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誤解と真実(私)
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やっと分かりました。
どうしてこんな事になったのか。が。
全ては私の言い方が悪かったようです。
ですが、ギリルがまさか、そんな受け止め方をしていただなんて……。
「私の言う剣とは、勇者の聖なる剣であるアドミヌスの剣です」
私の言葉に、ギリルはすぐ返しました。
「あれは悪い者しか斬れない」
ギリルはほんの少し腕の力を緩めて、私の顔を覗き込みました。
「師範も分かってるだろ? あれがなんでもは斬れないせいで俺は長剣二本も下げてるんだからな」
静かな声で続けたギリルは、私の真意を測ろうとしているのか私の顔をじっと見つめています。
私はまっすぐな新緑の瞳に映る自分があまりに醜く思えて、目を伏せて答えました。
「……私の事なら、斬れますよ」
「なんでだよ」
ギリルの声に苛立ちが滲んでいます。
「この世に師範ほどいいやつはいないだろ」
「……そうでしょうか」
こんな……。こんなに私を慕ってくれるあなたに、こんなむごいことを言う私のどこが良いというのでしょうか……。
「……は……? なん……だよ、それ……」
ギリルも私の言葉が嘘ではないと気付いたのか、動揺に声が揺れていました。
両肩をギリルに掴まれて、私はギリルに正面から覗き込まれました。
「師範、こっち向いてくれよ」
「ギリル……」
そろそろとギリルの方を見れば、ギリルは真剣な顔にどこか縋るような瞳で私を見ていました。
「師範は、本気で俺に殺されたいのか?」
「……そのために、あなたを拾ったのだと言ったら、信じてくれますか?」
「っ、信じられるかよ!! じゃあ、俺をここまで育てたのは、全部自分を殺させるためだってのか!?」
私が頷くと、ギリルの顔が大きく歪みます。
「意味がわかんねぇよ!!」
私の肩を離したギリルの手がベッドを殴り付けて、部屋が小さく揺れました。
「……っ、師範は何がしたいんだよ!!」
「私は……」
言葉を探して、けれど、それはどうしても自分勝手なものばかりで。
私は耳障りの良い言葉を探すことを諦めると、シンプルに答えました。
「……私は、死にたいんです」
「そんなの勝手に死ねばいいだろ!? そしたら俺を拾う必要もねぇし!!」
彼の言うことはもっともでした。
私は立ち上がると、ベッド脇に外されていたギリルの短剣を手に取りました。
「それが出来るなら、そうしていました」
丁寧に手入れされた短剣を鞘から抜くと、ギリルが私を見上げました。
ギリルの視線を感じながら、短剣を自身の胸へと刺し込みます。
「……っ!」
痛みに詰まる息を堪えながら、剣の根元まで、常人ならば死ぬであろう深さまで刺し入れます。そうしなければ、彼が私を解ることはないでしょうから。
「せっ、師範っ!!」
ギリルは慌てて私を止めようとしました。
それを、首を振って制止します。
ギリルの視線は私の胸に強く注がれていました。
それがなんだか、申し訳ないのに、どこか嬉しくて私は苦笑してしまいました。
チリチリと背中側まで傷が修正されてゆく気配を感じつつ、私は短剣をゆっくり引き抜きます。
もう痛みを感じることはありませんでした。
「ほら……ね?」
胸元と背中側には多少の血が流れてしまいましたが、部屋を血で汚すほどの事にはなっていませんね。
確認して微笑めば、ギリルはまるで凍りついたように私を見つめたまま立ち尽くしていました。
どうしてこんな事になったのか。が。
全ては私の言い方が悪かったようです。
ですが、ギリルがまさか、そんな受け止め方をしていただなんて……。
「私の言う剣とは、勇者の聖なる剣であるアドミヌスの剣です」
私の言葉に、ギリルはすぐ返しました。
「あれは悪い者しか斬れない」
ギリルはほんの少し腕の力を緩めて、私の顔を覗き込みました。
「師範も分かってるだろ? あれがなんでもは斬れないせいで俺は長剣二本も下げてるんだからな」
静かな声で続けたギリルは、私の真意を測ろうとしているのか私の顔をじっと見つめています。
私はまっすぐな新緑の瞳に映る自分があまりに醜く思えて、目を伏せて答えました。
「……私の事なら、斬れますよ」
「なんでだよ」
ギリルの声に苛立ちが滲んでいます。
「この世に師範ほどいいやつはいないだろ」
「……そうでしょうか」
こんな……。こんなに私を慕ってくれるあなたに、こんなむごいことを言う私のどこが良いというのでしょうか……。
「……は……? なん……だよ、それ……」
ギリルも私の言葉が嘘ではないと気付いたのか、動揺に声が揺れていました。
両肩をギリルに掴まれて、私はギリルに正面から覗き込まれました。
「師範、こっち向いてくれよ」
「ギリル……」
そろそろとギリルの方を見れば、ギリルは真剣な顔にどこか縋るような瞳で私を見ていました。
「師範は、本気で俺に殺されたいのか?」
「……そのために、あなたを拾ったのだと言ったら、信じてくれますか?」
「っ、信じられるかよ!! じゃあ、俺をここまで育てたのは、全部自分を殺させるためだってのか!?」
私が頷くと、ギリルの顔が大きく歪みます。
「意味がわかんねぇよ!!」
私の肩を離したギリルの手がベッドを殴り付けて、部屋が小さく揺れました。
「……っ、師範は何がしたいんだよ!!」
「私は……」
言葉を探して、けれど、それはどうしても自分勝手なものばかりで。
私は耳障りの良い言葉を探すことを諦めると、シンプルに答えました。
「……私は、死にたいんです」
「そんなの勝手に死ねばいいだろ!? そしたら俺を拾う必要もねぇし!!」
彼の言うことはもっともでした。
私は立ち上がると、ベッド脇に外されていたギリルの短剣を手に取りました。
「それが出来るなら、そうしていました」
丁寧に手入れされた短剣を鞘から抜くと、ギリルが私を見上げました。
ギリルの視線を感じながら、短剣を自身の胸へと刺し込みます。
「……っ!」
痛みに詰まる息を堪えながら、剣の根元まで、常人ならば死ぬであろう深さまで刺し入れます。そうしなければ、彼が私を解ることはないでしょうから。
「せっ、師範っ!!」
ギリルは慌てて私を止めようとしました。
それを、首を振って制止します。
ギリルの視線は私の胸に強く注がれていました。
それがなんだか、申し訳ないのに、どこか嬉しくて私は苦笑してしまいました。
チリチリと背中側まで傷が修正されてゆく気配を感じつつ、私は短剣をゆっくり引き抜きます。
もう痛みを感じることはありませんでした。
「ほら……ね?」
胸元と背中側には多少の血が流れてしまいましたが、部屋を血で汚すほどの事にはなっていませんね。
確認して微笑めば、ギリルはまるで凍りついたように私を見つめたまま立ち尽くしていました。
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