教え上手な龍のおかげでとんでもないことになりました

明日真 亮

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第2章 風の大龍穴編

24 デザートウルフの群れ

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 僕はあっという間にデザートウルフの群れに取り囲まれてしまった。探知魔法を見てみると、たくさんの丸い点の横に【22】の表示がある。
 デザートウルフを数えてみると……22匹いる! これは便利だね。――と言ってる場合ではないようだ。

『デザートウルフの厄介なところは群れで行動し連携を取るところだ。砂漠のハンターと言われるほど、賢い連携で攻撃してくる』
「砂漠のハンターね。そんな異名まであったんだ」
『知識は武器だ。お主も貪欲に集めるのだぞ。さて、新しく手に入れた剣とマントも試したことだし、これからは魔法も解禁だ。火魔法による攻撃も使いながら、デザートウルフの群れを殲滅してみよ』
「魔法も使っていいんだね! よかった。剣だけじゃキツイと思ってたよ。試したいこともあるし早速行くよ!」
『我は空中から応援しておるぞ』

 ルシアは再び空中に浮いて観戦を始めた。



 まずはデザートウルフに火魔法がどれぐらい効くのか試さなくちゃ。僕は密度が薄くて大きさに重点を置いた球形の魔力を放出して、デザートウルフが集まっているところを狙う。

「行け! ファイアーボール!!」

 ファイアーボールはデザートウルフの群れを目がけて一直線に飛んでいき、砂の地面にぶつかると同時に燃え上がった。
 よし! 10匹ぐらいを巻き込んでやったぞ。……なるほどね。これぐらいじゃ致命傷は与えられないんだな。
 デザートウルフの方を見ると、怪我や火傷はしているものの、まだ動ける状態のデザートウルフが唸りをあげている。

 それならこれを試そう。僕は右手に魔力を集中してファイアーボールを発動。10個の火の球を宙に浮かべる。密度を高めた野球ボールサイズのファイアーボールだ。そのまま怪我をしたデザートウルフを目がけて一斉に飛ばす。

 猛スピードで放たれたファイアーボールは全て見事に命中! 急所を狙っては見たけれど仕留めたのは7匹だな。

『ほう。上手い攻め方だな。狙いも正確で良かったぞ』

 空中からルシアが褒めてる。嬉しいけど、喜んでる場合じゃない。

 さっき仕留め損なった3匹と僕を取り囲んでいる12匹がファイアーボールの打ち終わりを狙って次々と襲ってきた。
 僕は攻撃を躱しながら剣を振る。しかし15匹の同時攻撃は簡単には捌けない。

「これだけの数で連携をとられると流石に危ないな……」

 僕は一旦、距離を取るために魔力を足に集中させて後方へと下がった。



 僕の正面には15匹のデザートウルフが今にも襲いかかろうと態勢を低く構えている。

「オーーンッ!」

 1匹のデザートウルフが吠えると同時に襲い掛かってきた。それを合図に残りの全てが跳躍して飛びかかってくる。

 僕は以前父上から教わった魔法を使う。目の前に高くて広い四角い魔力を放出して、

「ファイアーウォール!!」

 すると炎で出来た壁が出現。父上から習った攻防一体の火魔法だ。次々と飛び掛かってくるデザートウルフはファイアウォールの炎に突っ込んで焼かれている。
 その中には火の壁を突き破ってくるやつもいたけど、ルシアから言われたとおり魔力の流れを見ているから、どこから来るかは一目瞭然。
 壁を突き破ってくるものはミスリルの剣で一刀両断にして、全てのデザートウルフを仕留めることができた。
 探知魔法の映像を見ると丸い点が消えていて、数字の表示も【0】になっていた。

『レアンデル、見事であったな』

 ルシアがふわりと空中から降りてきた。

『魔法の使い方も効果的だったし、魔力の流れを見ながら落ち着いて戦うこともできていた。色々と試しながらの戦いではあったが、見事にはまっていたな。成功も失敗も次に活かすことが大事なのだ。全ての経験を糧にしていくのだぞ』
「うん。すごく勉強になったよ」

『少し休憩をしたらあらためてオアシスに向かうぞ。その前に魔物についてもう一つ教えておこう』
「お願いします!」
『魔物が普通の動物と違うところは魔力を使えるということだ。そしてその魔力が固まり結晶化した”魔石”というものを持っている。魔石とは何に使うか知っておるか?』
「確か魔法の道具に使われているんだよね」
『そうだ。室内を照らしたり、物を冷やしたり、色んな効果を持つ魔道具があるが、そのエネルギー源には魔石を使っておる。つまり魔物を倒したあとに得られる魔石は高値で売れるということだ』
「魔石を売るの?」
『お主はランバートから100万ゴルドという大金を与えられたと思うが、お金は使うと減るのだぞ? 武器を揃えるのも、美味しいものを食べるのもお金は必要だ。稼げるときに稼いでおかないと旅はできないぞ?』
「それはもちろんそうだね。でも魔石を売るなんて思いつかなかったんだよ」
『魔石だけではないぞ。デザートウルフならば毛皮も貴重な素材の一つだ。こういったものも高く売れる。もちろん傷が無いものほど高値が付くから、お主が火魔法で仕留めたやつは素材の回収という意味では駄目な倒し方というわけだ』
「なるほど。そこまで考えて戦ってなかったね」
『それはよい。我も初実戦から素材回収まで求めるつもりは無かった。しかしそういうところまで意識して戦う場面も出てくる。知識として知っておくのだな」
「分かった」
『それでは少しだけ休憩したら魔石を回収してオアシスに向かうぞ。魔石は魔物の心臓部にある。上手く取れよ』
「えっ! 僕が取るの?」
『当たり前ではないか。お主が仕留めたのだし、お主の修行なのだぞ? 獲物の解体も大事な経験だ。1匹だけでいいから毛皮も回収するように。本来は解体用のナイフでもあれば良いのだが、ミスリルの剣で代用せよ。残りのものは我に任せよ』
「わ、分かったよ」

 僕はルシアに教えてもらいながらデザートウルフの解体作業を終えた。結果から言えば、ルシアに解体の才能があるんじゃないか? と言われるぐらい上手いことできたんだけど、解体の才能ってあった方がいいのかな? 無いよりいいよね。
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