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・before 回想編 “Day0”

0-9.

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「はぁっ、あ、あっ、ああっ……!!」
 耐えなくてはならない。そんなわずかな青年の抵抗など、何の役にも立たなかった。彼の下腹部がたぷたぷと満タンになるまで、清水を後ろで受け止め、震える腰で必死に我慢をする。
 今にも、それを吐き出してしまいたい。
 肛門の縁が、ひくひくと蠢く。それは必死に中身を閉じ込めておこうとしているのか、外に垂れ流してしまおうとしているのか――いやその両方だった。
「うっ、ううっ」
 青年の瞳から涙があふれてくる。まつ毛の先をしとどに濡らしてそれは彼の薔薇色に染まった頬の上を流れ落ちていった。
「ほう? 二回目は随分いい子・・・でいるじゃないか」
 自身の下唇が切れるほど歯を食いしばっている青年の様子に男は喉を鳴らすようにして笑った。それだけなのに、カッと体内の熱が一段と高くなって、青年は余計に泣きたくなる。いつから――、自分はこんな――。
「さっきまでの威勢はどうした? すっかり雲隠れしてしまったな?」
 そのことばに消えかけていた一筋の光がさして、それに驚愕する。行為を強いられているとはいえ、自分から許してくれと泣きわめいていたという事実に。その現実感が一斉に襲ってくる。それは青年の対抗心を支えていた自尊心プライドをひどく傷つけた。
「……悔しいのか?」
 勝ち誇ったような男の微笑がたまらなく憎い。恨み節のひとつふたつじゃ足りないくらい。
 彼はおそらく人間など暴力と権力で簡単に操れるとでも思っているのだろう。けれど、そうではないということを。彼がどうとでも言いなりにできると思い込んでいる人間ひとりひとりにも、確固とした自我があるのだということを見せつけてやりたい。
 自分は決してお前の言いなりにはならない。そう、教えてやる。操り人形なんて、まっぴらごめんだ!
「ほぅ。面白いやつだな」
 青年の瞳の色が変わったのに気が付いて、男は表情を変えた。どこかその冷え切っていた瞳の奥にせつな熱量が高まったような気配を感じたが、それが一体なにを意味するのか、青年にはわかりかねずにいた。
「おい、手を休めるな」
 男は平坦な口調でポンプを握る使用人に命じる。途端、すでに限界にまで達しているというのに、水が体内に入り込もうとしてきて、その圧に青年はうめいた。
「うっぅ、うく、……ぐあっ」
 きつい後孔の縁とそこに食い込んでいるポンプの間から詰められた液体が押して流れ出そうとして、内側から縁の境界をこじ開けようとしてくる。青年は身もだえた。その蠢く肉体は、周囲の嗜虐心を煽るのに充分過ぎて、ギャラリーから、彼を下ろせとコールがは始まる。
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