2 / 56
出会い(私)
しおりを挟む
その真っ赤な髪は、燃え盛る炎のようでした。
誰にも切られず伸びた長い髪が、幼い輪郭を赤々と包んでいました。
薄暗く陽の差さない古小屋で、彼の髪だけが命の色を放っていました。
身動きも取れず燻る小さな炎が、私の目には酷く眩く焼き付いたのです。
こんな場所では雨風も防ぎきれないでしょうに。
碌に食べ物も与えられていないのか、手足は細く今にも折れそうでした。
周囲の人々はあんなにも悠々と肥えていたのに。
この子は、こんな不条理にずっと耐えていたのでしょうか。
初めて私を見上げた小さな瞳は、憔悴し切った身体に見合わないほど鮮やかに輝く新緑の色でした。
息をすることすら忘れてしまうほどに、私はその生命力に強く惹きつけられたのです。
芽吹きの瞳と、燃える髪を持った少年。
私は、彼が『そう』なのだと確信しました。
強く生を望むこの魂を、世界を救う事ができるこの尊い命を。
今すぐここから連れ出して、清く正しく、強く逞しく育てなくては。
巡り合えた喜びと溢れる期待に、私は知らず震えていました。
この子なら、この世の悪を……。
私を殺してくれるかも知れない。と。
私が手を差し出せば、彼は少しだけ眉を動かしてから意識を手放しました。
きっと、もう随分前から限界だったのでしょう。
私は小さなその命を消してしまわぬよう慎重に抱き上げました。
見た目よりもずっと軽い身体は、それでも規則正しく息をしていました。
私は彼の居た場所を塵ひとつ残さず片付けると、彼の生まれた土地を後にしました。
彼を探す人は、もう誰も居ないでしょう。
誰にも切られず伸びた長い髪が、幼い輪郭を赤々と包んでいました。
薄暗く陽の差さない古小屋で、彼の髪だけが命の色を放っていました。
身動きも取れず燻る小さな炎が、私の目には酷く眩く焼き付いたのです。
こんな場所では雨風も防ぎきれないでしょうに。
碌に食べ物も与えられていないのか、手足は細く今にも折れそうでした。
周囲の人々はあんなにも悠々と肥えていたのに。
この子は、こんな不条理にずっと耐えていたのでしょうか。
初めて私を見上げた小さな瞳は、憔悴し切った身体に見合わないほど鮮やかに輝く新緑の色でした。
息をすることすら忘れてしまうほどに、私はその生命力に強く惹きつけられたのです。
芽吹きの瞳と、燃える髪を持った少年。
私は、彼が『そう』なのだと確信しました。
強く生を望むこの魂を、世界を救う事ができるこの尊い命を。
今すぐここから連れ出して、清く正しく、強く逞しく育てなくては。
巡り合えた喜びと溢れる期待に、私は知らず震えていました。
この子なら、この世の悪を……。
私を殺してくれるかも知れない。と。
私が手を差し出せば、彼は少しだけ眉を動かしてから意識を手放しました。
きっと、もう随分前から限界だったのでしょう。
私は小さなその命を消してしまわぬよう慎重に抱き上げました。
見た目よりもずっと軽い身体は、それでも規則正しく息をしていました。
私は彼の居た場所を塵ひとつ残さず片付けると、彼の生まれた土地を後にしました。
彼を探す人は、もう誰も居ないでしょう。
20
あなたにおすすめの小説
竜帝陛下の愛が重すぎて身代わりの落ちこぼれ薬師は今日も腰が砕けそうです 〜呪いを解いたら一生離さないと宣言されました〜
レイ
BL
「死ぬ覚悟はできています。でも、その前に……お口、あーんしてください」
魔力を持たない「無能」として実家で虐げられていた薬師のエリアン。
彼に下されたのは、触れるものすべてを焼き尽くす「死の竜帝」ヴァレリウスへの、身代わりの婚姻だった。
逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦
雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、
隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。
しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです…
オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が
なかたのでした。
本当の花嫁じゃない。
だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、
だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という
お話です。よろしくお願いします<(_ _)>
もう一度言って欲しいオレと思わず言ってしまったあいつの話する?
藍音
BL
ある日、親友の壮介はおれたちの友情をぶち壊すようなことを言い出したんだ。
なんで?どうして?
そんな二人の出会いから、二人の想いを綴るラブストーリーです。
片想い進行中の方、失恋経験のある方に是非読んでもらいたい、切ないお話です。
勇太と壮介の視点が交互に入れ替わりながら進みます。
お話の重複は可能な限り避けながら、ストーリーは進行していきます。
少しでもお楽しみいただけたら、嬉しいです。
(R4.11.3 全体に手を入れました)
【ちょこっとネタバレ】
番外編にて二人の想いが通じた後日譚を進行中。
BL大賞期間内に番外編も完結予定です。
勇者様への片思いを拗らせていた僕は勇者様から溺愛される
八朔バニラ
BL
蓮とリアムは共に孤児院育ちの幼馴染。
蓮とリアムは切磋琢磨しながら成長し、リアムは村の勇者として祭り上げられた。
リアムは勇者として村に入ってくる魔物退治をしていたが、だんだんと疲れが見えてきた。
ある日、蓮は何者かに誘拐されてしまい……
スパダリ勇者×ツンデレ陰陽師(忘却の術熟練者)
壊すほどに、俺はお前に囚われている
氷月
BL
【後輩と先輩、交錯する心と体】
春、新学期の大学キャンパス。
4年の蓮(レン)は、人気者らしく女子に囲まれながらも、なぜか新入生・七瀬巧(タクミ)の姿を探してしまう自分に気づいていた。
彼は去年の秋、かつて蓮が想いを寄せていた男の恋人の友人として出会った相手。
――まさか、この俺様が、また男に惹かれるなんて。
否定しようとすればするほど、目はタクミを追ってしまう。
無邪気に笑う顔。ふと見せる真剣な横顔。
先輩と後輩、互いに抗えない感情に囚われながら、夏の学園を駆け抜けていく――。
【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます
夏ノ宮萄玄
BL
オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。
――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。
懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。
義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる