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✿02:そんな陰謀……いや淫謀知りたかねーっ!
**25.ソウビ怒る(1)
しおりを挟む「は、はぁ……ったくよぉ、なんでどいつもこいつもこうなんだよ」
夜、街。
鼻息荒いカンジとルオーレから逃れるために結局、外にまで飛び出した。冷たい外気。月明りを頼りに人気のなさそうな場所に移動する。
急いで、拾い上げた服に着替えたが、まだ気だるい。
「くっそ、あいつら、さんざん好きにしやがって」
文句の一つ二つ三つくらい余裕どころか一億くらい呟ける。そんな癒月はまたあの声に襲われた。
「がっかりしたぞ、勇者よ!!」
「ん、その声、ソウビ・アイ!!」
「ソーちゃんでいいって言ったよね!?」
「はぁ!? んなこと、言ったか!? さんざん、血迷ったことしか言ってねぇじゃん、お前!!」
「血迷ったのはお前だ!!」
ぱあっと目の前に光が出現したかと思うとあの美しく可憐なソウビ・アイの姿が現れる。
銀色の髪は月光を反射して幻想的にきらきらと輝いている。
「な、なんだよ……っ」
「だから、それはこっちの台詞だ。なんだあのザマは!!」
(お、怒ってるのか!? 怒りたいのはこっちだって言うのに)
ソウビは、ぎゅっと釣り上げた目で癒月を睨んでいる。
「とにかく俺を変な目にあわせるのはやめてくれ! 新魔王だの大魔王だの厄介なのはお前ひとりでやれよ!!」
「それができたら、とっくにそうしている!!」
「はぁ!?」
「だが、我にはもうそうすることが出来ない!! だから、汝を淫乱の淫乱、ビッチビッチに仕上げて、閨でかの魔王を討ち取らせる……!!」
「だから俺を巻き込むなっての!!」
「いや、巻き込む!! 巻き込まなくては、勝てないからだ!!」
「はぁ!?」
「最初からお主に目をかけていた……それはこれ以上にない素質がお主にあったからだっ」
「聞かないぞ、どんな素質かは、絶対にっ」
「まず、被虐趣味があること」
「ギャーッんなわけねーからな!! ざけんなっ」
「敏感なところ」
「言うな言うな!!!!」
「快感に流されやすいところ」
「違う違っ!!」
「で、すぐに諦めるところ」
「はぁ!?」
「媚びるのがうまそう」
「しねぇあ!!」
「本当は、ごつごつに男につかれて溺れたいと思っているところ」
「思っていねぇ!!」
「で、その自分の本質を常に偽ろうとしているところ」
「ざ・け・ん・な~!!」
「で、殻を破れば……って、おい、どうした? 顔が真っ赤だが?」
「聞きたくないって言ってること、聞かすんじゃねーよ!!」
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