【まとめ版】⛓囚われの勇者⛓ -明日にかける鎖-

良音 夜代琴

文字の大きさ
3 / 68
【囚勇01】幼い少年が、盗賊の青年に身も心も囚われるお話 -7~10歳

代理と準備*

しおりを挟む
 ----------


 盗賊のお頭さんは、ボサボサの茶色がかった黒髪に、肩から何かの動物の毛皮をかけていて、体格の良い、いかにもそれっぽい雰囲気の人だった。
 大きな椅子に腰掛けて、足を片方組んで、頬杖でもつくような感じで僕達を見下ろしていた。

 ただ、僕はもっとガハハと笑う感じをイメージしていたけど、その人はクックックと喉の奥で笑う人だった。

 カースが、僕達を拾って来たこと、ここに置くことを伝えると「お前の好きにすりゃいいんじゃねぇの」と口端を上げたたまま答えた。

「……ただ、その分お前はもっと俺の言うことを聞けよ?」
 じろりと、舐めるような視線を、お頭と呼ばれた男がカースに向ける。

「……分かっています」とだけ、目を合わせずにカースが答えた。

「そんじゃ、あいつらに喰われる前に、まずは俺が味見しとくか」
 お頭が立ち上がる。

「ひっ」と隣から小さな悲鳴が聞こえて、姉が真っ青なことに気付いた。
 お頭は、そんな姉をどこか楽しそうに見ている。


「お姉ちゃ……姉に、痛い事をするんですか?」
「ん? まあ……、そうだな」
「そのお仕事、僕が代わりにできませんか?」

 ぶはっと、お頭がふき出した。
 そのままお腹を抱えてしばらくクックックと笑っていたお頭が、目尻に溜まった涙を甲で擦りながら答えた。

「ああ、いいぜ? その代わり、お前、俺が満足するまで付き合えよ?」

「お頭……」
 楽しそうなお頭に、カースが咎めるような声を出す。

「いいじゃねぇか、姉ちゃんを守りたいっつーやつだろ。俺ぁ嫌いじゃないぜ?」

 不意に、お頭がずっと浮かべていた笑いを消した。
「その結果がどうなるのか、俺がその体にきっちり教えてやるよ」

 カースが、心底嫌そうな顔で眉をしかめて僕を見る。
 僕は、お姉ちゃんを守れたみたいで誇らしくて、その意味まではよく分からなかった。

「カース、準備ができたら連れてこいよ」
「…………はい」
 カースが渋々答える。

「嫌そうにすんなよ、本人の希望じゃねぇか。お前、色々教えてやれよ」

「……」
 お頭は、返事をしないカースの側まで来ると、お頭と目を合わせないようにしていたカースの顎を手で引き寄せた。

「なんだ、妬いてんのか?」
「っそんなわけ……っ!」

 カースは、バッとお頭の手を振り払うと「行くぞ」とだけ僕達に告げて部屋を出て行った。

 カースの後を慌てて追いかける僕達の後に、お頭のクックックという笑い声だけが残った。



 ----------



 盗賊達のテントからそう遠くないところに川はあった。

 川の水は澄んでいて、ちょっと冷たそうだった。

 カースはまだ不機嫌そうだったけど、川に入ると僕を呼んだ。

「お前も下を脱いで入ってこい」
「え?」

「準備が要るんだよ……」
 僕は良くわからないけど言われた通りにする。

 カースは僕の肩を掴むと、そこにもたれるように屈んで僕の後ろに腕を回した。
 長い指が、何かを探るように僕のお尻を伝う。

「な、何の準備……?」
「お前な……これから何されんのか分かってないだろ」
 ため息混じりのカースの声が、耳元で聞こえて、なんだかくすぐったい。

「しゃーねぇな。おい、俺を見ろ」
「え?」
 見れば、カースの空色の瞳が淡く輝き始める。
 空色は滲むように揺れるとその姿を輝く宝石のような紫色に変えてゆく。

「すごい……きれい……」

 僕の呟きにカースはほんのちょっと苦笑を浮かべて、言った。

「そのまま、この紫色だけ見とけよ」
「うん……」

『これからお前がされる事は、痛い事じゃない。気持ち良い事だ』
「うん……」

 紫色が、じわりと揺れて、澄んだ空色に戻っていく。

「もういいぞ」
「え、あ、うん。……うん?」

 戸惑う僕の様子に、カースはわずかに苦笑を滲ませて言った。

「俺の……とっておきだ」
「えっと……よく分からないけど、とっても綺麗だった」

 僕がにっこり笑うと、カースが、ほんの少しだけ照れたみたいだった。

「いいか……力抜いとけよ」
 カースが、僕を前から抱きかかえるようにして、またボクのお尻に手を回した。

「う? うん……」
 カースの長い指が、じわりと僕の中に侵入する。

「え、え!?」
「いいから、力抜いとけ」

「う、ん……」
「水入れるぞ」

「え、ひゃ、ぅ……っ」

 何かヒヤリとしたものが当てられて、そこから水が入ってくるのがわかる。
 冷たいものが直接お腹に入ってきて、骨まで凍えて震えそうになる。

「な、に、してるの……?」
 自分の声が、震えているのに気付く。

「下準備」
 カースは短くそれだけ答えた。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

従僕に溺愛されて逃げられない

大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL! 俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。 その傍らには、当然のようにリンがいる。 荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。 高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。 けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。 当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。 居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。 さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。 主従なのか、恋人なのか。 境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。 従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

仕方なく配信してただけなのに恋人にお仕置される話

カイン
BL
ドSなお仕置をされる配信者のお話

強制悪役劣等生、レベル99の超人達の激重愛に逃げられない

砂糖犬
BL
悪名高い乙女ゲームの悪役令息に生まれ変わった主人公。 自分の未来は自分で変えると強制力に抗う事に。 ただ平穏に暮らしたい、それだけだった。 とあるきっかけフラグのせいで、友情ルートは崩れ去っていく。 恋愛ルートを認めない弱々キャラにわからせ愛を仕掛ける攻略キャラクター達。 ヒロインは?悪役令嬢は?それどころではない。 落第が掛かっている大事な時に、主人公は及第点を取れるのか!? 最強の力を内に憑依する時、その力は目覚める。 12人の攻略キャラクター×強制力に苦しむ悪役劣等生

[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった

ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン モデル事務所で メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才 中学時代の初恋相手 高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が 突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。 昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき… 夏にピッタリな青春ラブストーリー💕

処理中です...