💘Purple Violet⚜️💐 堅物実直なノンケ親友への想いを、27年越しに伝えてテンパるゆるふわ一途イケメンのお話

良音 夜代琴

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第5話 花のような(3/9)

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ルスが困ったように眉を寄せて嘆息する。
けれどその口元は柔らかく微笑んでいた。
「泣くんじゃない」
ルスの指が、俺の涙を拭う。
次から次へと溢れて止まらない涙を、ルスは柔らかな唇で拭った。
それでも涙が止められない俺を、ルスは優しく抱き寄せる。
「お前に泣かれると、どうしたらいいのか分からないんだ……」
苦しげな言葉に、俺が顔を擦ってルスを見ると、心底困った。という顔を見せてルスが苦笑した。
「お前は、こんなによく泣く奴だったんだな」
「……俺だって、驚いてるよ」

こんな……、こんな情けない俺は、俺だって知らなかった。
でも、こんな俺を、一番大切だとルスは言ってくれたんだ。
俺もルスの想いに応えたい。
ルスを、この世で一番幸せにしてやりたい。
「俺、ルスの事、絶対幸せにするからなっ!」
決意を胸に宣言すると、ルスは口端を上げて不敵に笑った。

「残念だったな。俺はもう十分幸せだ」
「なっっ」
そう言えばそうだった。確かにこいつは、もう十分に幸せだと言っていた……。
「いや、お前という伴侶ができて、十二分に幸せになってしまったな」
「っっっっっ」
「だから、これからは俺がお前を幸せにしよう」
ルスは実直そうな眉で、真っ直ぐな瞳で、柔らかな笑みを浮かべて俺を見ている。

俺はその優しげな表情に、息をするのも忘れて見惚れていた。
「ゆっくりでいい。今まで聞いてやれなかったお前の思いを全部聞かせてくれ」
俺の両肩を温かなルスの手が包む。
「お前が辛かった事も、全部俺にぶつけてくれたらいい」
ルスは俺の額に優しく口付けて、続ける。
「お前の苦しみは、俺が全部受け止めよう」

…………おっ……男前ぇぇぇぇぇ…………。

何だこいつ。いや、わかってたけど。わかってたけど!!
わかってたけどさぁっっっ!!!

こんっっっっっな優しくて男前な奴、なんで今まで再婚しなかったのか不思議なくらいだよ!!

いや、分かってるけどさ。
仕事が忙しくて、職場は男だらけで、そんな機会がなかっただけだって。
実際、学生の頃は三回告白されてたよな。

俺は知っている。
こいつが『自分は騎士になるつもりだから、いつ死ぬかわからないような奴を選ばない方がいい』とか言って断ってたの。
こっそり、覗いてたからな。

花屋の子の時もそんな事言ってたけど、それを説得して告白させたのは俺だった。
ルスが幸せになれると思ったんだ。
でも結果的に、彼女とその子は死んで、ルスはもっともっと寂しくなってしまった。

「俺……っ、俺さ……」
俺の言葉に、ルスは優しく答える。
「うん、なんだ?」
「ルスをあの子とくっ付けて……、その結果、ルスを悲しませてさ……」
「お前……」
「っ、ごめん、な……」

俺の顎に、ルスの温かい指が触れる。
くい、と上を向かされたところへ、ルスの唇が降ってきた。
ルスの分厚い舌で唇をなぞられて、俺はそこを開いてルスを受け入れる。
「ん……ぅ……」
ルスの舌は俺を慰めるように、俺の内側を撫でさする。
俺の中が、ルスでいっぱいになって、温かくて柔らかいもので満たされて、何だか、ふわふわして力が抜けちまう……。
ガクンと膝の力が抜けた俺の腰をルスが慌てて引き寄せた。
「こら! 立ってる時に力を抜くな!」
ルスの声に危機感が滲んでいる。
そっか。ルスは片足で立ってっから、俺の事まで支えらんねーのか。
よいしょ。と立ち直ると、ルスがホッと息を吐く。

「その懺悔は、あの後も散々聞いたぞ」
言われて、確かに蟻の一件からしばらくは、酔う度ルスに謝ってたなと思い出す。
「素面でも、謝っときたかったんだよ……」
「お前のような二日酔いのやつが、素面と言えるのか?」
「うぐ……」
言葉に詰まった俺の肩を掴んで、ルスがクルリと俺の向きを変える。
「ほら、もうベッドに戻れ。まだもう少し休む時間があるだろう?」

