七月の花とBLの掌編

阿沙🌷

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✿7.29:仙人掌

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「うおおおおおお!! 好きだ好きだ好きだぁああああ!!」
 角足かくたすは全力で夕日残光に向かって叫んだ。
 河原にはぽつぽつと飼い犬の散歩に訪れる人もいたが、ここまで日が暮れれば、人気ひとけもなくなる。よって、思い切り叫ぶことができると判断したのだ。
「くっそ、なんて俺は煩悩にまみれた存在なんだろう……。このままではあいつに見放されてしまう」
 独り言を悔しそうに吐き出す。叫んでみたところでむしゃくしゃする胸中は晴れなかった。降り積もった訳のわからない衝動が体の中をいまだに蠢いている。
 思春期だからというのは言い訳にすらならない。
 ぶっ壊れていい時期などないのだ。
 だからこそ、水面下で膨れ上がろうとしているものを水面に出してはいけない。それに息継ぎの時間を与えては、もう抑えることなど出来なくなってしまいそうだ。
 自分で自分が怖い。
 角足は、ぎっと太陽の落ちる方向を睨んだ。自分の弱さを睨むかのように。クラスの一男子に抱くそれを制御してやると決心するかのように。

「なぁ、高崎を見てるとムラムラしてくるやつがいるんだけど」
 昼食時、普段よくつるむ四人グループのメンバーとだらしない真昼。突然飛び出てきた友人のセリフに角足は、口の中の白米を吹いた。
「わっ、ばっか、きったねぇ」
「ちょ、こっち付くからやめろ」
 高崎までもが嫌な顔をした。
 周囲はわたわたと角足の攻撃から回避しだす。
「誰だよそいつ」
 角足は話題を出した彼に聞いた。
「クラスの石崎」
 角足は自分がばれてちなかったことに庵と増しつつも、不機嫌に思った。
「高崎、接点あるのか」
「ない。同じクラスなだけ」
 角足の質問に高崎はあっさりと返す。自分が話題に上がっていながらも冷静でいられるところが彼らしい。
「そいつがさぁ、おれにぼそっといったわけ。高崎ってどことなく動作に色気があるってさ」
 わ・か・る。
 一瞬、同意しかけて、角足は寸でのところで立ち止まった。だははと周囲では笑いが起きる。笑っていないのは高崎と角足のみだ。
「あほくさ」
 高崎の一喝に場がしんと静まる。
「俺が色気駄々漏れなのしっかたねえじゃん。それを蚊帳の外の人に指摘されたってさァ」
「え、てことは高崎……え?」
「まー、気にしない。小さいことは」
 そう言われても困る。気にしたいから困る。

(了)


✿7月28日:
仙人掌せんにんしょうCactus
 さぼてん!! 花言葉「燃える心」だなんてエネルギッシュすぎやしませんか? サボテンといえば、水没した姿があまりにも耽美過ぎて驚いたことがあります。
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