使える魔法はセーブとロードとリセットです。

ちさめす

文字の大きさ
4 / 16

襲撃②

しおりを挟む


「どうした?何か良い事でもあったのか?」
「まあね。そんなところだよ」

それからロイは診察まで2時間は掛かると言った。
この町の病院は小さく、またここだけということを道中に聞いていたので、待合室の混雑具合を眺めながら分かったと答えた。

ロイを待っている間に聞いていた2人の会話内容をロイに話した。

「多分その人はシールドレインに所属する人だな。人々を魔物から守るために政府が公に組織しているんだ。恐らくそのコアというのが特別な力なんだと思うよ」

ところで、とロイが話をかえてきた。

「ハル。本当に頭の方は大丈夫なのか?その、変な意味じゃなくてだな、なんていうかその、玉がぶつかる前のハルと雰囲気が違う気がして、不思議な感じがしてな」

「もうすっかり痛みは引いたよ。前のことは何も思い出せなくて、変に感じるなら謝るよ、ごめん」

(それにしても、転移した僕に中身が変わったことを記憶喪失と思ってもらえるのは都合がいいな。この世界では記憶喪失で話を合わせよう)

「い、いやいやいいんだ。謝らないでくれ」

(ハルは謝り方の一つも知らなかったのに。記憶喪失ってこんなにも人が変わるのか)

ロイが僕に場を取り繕うために手を無作為に振っているが、その不自然さに笑いが込み上げてくる。
気にしなくてもいいというやり取りをしている時、病院入口のドアが開き、勢いよく人が入ってきた。

「魔物だ!魔物が来たぞー!みんな早く逃げろ!」

突然現れた男の叫びで待合室全体がどよめく。

受付にいる看護師は業務の手を止めて叫び続けている男を見ていたが、目の前のモニターに緊急を知らせる赤い避難信号の文字が音を立てて点滅するのを確認すると、他の看護師とアイコンタクトを取りながら多くの患者の避難誘導を行った。

叫ぶ男のもとに2人の人間が駆け寄ったのを僕は見た。
バンダナの男と包帯の女の子だ。

「おい、一体何があったんだ?」
「魔物だよ。魔物が町に侵入したんだ!もうそこまで来てる。この病院も危ないから早く君たちも逃げるんだ!」

バンダナの男と包帯の女の子は目を合わせる。

「うそ~この町はゲートで守られているのに。もしかして突破されちゃったのかな~?」
「その可能性が高いな。包囲陣を敷いている領主館には衛兵がいるはずだから俺たちは町で襲われている人を助けるぞ」

そう言ってバンダナの男は病院の入口へ向かう。

「待ってホロ。まだコアはマナの補給で研究所にあるのよ~。それにもしもゲートが突破されているのなら領主館も襲撃を受けてそうだよ~。コアを回収した後、私は領主館へ向かってみる~」

走り去っていく後ろ姿のまま、ホロという男は大声でわかったと答えた。

「ハル。ここも危ないみたいだ。俺たちは一度領主館へ戻ろう」
「そうしよう。ロイ、案内を頼むよ」

看護師たちの誘導で次々と避難する人々の波に乗り、病院を出た僕たちは領主館を目指した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

ダンジョンを拾ったので、スキル〈ホームセンター〉で好き勝手リフォームします

ランド犬
ファンタジー
 異世界に転移した佐々木悠人は、召喚でも勇者でもなかった。ただ迷い込んだ先で見つけたのは、王都を望む郊外にひっそりと口を開けるダンジョン。足を踏み入れた瞬間、発動したスキルは ――〈ホームセンター〉 壁を張り替え、部屋を増やし、畑や牧場、カフェまで作れる不可思議な力だった。 気ままに始めたリフォームは、もふもふなネコミミ獣人の少女との出会いをきっかけに、思わぬ変化を呼び始める。 拡張され続けるダンジョンの先で、悠人が作り上げる“住める迷宮”とは――?

英雄将軍の隠し子は、軍学校で『普通』に暮らしたい。~でも前世の戦術知識がチートすぎて、気付けば帝国の影の支配者になっていました~

ヒミヤデリュージョン
ファンタジー
帝国辺境でただ静かに生き延びたいだけの少年・ヴァン。 彼に正義感はない。あるのは、母が遺したノートに記された、物理法則を応用した「高圧魔力」の理論と、徹底した費用対効果至上主義だけだ。 敵国三千の精鋭が灰燼城に迫る絶望的状況。ヴァンは剣を振るわず、心理戦と補給線攪乱だけで、たった三日で敵軍を撤退させる。 この効率的すぎる勝利は帝国の中枢に届き、彼は最高峰の帝国軍事学院への招待状を手に入れる。 「英雄になりたいわけじゃない。ただ、母の死の真相と父の秘密を知るため、生き残らなきゃならないだけだ」 無口最強の仮面メイド・シンカク、命を取引に差し出した狼耳少女・アイリ。彼は常にコスパの高い道を選び、母の遺したノートの謎、そして生まれて一度も会ったことのない父・帝国大元帥のいる帝都の闇へと踏み込んでいく。 正義も英雄も、損をするなら意味がない。合理主義が英雄譚を侵食していく、反英雄ミリタリー学園ファンタジー。

王宮メイドは今日も夫を「観察」する

kujinoji
恋愛
「はぁぁ〜!今日も働くヴィクター様が尊すぎる……!」 王宮メイドのミネリは、今日も愛しの夫ヴィクターを「観察」していた。 ヴィクターが好きすぎるあまり、あますところなく彼を見つめていたいミネリ。内緒で王宮メイドになり、文官である夫のもとに通うことに。 だけどある日、ヴィクターとある女性の、とんでもない場面を目撃してしまって……? ※同じものを他サイトにて、別名義で公開しています。

処理中です...