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4章 SYUUI
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しおりを挟む商品写真が並んでいるが、ラインナップに酷く偏りがあった。
【なんちゅうか……こんなんが売れ筋なん…?】
(そうみたいですね。
以前、真さんが見せてくれた小箱の中身と同系統のようですが、本物の骨もアクアリウムアクセサリーとして販売しているんですね)
【えぇ!?
マジか……って、ほんまにあるわ。
うへぇ『処理済 安心してご購入頂けます』て……】
陽月の言葉通り、本物の動物の骨や石等の天然由来の物に加え、樹脂や金属を素材に、人の手で作られた骨のレプリカ、宝箱や難破船の模型等々、そういう趣味嗜好の方々御用達といった商品写真がずらりと並んでいる。
(水槽と言えば水草等のイメージしかありませんでしたが、他のショップでは建物のミニチュア模型等が、主な販売物だったりしてますね)
【なるほどなぁ……ショップ毎に取り扱うテーマの得意不得意があるっちゅう事か。
そういやクラーヌって、どう言う意味なん?】
(調べてみましょう。
……あぁ、フランス語で頭蓋骨という意味だそうです)
【まんまやんか……。
それにしたかて、アクアリウムっちゅうんは、結構大変そうやなぁ。
まぁ、生き物やもんな。
清掃とかめっちゃ大変そう……ん~やっぱ僕はええわ】
(月?)
【ササミの世話かて、僕が出来る訳やあらへんしね…更に伯爵も増えてまいそうやん?】
(まさか……)
【いーーや!
あれ、絶対についてくる気満々やって】
そんな話をしていると、頼んでいたプリントアウトが終わったらしい。
提示された金額を支払って紙の束を受け取ると、陽月は図書館を出て則岡鮮魚店の離れに一度戻る事にした。
気付けば昼だったので、途中でコンビニに立ち寄る事にする。
丁度見つけたコンビニに入り、空いた駐車スペースに軽トラを止めた。
すると、月佳が急に声をあげる。
【ハル!】
(はい?)
【あれ、一番奥に止まってる軽!!】
月佳の言う一番奥に目を向けると、駐車された軽自動車の窓越しに『越川文具店』の文字が見える。
軽自動車の助手席に置かれた段ボールに、その文字が印刷されていたのだ。
取引先か何かだろうか……越川家との関係はわからないが、話を聞いてみても良いだろう。
コンビニの客なら、少し待てば出てくるだろうと考え、陽月は軽自動車に近付いて待つ事にする。
待っていると読み通り、一人の男性が軽自動車に近付いてきた。
少し草臥れた感じで、目線はずっと地面に落とされている。
「あの、少し宜しいでしょうか?」
陽月はさっと近づいて声を掛けた。
「え、ぁ……あの……?」
声には不信感が滲み出ている。
それも当然だ。
初対面の相手なのだから、不審に思わない筈がない。
「失礼しました。
鷹峰と申します」
陽月は窓から見える段ボールの方へ一度顔を向けて、再び男性に向き直った。
「もしかして越川文具店の関係者の方でいらっしゃいますか?」
「あの……」
不信感を隠さない男性に、陽月は頓着する事なく続ける。
「先日、越川夫人が迷い猫を探していらっしゃるところでお会いしまして」
思い当たる事があったのだろう、男性はやっと表情を緩めた。
「ぁ、あぁ……母の…それはすみませんでした。
母からチラシを押し付けられたとかの苦情でしょうか……」
越川夫人を『母』と言うのなら、思い切りビンゴである。
しかし男性は、完全な早とちりで、陽月に向かって深々と頭を下げてしまう。
陽月は慌てて止めて、言葉を続けた。
「いえ、チラシは私の方から声を掛けさせて頂きました。
それでポンちゃんと思われる猫を発見したのですが、ずっとご不在だったので…」
男性はみるみる目を丸くして、まるで涙を堪えるかのようにグッと下唇を噛み締める。
【なんや……事情ありそやね。
場所、移動した方がええんちゃう?】
確かに月佳の言う通りだ。
コンビニの駐車場を占有し続ける訳にもいくまい。
「あの、此処ではコンビニの方に御迷惑でしょうし、何処か別の場所に移動しませんか?」
「あ、あ…あぁ、そう、そうですね。
それじゃ…どこが良いかな」
「お仕事の途中のようでしたら、越川さんの御宅でも構いませんが……ポンちゃんの事もお話ししたいですし」
「良いんですか?
じゃあ、すみませんがうちの方……って、場所は…」
「えぇ、何度か伺わせて頂きましたので大丈夫です。
車は別の場所に止めてから徒歩で向かわせて頂きますね」
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