ラーメンを求めて3時間

旅の支度

 とある田舎の田舎、超をつけるなら24の24乗つく位の360度田畑のど田舎の話である。
    ノブタロは祖父の玄三と2人暮らしで、丁度今、玄三は風邪を拗らせて寝込んでいて、よく咳をし、もう長くもたないということを覚悟しなければならない状態であった。
    そんな中、咳き込みながら、玄三はノブタロを呼ぶと、ノブタロは玄三が眠る和室に入ってきた。
「ノブタロ、俺はいつまでもつか分からない。だから」
と、ここで咳き込んで、息を切らしてからまた話を続ける。
「せめて、死ぬ前にうまい物を食って死にたい」
    ノブタロは答えた。
「爺ちゃん、死ぬとか縁起でもないこと言うなよ！」
「うるさい！死期が近い老人の要求に答えろ！」
    ノブタロは黙って玄三が何を要求するのかを待つと、やがて、玄三が口を開いた。
「ノブタロ、俺は絶品の」
またむせる。
「爺ちゃん、絶品の何を食いたいんだよ！？」
「塩ラーメン。」
     ノブタロは唖然として、心の中で疑問に思った。
(爺ちゃん、ラーメン好きだっけ？っていうか、歯あったっけ？)
だが、これを言うとノブタロは玄三に怒られそうだったので、言わなかった。
   ノブタロは聞いた。
「その塩ラーメンはどこで買えるの？」
「ノブタロ、手を出せ。」と玄三。
    ノブタロは玄三に手を出すと、玄三は紙切れをノブタロの手に託した。
「この紙はその塩ラーメンが食える店の住所と地図だ。俺はもう長くない。頼んだぞ」
  玄三がノブタロにそう言うと、ノブタロは頷いた。