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5巻 新生活の幕開け (2部ここから)
ショッピングモール
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結局すっかり目が覚めてしまった俺は、早朝からリンに冷蔵庫や電子レンジの使い方を説明していた。
そのうち母さんが起き出してきて、3人で朝食の準備を始める。
6時半を回って俺達が食事を始めた頃、蒼が降りてきて席についた。
俺は随分と迷った後に、その問いを口にした。
「えっと、蒼、セリクは……」
「魔法で寝かせてきた」
蒼の声はヒヤリとしていて、静かな怒りを感じる。
「あのバカ休むって事を知らねーんだよ。兄ちゃんからも夜はちゃんと寝ろって言ってくれよ」
話を聞くと、セリクは昨夜見たゲートの魔法陣を覚えているうちにと可能な限り書き出し始め、そのまま一晩中ゲートの魔術陣構成ついて考え、自作陣の試行錯誤をしていたらしい。
はぁ……。やっぱりセリクはあの陣が読めたんだ……。
あんなに複雑に重なり合った、あんなややこしそうな陣が……。
すごいなぁ……。
俺がセリクに読み書きを教えていた頃はまだ小さくて、歳だって13歳だったのに。
今では20歳なんだもんな……。
俺よりずっと理解できたって、全然おかしくないんだ。
セリクはあれからずっと休まず勉強を続けていて、もう俺より年上なんだから……。
「あいつ抱いて寝かしてもこっそり起きて研究始めんだよ……。オレだけそのまま寝かしといてさ。タチ悪ぃぜ……」
待って……?
蒼は初日にもしてたよね? 昨夜もしてたの? そんなに毎日するものなの?
あとその話って母さんのいる朝の食卓でしてもいいやつなの?
チラと様子を窺えば母さんは素知らぬ顔でテレビの朝のニュースに視線を向けていたけれど、あの横顔は多分、話を聞いてたんだと思うなぁ……。
「あらかじめ朝まで起きないよう魔法で寝かせておくのはいかがですか?」
「それだと夜中になんかあったときパッと動けねーだろ。起こす魔法をかけるにも魔力がいるしさ……」
リンの言葉に、蒼は不満げに口を尖らせて答える。
俺は、そんな弟の手首をじっと見た。
そこには綺麗な青緑色に染まった石を繋げたブレスレットがある。
しかもそれは3重に巻かれていて、セリクがどれだけ蒼に魔力を捧げているのかが一目でわかった。
「それだけあるなら使ってもいいんじゃないかな?」
石が割れるほど使わなければ、減った分はすぐセリクが入れてくれるだろうし、目覚まし魔法くらいならすぐ元に戻りそうなものだけど……。
「……もったいねーじゃん」
何が?
魔力が?
それともセリクの気持ちが??
遠慮なく使っても、セリクは悲しまないと思うけどなぁ……。
なんだか、ここ最近で俺は急に弟の新たな一面を知らされまくっている気がする。
蒼って小さいころから妙に冷めてるというか合理主義というか……。
幼稚園くらいの歳には、もう大人とか親戚との会話もソツなくこなすし、損して得とるくらいの冷静さとしたたかさを持ってた気がするんだけど……。
なんかセリクの事に対してだけ、様子がおかしくなるよね?
