉ~?もふもふ、かわいいよぉ~?だっこしてみなぁ~い?」
「ぐ……だ、誰が!!」
「あぁ、だっこしてくれないの~?きゅるるーん?」

 仔犬の後ろで、いたずらなミレアの声が聞こえる。 目の前でふわふわと左右に揺らされるものに耐えきれずに、ギュッと抱き締めて顔を埋め、思い切り息を吸い込んだ。

――スゥ。 天日干しにされた布団のような、芳しい太陽の香り。 ほっと温かい体温と、尾を揺らす微細な振動が雷のように全身を駆け巡る。 

「な、なんだ……これ……ふ、ふわっふわだっ……!!」

 不思議な生命体のようにしか見えないのに、心の底まで癒される。 もはや、ここにいる誰もが、この白いモフモフを求めていた。

「そんなに、おいらのこと可愛いですかねぇ?我があるじ?」
「――は?」
「モフモフが!! 喋ったーー!!?」

 いや、人から犬型になって喋る存在を知らないわけではない。 だが、目の前にいるこの綿毛が喋り出すとは微塵も思っていなかった。 ミレアとクロトは、ぽかんと口を開けて驚いた。

「――ふむ、いやあ、とても興味深い。 考えるに、これは先ほどの獣でしょうか?」

 シアンの目がキラリと光ったように見えた。 確かに、仔犬の首元には四色の入り交ざった輪がはまり込んでいる。 つなぎ目は溶けたように見つからず、仔犬は弾けるように空に跳ねた。

「おいらの名前決めてくれよ、あるじぃ」
「えっ、名前……?も、もふもふだから、もっふー?」
「ちょっ、ふふ、クロトそれ、そのまんま過ぎるよぉっ!」

 あまりのネーミングセンスの無さに、ミレアは腹を抱えて転げて笑う。 もっふーと名付けたそれは、胸というか、毛の塊というかを自慢げに前へ突き出した。

「いいねぇ、おいら、今日からもっふー!よろしく!あるじぃ!」

 キラッと星が落ちたように、もっふーはつぶらな瞳を輝かせ、尻尾を思い切りパタパタと降った。 その後ろに、見覚えのある懐かしい景色が広がっている。 ごうごうと水が滝つぼまで落ちる音が胸の奥まで響く。

「あ……ここは、俺の……俺の家だよ!!」

 クロトが大好きだった、あの場所――毎日、飛び込んでは、その滝の洞窟で過ごしたクロトの住む場所。 そのほんの目と鼻の先に、この扉は隠されていたのだった。 その懐かしさに、クロトは滝へ向けてゆっくりと翼を広げて歩き出す。

「んん?あるじ、マテ!!誰か来た!!」

 もっふーの声が響くと、クロトは動きを止めた。 ガサガサと揺れる茂みの先で、何者かがこちらへ向かって木々を踏みしめている。

「黒い……翼!? 本当にいた!あなたが……クロト君なのね?」
「な……? 何で俺の名前……?」

 今まで会ったことも無い、村にいた時にも、その顔を見たわけでもないのに、突如として名前を呼ばれ、クロトは警戒心をあらわに、スッと目を細める――静かに、腰の剣に指を這わせた。

「答えろ、何で俺の名を知っているんだ」

 シャキリと、剣の音が響く――目の前にいる者は、敵なのかそれとも、本当に何かを知っているのか……。 クロトは、静かに眉間にシワを寄せた。

「やっと見つけた!!
こ、こっち――ねぇ、合わせたい人が居るの、早く、早く来て!!」

 攻撃してくる気もなさそうで、慌てた物言いにクロトは眉をしかめると、突然グイッと腕を引っ張られ、つられるように、その後を追う。 森の道を駆けて行く。 目の前に見える、懐かしい村の門が目に入ると、漆黒の翼は無意識に体内に溶けるように消えていった。


✦ ✦ ✦


――数刻前。
   昼過ぎの太陽が、窓際を優しく照らし、風に揺れたカーテンがフワリと揺れる。 外に見える村の子供たちが、色とりどりの花を摘み、時折窓辺において行くのを、手を振りながら眺めていた。

「よし、今日こそは、大丈夫かしら……?」

 小さな小屋の中……窓際に置かれたテーブルに向かって座り、リースが薬瓶の中に一粒の花の種子を混ぜ込んだ。 期待を胸に、一滴ずつすり潰した薬草に垂らし、その行く末を見守る。

ヘルヌティア薬となれ

 爆発音と共に、新たに作られた小屋の一角が吹き飛ぶ。 あまりに大きな物音に、外で薬草を干していたノアが、やれやれと呆れている。

「おー、また・・派手にやったものじゃ」

「――んもう!!スペルはあってるのに、なんで成功しないのよ!!」

 この小屋は、あまりにもリースが壁を吹き飛ばすためにノアが呆れて、新たに建てた小さな物置部屋だった。 相変わらず薬の調合に失敗して、リースは悔しそうにテーブルを叩く。 その拍子に薬瓶が連なって倒れ、中の液体がテーブルの上に漏れだす。

「ああ!!せっかく成功したやつが……っ全滅だわっ!なんてこと!」

 慌てて、漏れ出た液体をかき集めるも、混ざり合った液体が熱を持ち、一瞬のうちに蒸発していく。 数時間かけて作り上げた薬を全て無駄にしてしまい、トボトボと、頭を下げながら小屋を後にしたリースの目の前で、笑いながらノアは手招きをする。

 ノアの家の中で、リースは静かに椅子に座り込んだ。 本当にこの椅子は心地が良い。 暖かな日差しの中に照らされたシエルが、微笑むように壁際に座り手の平に集められた花々が風に吹かれて小さく揺れている。