片腕で杖をつきながらの癖に、ルスは器用に俺の背を押して、俺はあれよあれよと言う間に寝室前まで戻されてしまった。
「もう少しだけでも休んでおけ」
と言うルスに俺は思わず叫ぶ。
「っ、じゃあ、ルスが添い寝してくれるなら、寝る!」

ルスは半眼で俺を見て、ため息と同時に答えた。
「おいおい……。俺の嫁は随分と要求が多いな……」

俺の、嫁、て……っっっっ。
そ、その表現は、俺が恥ずかしすぎるんで、ほんっと勘弁してくれよ……。

ルスは苦笑を浮かべながらも、俺と一緒に寝室に入ってくれる。
「足がこうでなければ、抱き上げて運んでやれたんだがな」
小さな呟きには後悔が滲んでいる。

待てお前、抱き上げてって、まさかお姫様抱っこ的なやつか!?
絶対そうだろこの男前!!!!
俺はルスに横抱きにされる自分を想像して、赤くなる。
いやぜっっったい恥ずかしいって!!

ルスが怪我しててよかったなんて、思う瞬間がくるとはな……。
ベッドまで背を押され、俺はベッドに上がる。
ルスは俺を寝かせたら、帰ってしまうんだろうか。
振り返り見上げれば、ルスは困った顔をしていた。

「……こんなところで赤くならないでくれ。襲いたくなるだろう?」

……もういっそ、襲ってくれればいいのに。

でもルスは、そんな事しないんだろうな……。

ギシ、とベッドを軋ませてルスが動かない片足を両手で持ち上げつつベッドに上がってくる。
そっか、俺が一緒に寝てって言ったから……。
ルスはごろりと横向きに、片腕を枕にして横たわる。
「ルス……」
俺はルスに帰ってほしくなくて、どうすればルスを引き止められるか分からなくて、手を伸ばした。
ルスはその手をつかんでぐいと引き寄せる。
「ぅわ」
どさ、とルスの隣に倒れ込む。
「ほら、さっさと休め。せっかくの半休を無駄にするな」
そう言うルスは、もう目を閉じている。
うーん、真面目だなぁ。

彫りの深いその顔をじっと見つめていると、ルスが目を開いた。
「お前も目を閉じろ。何のために俺が添い寝してると思ってるんだ?」
ため息を吐くように、げんなりとルスが呟く。
そして、さっきから掴んだままだった俺の手を引き寄せると、俺の手の甲に唇を寄せた。
「なっ……!?」
敬愛を示す動作に、思わず動揺する。
いや意味合いとしては、俺の嫁と俺の姫は似たようなもんじゃないか。
って頭で分かっててもドキドキするもんはするんだよ!!!!
ルスはゆっくり唇を離すと、閉じていた目を開く。
優しげな黒い瞳が俺を見つめて微笑む。

「ほら、もう寝ろ」
「っ、寝れるか!!」
思わず叫んだ俺に、ルスはキョトンとする。
っあーーーーっ、その顔が可愛いんだよ!!

「添い寝したら寝ると言ったのはお前じゃないか。前言撤回とは、騎士の名を疑われるぞ?」
「お前が心臓に悪い事ばっかするからだよ! こんな心臓バックバクで寝れるか!!」
「ふむ……?」
ルスは俺の背に手を回すと俺の胸に耳を寄せた。
ルスの意外と柔らかい髪が俺の顎をくすぐる。
って、お前昨夜は汗と酒臭かったのに、あれからうちの風呂使ったのかよ、良い匂いじゃねーか!!

「本当だな。それは悪い事をした」
俺の心音を確認したルスが、素直に謝る。

ぁあ、ルスは本当に可愛いな……。
俺が顔を寄せると、ルスは大人しく目を閉じる。
なんだよ、この、俺のキスを待ってるルスとか、夢じゃねぇのかよ、最高過ぎんだろ!!
そっと唇を重ねる。ルスの唇はやっぱりあったかい。

こんな素直で可愛い奴、一人で帰して自慰させるとか絶対無理だわ。
いや、本当に、ルスが良くても俺が無理。

俺はルスの股間へと手を伸ばす。
まだじわりと熱を持ったそこを指先でなぞれば、ルスがびくりと肩を揺らした。
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