俺もうっかり蒼の地雷を踏んでしまわないように気をつけないとな……と自然に思ってしまうくらいに、蒼はセリクに関してだけ過敏な気がする。
これまで、俺への執着も時々怖く感じる時があったけど、それよりずっと重いというか……。
いや、それは隠さなくなったからそう見えてるだけで、俺にもそれなりに重いものが向けられていたのかな……。
「うんまあ、わかった。セリクには俺からも言っとくよ。22時から4時までは最低限寝るようにって事でいい?」
「んー……。それもう一時間後でもよくねぇ?」
「良くないよ。蒼はもう成長期の最後じゃないか。俺としてはもう一時間早くしたいくらいだけど?」
「ゔ……。わかった。それで」
蒼はセリクと一緒に寝るだろうし、俺としては蒼にもできればもう少し早く寝てほしいんだよな。
父さんも、高校生までは21時までに寝てほしいってずっと言ってるし。
セリクとの身長差をキープしたい……むしろ差を広げたいと思っているのか、背を伸ばしたい様子の蒼は、俺の言葉に反論しなかった。
4日は昼前になっても小雨が続いていたけれど、俺はリンとショッピングモールに出かけた。
金の粒は俺の身分証明書一つで意外とあっさり換金できた。
今更ながら、俺はもう成人として扱われるんだなぁと実感する。
俺は大学へも今まで通り実家から通うけれど、周りには親元を離れて一人暮らしを始める友達もチラホラいる。
多分皆も、部屋を借りたり車を契約するときに、こんな風に実感してるんだろうな……。
フードコートの使い方を説明しつつ昼食を済ませてから靴屋に向かう。
リンの靴を買って、俺も大学用に1足買い足す。
つい先日も買ったばかりではあるけど、フロウリアで履いていた靴はもうボロボロになってしまったから……。
メンズ服のフロアをぶらぶら歩くうちに、リンに似合いそうなシャツやズボンをつい何枚も買ってしまう。
うーん。おかしいな、こんなはずでは……。
想定以上の出費に、俺は首を傾げる。
今まで自分の服は必要な枚数以上に買いすぎる事なんてなかったんだけど、リンの服を選ぼうと思うと……。
店頭に並ぶマネキンの姿に、つい、これよりもリンが着た方が絵になるのでは……? と思わされてしまうんだよね。
そして、ちょっと試しに……とリンに服をあててもらうと、想像をさらに上回る、とんでもなくカッコイイ人が現れるんだよ。
そしたらもう、買うしかないよね。
既に枚数が足りていても、こんなガッチリハマる美しい組み合わせを見てしまったら、それをこの世に顕現させずにスルーするなんて許されない行為だと思う。
つまりはあれだ。
……リンがかっこよすぎるのが悪いんじゃないかな?
そう胸中で結論付けてから、俺も大概ダメかも知れないな、と頭の隅で思う。
どうやら俺も、蒼の事を言っていられる立場じゃなさそうだ。
そのうち母さんが起き出してきて、3人で朝食の準備を始める。
6時半を回って俺達が食事を始めた頃、蒼が降りてきて席についた。
俺は随分と迷った後に、その問いを口にした。
「えっと、蒼、セリクは……」
「魔法で寝かせてきた」
蒼の声はヒヤリとしていて、静かな怒りを感じる。
「あのバカ休むって事を知らねーんだよ。兄ちゃんからも夜はちゃんと寝ろって言ってくれよ」
話を聞くと、セリクは昨夜見たゲートの魔法陣を覚えているうちにと可能な限り書き出し始め、そのまま一晩中ゲートの魔術陣構成ついて考え、自作陣の試行錯誤をしていたらしい。
はぁ……。やっぱりセリクはあの陣が読めたんだ……。
あんなに複雑に重なり合った、あんなややこしそうな陣が……。
すごいなぁ……。
俺がセリクに読み書きを教えていた頃はまだ小さくて、歳だって13歳だったのに。
今では20歳なんだもんな……。
俺よりずっと理解できたって、全然おかしくないんだ。
セリクはあれからずっと休まず勉強を続けていて、もう俺より年上なんだから……。
「あいつ抱いて寝かしてもこっそり起きて研究始めんだよ……。オレだけそのまま寝かしといてさ。タチ悪ぃぜ……」
待って……?
蒼は初日にもしてたよね? 昨夜もしてたの? そんなに毎日するものなの?
あとその話って母さんのいる朝の食卓でしてもいいやつなの?
