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番外編
痕と、そのあと【読切】
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明かりの落とされた室内を、窓から届く月の光がぼんやりと照らしている。
ベッドの上では、程良い筋肉に包まれた太腿が闇の中に白く浮かび上がっていた。
脚の上を骨張った大きな手が這う。
滑らかな肌を隅々まで確かめるように、黒髪の男……ルストックはその脚を丹念に愛撫していた。
壁に背を預けた金髪の男……レインズは、赤く染まった頬を隠そうとしているのか片手で顔を覆うようにして俯いていた。
しなやかな脚の膝裏をルストックが両手で持ち上げるようにして促せば、レインズは僅かに青い瞳を揺らしたもののおずおずとその両脚を開いた。
ルストックが小さな黒い瞳を満足気に細める。
「こんなに毎晩繰り返しても、お前は慣れないんだな」
くすりと笑うようにルストックが言うと、レインズが上擦った声で言い返す。
「わ、悪かったなっ、何度やっても恥ずかしいもんは恥ずかしーんだよっ!」
「悪いとは言ってないだろう? むしろそこが……」
ルストックは口端を上げながら、レインズの耳元に顔を寄せる。
耳の内側へ愛を囁かれて、レインズが小さく息を詰めた。
喜びからか、透き通るような青い瞳に涙が滲む。
後ろで一つに括られた金髪が少し解けて頬にかかっている。
輝くような金髪に彩られた耳も頬も首筋までが見る間に赤く染まる姿に、ルストックはもう一度目を細めてから、しなやかな太腿の付け根に唇を落とした。
びくり、と金髪が揺れる。
滑らかな太腿に顔を埋めて動きを止めたルストックに、レインズが眉を顰める。
「っ、そんな、あちこち痕付けんなよ……」
苦情を口にするレインズを宥めるように、ルストックの手が愛撫を再開する。
「ぁ……っ」
熱を持つ中心を握り込まれて、レインズが小さく身を捩った。
「こんな場所、俺以外には見せないだろう?」
囁いて、更に内腿へと顔を埋める男に、レインズは小さく抵抗する。
「も、やめろって、ルス……」
遠慮がちに肩を押し返そうとする手を、黒髪の男が掴む。
「お前を、俺以外の誰にも見られないよう閉じ込めたくなる時がある」
太腿に二つ目の痕をクッキリと残した唇で静かに囁かれて、レインズは青い瞳を揺らした。
「……そ、…………そんな、の……」
「むろん、するつもりはない」
動揺を滲ませる男を安心させるように、黒い瞳が優しく微笑む。
レインズは壁から背を離すと、ルストックに両手を伸ばして抱きつく。
「……俺は……。ルスがそうしたい、なら……」
少しだけ震える声で伝えられた言葉は、消え入りそうになりつつも男の耳元で「いいよ」と終わりまで伝えられた。
小さな黒い瞳が大きく見開かれる。
「まったく……。お前はそうやってすぐ俺に許すんだからな……」
ルストックはそう言いながらレインズを抱き返して眉を寄せる。
目を眇めたその表情は、どこか苦しそうにも見えた。
「……俺が本当に、お前を閉じ込めたらどうするんだ」
男の大きな手がレインズの引き締まった腰を撫で、もう片方の手が金髪のかかる背を強く抱いた。
「お、大人しくしてるよ……」
柔らかな唇を尖らせて、拗ねたようにレインズが答える。
「なんだそれは」
呆れたようなルストックの声に、レインズは焦った様子で言葉を足す。
「や、だからさ、俺はルスから逃げたりしねーし。ルスの言うことちゃんと聞くからさ……」
「だから、なんだ?」
「だからその……ルスの好きなように、してくれたらいーよ……」
おずおずと、それでも全てを委ねると告げるレインズの言葉に、ルストックは盛大なため息を吐いた。
「……じゃあ何か? 例えば俺があいつのようにお前を縛り上げたり、痛い目に遭わせたとして、も……――」
不意に途切れた言葉に、レインズの青い瞳が答えを求めてルストックを見る。
ルストックは静かにかぶりを振った。
「……いや、もう分かっている。お前が俺にどれほど尽くしてくれるのか、どんなに俺を尊重してくれるのか……」
レインズの視線を受け止めて、ルストックの黒い瞳がその内に熱を増す。
「俺に、こんなに……従順だという事も……」
ルストックが言葉と共にレインズの身体をベッドへ倒せば、レインズは瞳を揺らしながらも素直に横たわった。
薄暗い室内で月明かりに浮かび上がる身体に、ルストックがゆっくりと覆い被さる。
「俺はもう、十分、分かっているさ……」
滑らかな肌を誰にも見せないように、自身の身体でその全てを覆い隠すように。ルストックはどうしようもなく溢れる独占欲をもてあましながら、レインズの肌にもう一つ、二つと痕を残した。
----------
そんな夜の翌日。
----------
「やっぱダメだわ、全然お湯になりそうにねーや」
捲った袖を戻しつつ風呂場から出てきたレインズの言葉に、ルストックは顎を撫でて小首を傾げる。
「ふむ、故障か。仕方ないな。今日のところは公衆浴場に行くとしようか」
「……」
杖を手にソファーから立ち上がったルストックが、言葉を返さないレインズを見る。
レインズは服の襟元を引っ張って自身の胸元を覗き込んでいたが、ルストックの視線に気付いたのか引き攣った顔をルストックに向けた。
「どうした?」
尋ねるルストックの声がどこか楽しげで、レインズはこの黒髪の男が全て分かった上で言っているのだと気付くが、それが分かったところで今更どうしようもない。
「――っ、こんな体で行けるかよっっ!!」
