万事屋25―futago―

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2章 SAIKAI

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 陽月が元々あまり社交的ではないと言うのを、他のクラスメイト達は覚えていたらしく、最初の挨拶が終われば放置気味にしておいてくれる。
 決して虐められていた訳ではない。
 尤も……遠巻きにされていた自覚は無きにしも非ず…ではあるが…。

 何にせよ、周囲の賑わいを聞きながら、陽月自身は一人静かに食事をしていた。
 酒自体はどちらかと言うと好きな方なのだが、童顔のせいで未成年に間違われた過去もあり、外では飲みたいと思わなくなってしまった。
 現在は自宅のようになっている事務所で、仕事が終わってからササミを相手に…の宅飲みオンリーである。


 こういう場で、食べる専門だと暇を持て余してしまう。
 とは言え、現在は同窓会と言う名の祝いの席である以上、事件の話を聞ける雰囲気でもない。
 正直に言うとさっさと話を聞きたい所だが、こればかりは仕方ないだろう。

 だが暇は暇なりに過ごしていれば、やがて宴も終焉に近付いた様だ。
 久しぶりの邂逅に、連絡先の交換などをしてる皆をぼんやりと眺める。
 先に座敷から出ようとしたのだが、それを隣の真に止められた。

 別れの挨拶は簡単な物だ。
 中には酔狂な輩も居て、陽月に『また会おう』とか言って連絡先を押し付けてくる者も居たが……。

 三々五々に皆の姿が遠ざかっていく。
 それを見送ると、座敷に残ったのは陽月を抜けば5名。

 陽月へのメッセンジャー兼依頼人 則岡のりおかまこと
 陽月を引っ張り込もうと言った張本人 行木ゆぎ英美子えみこ
 2年3組委員長だった 井前いさき澄枝すみえ
 副委員長にして井前の婚約者 松代まつしろ勇太ゆうた
 そして2年3組担任 新居見にいみ春平しゅんぺい

 全員が、行方不明となり、最近になって死亡が確定した林田はやしだ花央里かおりと、何らかの関与があった人物だ。

 帰路に就く最後のクラスメイトを見送っていると、店員達が食器の片付けに入ってくる。その店員に行木が追加で飲み物を注文している。
 そしてテーブルの片付けを終えた店員が座敷の障子を閉めた途端、室内の空気はさっきまでの賑わいがスンと消え去り、代わりの様に重苦しい沈黙が広がった。
 そんな中、最初に口を開いたのは行木だ。

「えっと……他の店に移動も考えたんだけど、此処ここで良いわよね?」

 陽月に聞いているのだと、皆の視線から把握して頷く。

「何はともあれ……鷹峰にはごめん。
 私が鷹峰を巻き込もうって提案したのよ。
 で、依頼の件も了解よ。此処ここにいる…地蔵さん先生以外の5人で、きっちり支払うから。
 ほんとは松代にも頭数に入って貰うつもりなかったんだけど…」

 ほんの少し、苦虫を噛み潰したような仄暗い表情で視線を泳がせる行木に、松代がムスっとして口を挟む。

「いや、俺かて1年の時は1組で、林田さんとはおんなしクラスやったし。
 何より澄江の友達やで?
 仲間外れにせんといて欲しいな」
「って言うのよね…」

 行木が呆れたように肩を竦めた。
 そして腕時計を確認する。

「まだちょっと時間があるわね」

 行木の呟きに、陽月は首を傾げた。
 時間もそうだが、さっき『5人』と言っていなかっただろうか?
 今、陽月の前に居るのは新居見を除けば4人しか居ない。

「あぁ、ごめん。
 あと一人来るから」

 なるほど…と頷く。
 とりあえず最後の一人が来ない事には話が始まらないのだろう。
 陽月も自分の腕時計を確認して、今日は終電に間に合うか微妙だな…と声には出さずにひとちた。




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