チラと様子を窺えば母さんは素知らぬ顔でテレビの朝のニュースに視線を向けていたけれど、あの横顔は多分、話を聞いてたんだと思うなぁ……。
「あらかじめ朝まで起きないよう魔法で寝かせておくのはいかがですか?」
「それだと夜中になんかあったときパッと動けねーだろ。起こす魔法をかけるにも魔力がいるしさ……」
リンの言葉に、蒼は不満げに口を尖らせて答える。
俺は、そんな弟の手首をじっと見た。
そこには綺麗な青緑色に染まった石を繋げたブレスレットがある。
しかもそれは3重に巻かれていて、セリクがどれだけ蒼に魔力を捧げているのかが一目でわかった。
「それだけあるなら使ってもいいんじゃないかな?」
石が割れるほど使わなければ、減った分はすぐセリクが入れてくれるだろうし、目覚まし魔法くらいならすぐ元に戻りそうなものだけど……。
「……もったいねーじゃん」
何が?
魔力が?
それともセリクの気持ちが??
遠慮なく使っても、セリクは悲しまないと思うけどなぁ……。
なんだか、ここ最近で俺は急に弟の新たな一面を知らされまくっている気がする。
蒼って小さいころから妙に冷めてるというか合理主義というか……。
幼稚園くらいの歳には、もう大人とか親戚との会話もソツなくこなすし、損して得とるくらいの冷静さとしたたかさを持ってた気がするんだけど……。
なんかセリクの事に対してだけ、様子がおかしくなるよね?
俺もうっかり蒼の地雷を踏んでしまわないように気をつけないとな……と自然に思ってしまうくらいに、蒼はセリクに関してだけ過敏な気がする。
これまで、俺への執着も時々怖く感じる時があったけど、それよりずっと重いというか……。
いや、それは隠さなくなったからそう見えてるだけで、俺にもそれなりに重いものが向けられていたのかな……。
「うんまあ、わかった。セリクには俺からも言っとくよ。22時から4時までは最低限寝るようにって事でいい?」
「んー……。それもう一時間後でもよくねぇ?」
「良くないよ。蒼はもう成長期の最後じゃないか。俺としてはもう一時間早くしたいくらいだけど?」
「ゔ……。わかった。それで」
蒼はセリクと一緒に寝るだろうし、俺としては蒼にもできればもう少し早く寝てほしいんだよな。
父さんも、高校生までは21時までに寝てほしいってずっと言ってるし。
セリクとの身長差をキープしたい……むしろ差を広げたいと思っているのか、背を伸ばしたい様子の蒼は、俺の言葉に反論しなかった。
4日は昼前になっても小雨が続いていたけれど、俺はリンとショッピングモールに出かけた。
金の粒は俺の身分証明書一つで意外とあっさり換金できた。
今更ながら、俺はもう成人として扱われるんだなぁと実感する。
俺は大学へも今まで通り実家から通うけれど、周りには親元を離れて一人暮らしを始める友達もチラホラいる。
多分皆も、部屋を借りたり車を契約するときに、こんな風に実感してるんだろうな……。
フードコートの使い方を説明しつつ昼食を済ませてから靴屋に向かう。
リンの靴を買って、俺も大学用に1足買い足す。
つい先日も買ったばかりではあるけど、フロウリアで履いていた靴はもうボロボロになってしまったから……。
メンズ服のフロアをぶらぶら歩くうちに、リンに似合いそうなシャツやズボンをつい何枚も買ってしまう。
うーん。おかしいな、こんなはずでは……。
想定以上の出費に、俺は首を傾げる。
今まで自分の服は必要な枚数以上に買いすぎる事なんてなかったんだけど、リンの服を選ぼうと思うと……。
店頭に並ぶマネキンの姿に、つい、これよりもリンが着た方が絵になるのでは……? と思わされてしまうんだよね。
そして、ちょっと試しに……とリンに服をあててもらうと、想像をさらに上回る、とんでもなくカッコイイ人が現れるんだよ。
そしたらもう、買うしかないよね。
既に枚数が足りていても、こんなガッチリハマる美しい組み合わせを見てしまったら、それをこの世に顕現させずにスルーするなんて許されない行為だと思う。
つまりはあれだ。
……リンがかっこよすぎるのが悪いんじゃないかな?
そう胸中で結論付けてから、俺も大概ダメかも知れないな、と頭の隅で思う。
どうやら俺も、蒼の事を言っていられる立場じゃなさそうだ。
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