14 / 56
悪(私)
しおりを挟む
ギリルが私の胸元でボソリと呟いた言葉に、私は耳を疑いました。
貴方に間違いなどありません。
貴方は真っ直ぐで、強く優しく育ってくれました。
間違いがあるとするなら、私の方です。
そう伝えようと思ったのですが、それは叶いませんでした。
「ぁあ……っ」
ギリルに優しく歯を立てられて、私の開きかけた口からはあられもなく喘ぐ声が漏れただけでした。
耳に届いた自身の声に、どうしようもなく恥ずかしさが込み上げます。
こんな……、こんな声が、どうして……。
真っ赤な顔をギリルに見られたくなくて顔を背ける私に、ギリルは嬉しそうな笑顔を見せました。
「師範……胸、気持ち良いのか?」
「……っ!」
そんな事を……き、聞かれても、困ります。
ギリルは嬉しそうに目を細めて、また私の胸へと舌を這わせました。
……っ、ギリルの熱い舌が……。
「……は、……ん、……ぁ……っ」
ギリルは私の腰を抱き寄せたまま、片手で私の胸を、ぶ厚い舌でもう片方の胸を優しく刺激し続けます。
「っ、……どう……して、んっ、……私の胸、なんか……っ、ぅあ……っ」
こんな痩せこけた胸を撫でたところで、何も面白くないでしょうに、どうして彼は、……こんな……。
ぞくぞくと背筋を駆け上る快感に、思考までもが滲んでしまいそう……です……。
「俺は、師範にも気持ち良くなってほしい……から」
私の胸元で彼の唇が動くと、その振動がまた快感に変わってしまいます。
「……っ、ぁあっ……!」
優しく歯を立てられて、それをまた吸い上げられれば、声を上げずにはいられませんでした。
「せんせ……、好きだ……」
「んっ……、ふ……、ぅ、……!?」
いつの間にギリルの指が降りていたのか、不意に感じた後ろへの刺激に私は思わず逃げるように身を捩りました。
怖い……。
そこに触れられることは。そこを踏み躙られることは。
人としての尊厳を全て失っていたあの頃へと、私の心を引き戻されるようで……。
「師範……?」
急激な恐怖に上がりきった呼吸。
気付けば涙がボロボロと溢れていました。
「は……ぁ……、っ、ぅぅ……」
「師範っ。ごめん、もう絶対急に触らない。師範……落ち着いて。ゆっくり、息をして……」
ギリルはこんな私を必死で慰めようとしていました。
ギリルのしっかりした腕が、私をそうっと胸元に抱き寄せてくれます。
壊れ物を扱うような、そんな繊細な手つきで。
大切にされている事実に、息ができないほどの不快感が少しずつ遠のいていきます。
私の髪を優しく撫でながら、ギリルは私の肌着の胸元を重ねました。
「……ぇ……?」
もしかして、彼はもうこれで止めようとしているのでしょうか。
私が……怖がってしまったから?
情けなく取り乱してしまったから。彼はまた、私のために自分の欲を抑えようとしているのでしょうか……。
「ギリル……っ、ギリル、違うんです。わ、私は……」
次の瞬間、私の後頭部をギリルの大きな手が包みました。
唇には、優しく温かい感触。
「……っ」
私は……彼のこんな簡単な願いさえ、叶えてあげられないのでしょうか……。
不甲斐なさに滲んで溢れた雫を、ギリルはそっと離した唇で吸い取りました。
ああ……どうして彼は、こんなに私に優しいのでしょうか。
私はあなたにいつも苦しい思いを強いてきたというのに……。
「師範……泣かないでほしい。俺が性急だった」
「そっ、そんなことありませんっ、ギリルはちゃんと尋ねてくれましたっ。私は貴方にそれを許しました!」
……それなのに……。
「謝らなくてはいけないのは、私の方です……」
「謝らなくていい。師範は悪くない」
「わ……悪いですよ。私は……」
今までに奪った人の命は、もう数えようもないほどに多くて……。
貴方の事も、利用しようと思って拾った……いえ、勝手に攫ってきただけで……。
そんな私が悪くなければ、一体何が悪だというのでしょうか。
貴方に間違いなどありません。
貴方は真っ直ぐで、強く優しく育ってくれました。
間違いがあるとするなら、私の方です。
そう伝えようと思ったのですが、それは叶いませんでした。
「ぁあ……っ」
ギリルに優しく歯を立てられて、私の開きかけた口からはあられもなく喘ぐ声が漏れただけでした。
耳に届いた自身の声に、どうしようもなく恥ずかしさが込み上げます。
こんな……、こんな声が、どうして……。
真っ赤な顔をギリルに見られたくなくて顔を背ける私に、ギリルは嬉しそうな笑顔を見せました。
「師範……胸、気持ち良いのか?」
「……っ!」
そんな事を……き、聞かれても、困ります。
ギリルは嬉しそうに目を細めて、また私の胸へと舌を這わせました。
……っ、ギリルの熱い舌が……。
「……は、……ん、……ぁ……っ」
ギリルは私の腰を抱き寄せたまま、片手で私の胸を、ぶ厚い舌でもう片方の胸を優しく刺激し続けます。
「っ、……どう……して、んっ、……私の胸、なんか……っ、ぅあ……っ」
こんな痩せこけた胸を撫でたところで、何も面白くないでしょうに、どうして彼は、……こんな……。
ぞくぞくと背筋を駆け上る快感に、思考までもが滲んでしまいそう……です……。
「俺は、師範にも気持ち良くなってほしい……から」
私の胸元で彼の唇が動くと、その振動がまた快感に変わってしまいます。
「……っ、ぁあっ……!」
優しく歯を立てられて、それをまた吸い上げられれば、声を上げずにはいられませんでした。
「せんせ……、好きだ……」
「んっ……、ふ……、ぅ、……!?」
いつの間にギリルの指が降りていたのか、不意に感じた後ろへの刺激に私は思わず逃げるように身を捩りました。
怖い……。
そこに触れられることは。そこを踏み躙られることは。
人としての尊厳を全て失っていたあの頃へと、私の心を引き戻されるようで……。
「師範……?」
急激な恐怖に上がりきった呼吸。
気付けば涙がボロボロと溢れていました。
「は……ぁ……、っ、ぅぅ……」
「師範っ。ごめん、もう絶対急に触らない。師範……落ち着いて。ゆっくり、息をして……」
ギリルはこんな私を必死で慰めようとしていました。
ギリルのしっかりした腕が、私をそうっと胸元に抱き寄せてくれます。
壊れ物を扱うような、そんな繊細な手つきで。
大切にされている事実に、息ができないほどの不快感が少しずつ遠のいていきます。
私の髪を優しく撫でながら、ギリルは私の肌着の胸元を重ねました。
「……ぇ……?」
もしかして、彼はもうこれで止めようとしているのでしょうか。
私が……怖がってしまったから?