 村の子供たちが、こっそり窓辺から忍び込んでは、置いて行くのだそうで。 アイビーに覆われた彼女の周りでは、所々に花が差し込まれていた。

「ほおら、たった今煎じたお茶だよ」

 リースはゆっくりと、茶を飲み込んだ。 丁度良い温度……爽やかなカモミールの花の香りが、焦る心を穏やかにさせてくれる。 その顔に、ジワリと涙が浮かぶ。

「もお、私……調合に向いて無さ過ぎて、ダメかもです」
「カカッ、それくらいで諦めては、仕方ないのう」

 ノアが静かに湯を沸かす傍で、燃える薪のパチパチとした音が聞こえ、香ばしい木の香りが部屋の中に漂う。 リースが、ふぅっとため息をついた、その時だった。

――ドォオオン!

 瞬く間に地面が左右に揺れ、棚にあった薬瓶たちが次々に床の上におち、粉々になってガラスが飛散する。 ごうごうと地鳴りが響き、テーブルを掴みながら耐える。 ほぼ全身を草で包まれたシエルは、動くことなくその場に留まっていた。

「きゃあ!!なんなの、この揺れは!!」
「くっ……こ、これは……!!あまりにも激しいっ!!」

 あっという間に、辺りはシンと静まり返って、部屋の中にあった物のいくつかは、ノアの魔法によって、落ちる寸前に停止させられていた。 ノアがゆっくりと指を振り上げると、全てのもが元の位置に戻り、床に散らばったガラスは、自ら箱の中へ納まった。

「――やれやれ、随分派手な揺れだった。 薬もいくつかダメになったな。 さあ、リース……また調合を手伝っておくれ」
「はいっ!喜んで!」

 リースとノアは、すり鉢の中に薬草と様々な種子を入れゆっくりとすり潰す。 それを、優しく薬瓶の中に入れ、蓋をしてかき混ぜる。 綺麗な薄色の液体が、チャポンと瓶の中で揺れた。

 ノアは一通り、家の中を見回ると乱れた本棚の本を正す。 外から、子供たちが驚いて無く声がそこら中から聞こえてきて、窓からその様子を眺めた。

「村の者に怪我がないか、見に行くよ」
「分かったわ!」

 リースは、薬棚の前に立つと、役に立ちそうなものをひとしきり選んで、袋に順番に詰め込んでいく。 彼女はまだまだ調合師としては新米だが、教えたことを確実に守り、少しずつ成長していく。 まさに大人の鏡と言うか、教師の鏡のようだった。

「えぇっと……確か……これと、これ……あと……これも必要になりますね」
「うむ――」

 ノアは、新しく作り上げた薬瓶と、包帯を布の袋の中へ綺麗に並べてしまい込んだ。 リースよりも先に、部屋の外へ出ると、空はまだ昼時だというのに、若干の茜色を宿している。 これは何か不吉の予兆なのか……その不思議な気配に、ハッとしたように顔を上げる。

「何だ、この胸の中にざわめく気は……もしや、クロト・・・――?」

 信じられないというように、胸の上を抑える。 だんだんと、その気配は確信に変わり、ノアは空の先に目を凝らした。 微かに、どこからか慌てたような小さな声が響く。 その声は、村の者には、誰一人聞こえていないようで、ノアはその声に耳を傾けた。

「――ノア様!! シルフィは、言伝を届けに来ました!!」

 風の精シルフィが宙を舞い、その姿を固めながら……ノアの眼前に現れた。 豆粒のような小さな指を森の先へ向け、慌ただしく声を上げた。 その途端――そう遠くない森の先で、獣の遠吠えが高らかに天を付き抜けた。 その波動が木々の上を伝い、ガタガタと家の窓が揺れている。

 茜色の空は、その波動と共に一気に晴れやかな青空に変わって、それすら誰も気が付いていないものだった。

「シルフィよ、教えておくれ」
「――“黒き翼が地よりでし、その封、我が四の魂の扉を解放せり”」
「……ありがとう。 “しかと受け取った” そう言伝を返したまえ」

 シルフィは再び風の中へ消えると、ノアは静かに振り返る。 まだ、部屋の中に居たリースは「いってきます」と、シエルの両手を握りしめていた。

「黒き翼が、地より出し……」

 ノアが小さく呟いた。 シエルの指先が微かに跳ね、リースはそれを感じ取ってシエルの肩を揺すった。 相変わらず彼女は目を閉じたままで、それ以上の反応を返さなかった。

「もしや……クロトが、戻って来たかもしれん」

 ノアの言葉にリースは驚き、飛び上がるように立ち上がり、慌ててノアの隣に並ぶ。 ノアは森の先に指を向け、言伝をもう一度、リースに聞かせるように繰り返す。

「――“黒き翼が地よりでし、その封、我が四の魂の扉を解放せり” 黒き翼、間違いなくクロトが、この地に戻って来た」
「あぁ、なんてこと!! 私……クロト君を探してきます!!」
「頼む……森の滝のそば、そこにがあるはずだ」

 村の入り口を抜け、森の先までリースは早足で駆けていく。 やがて水音が耳に届くと、草木の先にふわりと、白い何かが動いて見えた。 茂みを掻き分けながら、その場所を目指していく。

 ノアの言った通り、黒髪の少年が、漆黒の翼を背に、滝の先を眺めているのがリースの目に映った。 ただ、クロトをシエルに合わせたい、その一心で、名前も言わず村まで一直線に走り続けた。


✦ ✦ ✦



――ノアは囁く。
   どうか、彼らに再びの愛を。 その祝福を与えられますように。




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