頬を赤く染めて金髪の男が叫べば、ルストックはハラリと落ちてきた前髪を後ろへ撫でつけながら小さく口端を上げた。
ベッドの上では、程良い筋肉に包まれた太腿が闇の中に白く浮かび上がっていた。
脚の上を骨張った大きな手が這う。
滑らかな肌を隅々まで確かめるように、黒髪の男……ルストックはその脚を丹念に愛撫していた。
壁に背を預けた金髪の男……レインズは、赤く染まった頬を隠そうとしているのか片手で顔を覆うようにして俯いていた。
しなやかな脚の膝裏をルストックが両手で持ち上げるようにして促せば、レインズは僅かに青い瞳を揺らしたもののおずおずとその両脚を開いた。
ルストックが小さな黒い瞳を満足気に細める。
「こんなに毎晩繰り返しても、お前は慣れないんだな」
くすりと笑うようにルストックが言うと、レインズが上擦った声で言い返す。
「わ、悪かったなっ、何度やっても恥ずかしいもんは恥ずかしーんだよっ!」
「悪いとは言ってないだろう? むしろそこが……」
ルストックは口端を上げながら、レインズの耳元に顔を寄せる。
耳の内側へ愛を囁かれて、レインズが小さく息を詰めた。
喜びからか、透き通るような青い瞳に涙が滲む。
後ろで一つに括られた金髪が少し解けて頬にかかっている。
輝くような金髪に彩られた耳も頬も首筋までが見る間に赤く染まる姿に、ルストックはもう一度目を細めてから、しなやかな太腿の付け根に唇を落とした。
びくり、と金髪が揺れる。
滑らかな太腿に顔を埋めて動きを止めたルストックに、レインズが眉を顰める。
「っ、そんな、あちこち痕付けんなよ……」
苦情を口にするレインズを宥めるように、ルストックの手が愛撫を再開する。
「ぁ……っ」
熱を持つ中心を握り込まれて、レインズが小さく身を捩った。
「こんな場所、俺以外には見せないだろう?」
囁いて、更に内腿へと顔を埋める男に、レインズは小さく抵抗する。
「も、やめろって、ルス……」
遠慮がちに肩を押し返そうとする手を、黒髪の男が掴む。
「お前を、俺以外の誰にも見られないよう閉じ込めたくなる時がある」
太腿に二つ目の痕をクッキリと残した唇で静かに囁かれて、レインズは青い瞳を揺らした。
「……そ、…………そんな、の……」
「むろん、するつもりはない」
動揺を滲ませる男を安心させるように、黒い瞳が優しく微笑む。
レインズは壁から背を離すと、ルストックに両手を伸ばして抱きつく。
「……俺は……。ルスがそうしたい、なら……」
少しだけ震える声で伝えられた言葉は、消え入りそうになりつつも男の耳元で「いいよ」と終わりまで伝えられた。
小さな黒い瞳が大きく見開かれる。
「まったく……。お前はそうやってすぐ俺に許すんだからな……」
ルストックはそう言いながらレインズを抱き返して眉を寄せる。
目を眇めたその表情は、どこか苦しそうにも見えた。
「……俺が本当に、お前を閉じ込めたらどうするんだ」
男の大きな手がレインズの引き締まった腰を撫で、もう片方の手が金髪のかかる背を強く抱いた。
「お、大人しくしてるよ……」
柔らかな唇を尖らせて、拗ねたようにレインズが答える。
「なんだそれは」
呆れたようなルストックの声に、レインズは焦った様子で言葉を足す。
「や、だからさ、俺はルスから逃げたりしねーし。ルスの言うことちゃんと聞くからさ……」
「だから、なんだ?」
「だからその……ルスの好きなように、してくれたらいーよ……」
おずおずと、それでも全てを委ねると告げるレインズの言葉に、ルストックは盛大なため息を吐いた。
「……じゃあ何か? 例えば俺があいつのようにお前を縛り上げたり、痛い目に遭わせたとして、も……――」
不意に途切れた言葉に、レインズの青い瞳が答えを求めてルストックを見る。
ルストックは静かにかぶりを振った。
「……いや、もう分かっている。お前が俺にどれほど尽くしてくれるのか、どんなに俺を尊重してくれるのか……」
レインズの視線を受け止めて、ルストックの黒い瞳がその内に熱を増す。
「俺に、こんなに……従順だという事も……」
ルストックが言葉と共にレインズの身体をベッドへ倒せば、レインズは瞳を揺らしながらも素直に横たわった。
薄暗い室内で月明かりに浮かび上がる身体に、ルストックがゆっくりと覆い被さる。
「俺はもう、十分、分かっているさ……」
滑らかな肌を誰にも見せないように、自身の身体でその全てを覆い隠すように。ルストックはどうしようもなく溢れる独占欲をもてあましながら、レインズの肌にもう一つ、二つと痕を残した。
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そんな夜の翌日。
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「やっぱダメだわ、全然お湯になりそうにねーや」
捲った袖を戻しつつ風呂場から出てきたレインズの言葉に、ルストックは顎を撫でて小首を傾げる。
「ふむ、故障か。仕方ないな。今日のところは公衆浴場に行くとしようか」
「……」
杖を手にソファーから立ち上がったルストックが、言葉を返さないレインズを見る。
レインズは服の襟元を引っ張って自身の胸元を覗き込んでいたが、ルストックの視線に気付いたのか引き攣った顔をルストックに向けた。
「どうした?」
尋ねるルストックの声がどこか楽しげで、レインズはこの黒髪の男が全て分かった上で言っているのだと気付くが、それが分かったところで今更どうしようもない。
「――っ、こんな体で行けるかよっっ!!」
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