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2章 SAIKAI
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しおりを挟むとは言っても、やはり依頼の方が優先なので、越川には自分の仕事の事は言わないでおくことに決める。
ただ、チラシは1枚貰っておこうと話しかけた。
「もし良ければ、そのチラシを1枚頂けませんか?」
陽月の言葉に、越川は目尻の皺が伸びてしまうのではないかと思う程、目を見開いた。
「ぇ…ぁ……いい、の…かしら…?」
「えぇ、もし何処かで見かけたら、お知らせします」
「あぁ、ありがとう…これ、お願いします」
越川が深く腰を折って頭を下げた。
真が何やらもの言いたげな視線を送って来るが、それには首を横に振っておく。
余計な事を言われる方が困るのだ。
もう少し『迷子猫ポンちゃん』の事を聞いてから越川と別れ、離れに戻ってきた。
ずっと口を噤んだまま、そわそわとしていた真が離れに入るなり口を開く。
「えっと……良かったん?」
「何がですか?」
言いたい事は想像出来そうな気がするが、あえて訊ねてみる。
「いや……ペット探しってハルの仕事なんちゃうん?
せやのに、あんな風に言うたら儲けにならへんやん…」
ま、想定通りと言った所か…。
「真さんから依頼を受けていますし、其方からの報酬にまるっと入れ込んでおきましょう」
そんなつもりは全くないのだが、陽月の言葉に真が狼狽えた。
「ええぇぇぇえ!!??
マジかぁ?
ホンマかぁ??
嫌やぁぁ! 堪忍してぇやぁぁ!
……今回の依頼料も分割でってお願いせぇへんだら払われへんっちゅうのに……あぁぁ!!」
真が大袈裟に上がり框へと倒れ伏した。
「嘘ですよ」
「へ…?」
「だから別途料金を上乗せしたりしませんので、御安心を。
ですが……やはり気に掛ける程度の片手間にしか出来ないでしょうから、仕事として請け負うのは無理かと思っただけです」
真がはぁぁと安堵の吐息を零す。
「吃驚させんといてぇや…ほんまにもう…」
「ですが、少し急ぎませんか?
買って来た荷物を整理して、昼食をとって、出かける準備をしていたら時間が…」
「あああぁぁ!! ほんまや!
急がなあかん!!
うっし、こっちの調味料関係は任せた。
俺はこっちの消耗品類、片して来るわ!!」
ドタバタと慌ただしく靴を脱いで駆けていく真の姿を、陽月はやれやれと言いたげに見送った。
購入品の片付けが終わり、遅めの昼食を終えて時計を見る。
案の定、時間に余裕はなさそうだ。
同窓会会場には電車に乗って行かないといけないので、その移動時間も考慮すると、そろそろ出かける準備に取り掛かるべきだろう。
陽月はまず自分の準備ではなく、ササミの世話に時間を割く。
「トイレ良し、水良し、カリカリ…良し、ですね」
【うん。
ササミが『気ぃつけてな』って言うてる】
「えぇ、ありがとうございます。
出来るだけ早めに戻って来たい所ですが、流石に今日は見通しが…」
【そりゃしゃーないって。
今日は詳しい話聞いてくるんやろ?】
「はい。
林田さんの件を調べると言っても、未だ情報が殆どない状態ですから」
準備が終わり、真と連れ立って出かける。
流石に土曜日と言うべきか、そこそこ車両内には人の姿がある。
勿論ラッシュ時の混み具合とは比較にならない程度だが、ドア近くに立って車窓から流れる風景をぼんやりと見つめた。
終点駅で降り、人の流れに乗りながら改札に向かう。
久しぶりのその繁華街の様子を、陽月は少しばかり物珍し気に眺めた。
店舗の入れ替わりや工事中の場所等、変化も多いが、雰囲気だけは然程変わっていないように思う。
溢れる肉饅の美味しそうな香りのせいかもしれない。
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