情けなく取り乱してしまったから。彼はまた、私のために自分の欲を抑えようとしているのでしょうか……。
「ギリル……っ、ギリル、違うんです。わ、私は……」
次の瞬間、私の後頭部をギリルの大きな手が包みました。
唇には、優しく温かい感触。
「……っ」
私は……彼のこんな簡単な願いさえ、叶えてあげられないのでしょうか……。
不甲斐なさに滲んで溢れた雫を、ギリルはそっと離した唇で吸い取りました。
ああ……どうして彼は、こんなに私に優しいのでしょうか。
私はあなたにいつも苦しい思いを強いてきたというのに……。
「師範……泣かないでほしい。俺が性急だった」
「そっ、そんなことありませんっ、ギリルはちゃんと尋ねてくれましたっ。私は貴方にそれを許しました!」
……それなのに……。
「謝らなくてはいけないのは、私の方です……」
「謝らなくていい。師範は悪くない」
「わ……悪いですよ。私は……」
今までに奪った人の命は、もう数えようもないほどに多くて……。
貴方の事も、利用しようと思って拾った……いえ、勝手に攫ってきただけで……。
そんな私が悪くなければ、一体何が悪だというのでしょうか。
20
あなたにおすすめの小説
竜帝陛下の愛が重すぎて身代わりの落ちこぼれ薬師は今日も腰が砕けそうです 〜呪いを解いたら一生離さないと宣言されました〜
レイ
BL
「死ぬ覚悟はできています。でも、その前に……お口、あーんしてください」
魔力を持たない「無能」として実家で虐げられていた薬師のエリアン。
彼に下されたのは、触れるものすべてを焼き尽くす「死の竜帝」ヴァレリウスへの、身代わりの婚姻だった。
壊すほどに、俺はお前に囚われている
氷月
BL
【後輩と先輩、交錯する心と体】
春、新学期の大学キャンパス。
4年の蓮(レン)は、人気者らしく女子に囲まれながらも、なぜか新入生・七瀬巧(タクミ)の姿を探してしまう自分に気づいていた。
彼は去年の秋、かつて蓮が想いを寄せていた男の恋人の友人として出会った相手。
――まさか、この俺様が、また男に惹かれるなんて。
否定しようとすればするほど、目はタクミを追ってしまう。
無邪気に笑う顔。ふと見せる真剣な横顔。
先輩と後輩、互いに抗えない感情に囚われながら、夏の学園を駆け抜けていく――。
逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦
雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、
隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。
しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです…
オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が
なかたのでした。
本当の花嫁じゃない。
だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、
だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という
お話です。よろしくお願いします<(_ _)>
勇者様への片思いを拗らせていた僕は勇者様から溺愛される
八朔バニラ
BL
蓮とリアムは共に孤児院育ちの幼馴染。
蓮とリアムは切磋琢磨しながら成長し、リアムは村の勇者として祭り上げられた。
リアムは勇者として村に入ってくる魔物退治をしていたが、だんだんと疲れが見えてきた。
ある日、蓮は何者かに誘拐されてしまい……
スパダリ勇者×ツンデレ陰陽師(忘却の術熟練者)
もう一度言って欲しいオレと思わず言ってしまったあいつの話する?
藍音
BL
ある日、親友の壮介はおれたちの友情をぶち壊すようなことを言い出したんだ。
なんで?どうして?
そんな二人の出会いから、二人の想いを綴るラブストーリーです。
片想い進行中の方、失恋経験のある方に是非読んでもらいたい、切ないお話です。
勇太と壮介の視点が交互に入れ替わりながら進みます。
お話の重複は可能な限り避けながら、ストーリーは進行していきます。
少しでもお楽しみいただけたら、嬉しいです。
(R4.11.3 全体に手を入れました)
【ちょこっとネタバレ】
番外編にて二人の想いが通じた後日譚を進行中。
BL大賞期間内に番外編も完結予定です。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる