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・Day4/chapter3 若花の目覚め

46.

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 行為を、行動を、わかっていたとは到底、思えない。
 けれど、ならば、それは本能による行動。
「はぁ……」
 ようやく離れた壱岐の長いキスに、とろんと力の抜けた青年は解放された。かと思えば。
「あ、アアア!!」
 容赦なく再び雄が後ろを襲う。
 今度は佐波の反り返りの激しい一物が内壁を圧迫した。
 一度目の行為の後で、大きく自己主張を始めたしこりを先端で擦りながら最奥を目指す佐波の怒張に、青年ははくはくと唇をわななかせる。
「あ、あはぁ、んあ……これ、やばぁ」
 長さだ。佐波のものは長かった。
 けれど、相手は佐波だけではない。花芯が急に熱いものに包まれて、青年は腰が蕩け落ちそうな感覚に襲われる。
「あ、い壱岐ぃ」
 彼が、再び兆し始めた青年の一物に食らいついた。やり方は、先ほど、壱岐のものをしゃぶった青年のものを真似ているらしいが、あくまで未熟で、けれどそこに男の必死さが上回り、確実に青年を高めていった。
「はぁあ、あ、あ! やめ、もう、俺、だめ、やだぁ……!!」
 ゆっくりとだが、ピストン運動を開始しだした佐波。そして、壱岐の口奥に自らの雄の性がもてあそばれる。
「ひぁあ、あ、あ、んぐっ!!」
 甘く鳴いていた青年だったが、頭を芳に押さえつけられて、唇に彼の雄が押し付けられる。
 芳はというと、朦朧として焦点の合わない浮かれた目で青年を見下ろしていた。
 途端に、青年の中でそれが目覚めた。
 男に――藤滝に見下ろされて、なぶられたときの光景が重なる。
 嫌なはずだったのに、途端に感度が増して、いやおうなしに感じ始めてしまう。
「はあ、ん、んぐ、ふぅ」
 自ら、芳の熱いものにしゃぶりつく。
 雄の味に頭がくらくらとしてくる。そんな青年の喉奥へと芳は自らの腰を打ち付けてきた。
「……んぶっ!!」
 喉奥へと、何度も腰を引いて打ち付けてくる怒張に、青年は得ず来そうになりながらも必死で奉仕を――そう、奉仕だ。
 そのとき、青年は確信した。
 身体の隅々にまで、あの男が、許せないあの男の行為によって犯されて、彼の色に染められているということに。
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