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✿04:男の味なんて知りたくなかった
****12.ひぎゃあ(2)
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――てってれ~♪
「うわっ!」
突然、謎の音、発生。
「ほら、よく見て見ろ」
ソウビにうながされて、彼は視界の端をじっと凝視した。
「れ……レベルアップ?」
「そうだ! よかったな!!」
「へ? えええ?」
ホログラム状のそれが現れて現在のレベルを表示すると、すっと消えた。けれど。
「なあ、これってどういうことだ。『3レべ』まであがりましたって表示でてたけどさ……」
(俺、れべりんぐ、とっくの昔に終えてるんだけど……)
ソウビは、癒月のいわんとしていることを先回りした。
「安心せい。これは裏パラメータのレベルでなあ」
「は?」
途端に嫌な気分になる癒月である。その予想は的中していた。
「これがレベル99まで到達したら、魔王ぶっつぶしに行っても大丈夫だろうっていうのが基準で、エッチのたびに経験値もらえるから、まあ、頑張れ!」
すがすがしいくらい爽やかな声でソウビが説明するのに対して。
「やっぱりな~~なんかあると思ってたわ……ふざけんなー!!!!」
妙なものに巻き込まれてしまった癒月としては、複雑である。
「まあ、いいじゃないか。それにレベルあげると体力回復も早まるし、いいことだ、いいことだ。今日だって、声かれてないだろ」
「……」
「さ、頑張って、とっととレベリングを済ませて、諸悪の根源を篭絡しにゆこうぞ!!」
「行きません!!」
✿
「ところで、カンジのやつはどこにいったんだ?」
朝から彼の姿が見えない。
癒月はあたりをきょろきょろしたのち、何か着れそうなものはないかと物色した。
そんなことをしていると、グレイが癒月のために服を一式手にして戻って来た。
癒月はさっと着替えて、グレイと共に街へと繰り出す。
昨夜、あの後、カンジの所属している酒倉が襲撃されたとグレイの口からきいたためだ。
「聖女の薔薇の結界が破られていることもあるし、なんだか、最近、不穏だ」
グレイは、ため息まじりにそうつぶやいた。
「なにかよくないことが起こるんじゃないかって、気持がふさがっちゃうよ」
「ええ。そうですね」
癒月は頭を必死に動かした。
敵はなんだ?
いま、この街で、何が起こっているのだろうか。
……だめだ。
考えていても、らちがあかない。
勇者をしていた時と同じように、物事には体からぶつかっていかないと――。
「ユージィンちゃん、ここだよ」
襲撃後の酒倉は、がれきの山と化していた。
「うわっ!」
突然、謎の音、発生。
「ほら、よく見て見ろ」
ソウビにうながされて、彼は視界の端をじっと凝視した。
「れ……レベルアップ?」
「そうだ! よかったな!!」
「へ? えええ?」
ホログラム状のそれが現れて現在のレベルを表示すると、すっと消えた。けれど。
「なあ、これってどういうことだ。『3レべ』まであがりましたって表示でてたけどさ……」
(俺、れべりんぐ、とっくの昔に終えてるんだけど……)
ソウビは、癒月のいわんとしていることを先回りした。
「安心せい。これは裏パラメータのレベルでなあ」
「は?」
途端に嫌な気分になる癒月である。その予想は的中していた。
「これがレベル99まで到達したら、魔王ぶっつぶしに行っても大丈夫だろうっていうのが基準で、エッチのたびに経験値もらえるから、まあ、頑張れ!」
すがすがしいくらい爽やかな声でソウビが説明するのに対して。
「やっぱりな~~なんかあると思ってたわ……ふざけんなー!!!!」
妙なものに巻き込まれてしまった癒月としては、複雑である。
「まあ、いいじゃないか。それにレベルあげると体力回復も早まるし、いいことだ、いいことだ。今日だって、声かれてないだろ」
「……」
「さ、頑張って、とっととレベリングを済ませて、諸悪の根源を篭絡しにゆこうぞ!!」
「行きません!!」
✿
「ところで、カンジのやつはどこにいったんだ?」
朝から彼の姿が見えない。
癒月はあたりをきょろきょろしたのち、何か着れそうなものはないかと物色した。
そんなことをしていると、グレイが癒月のために服を一式手にして戻って来た。
癒月はさっと着替えて、グレイと共に街へと繰り出す。
昨夜、あの後、カンジの所属している酒倉が襲撃されたとグレイの口からきいたためだ。
「聖女の薔薇の結界が破られていることもあるし、なんだか、最近、不穏だ」
グレイは、ため息まじりにそうつぶやいた。
「なにかよくないことが起こるんじゃないかって、気持がふさがっちゃうよ」
「ええ。そうですね」
癒月は頭を必死に動かした。
敵はなんだ?
いま、この街で、何が起こっているのだろうか。
……だめだ。
考えていても、らちがあかない。
勇者をしていた時と同じように、物事には体からぶつかっていかないと――。
「ユージィンちゃん、ここだよ」
襲撃後の酒倉は、がれきの山と化していた。
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