私も、大好きだよ。

ちさめす

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秋花

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「……これ?」

「ああ。新学期が始まってもまだ学校には来れてないだろ? 三年で進路調査出してないの美里だけだから、先生が回収してこいってさ」

「……わかった」

 ◇

「書けたか?」

「……見ないで」

「わかってるって! プライバシーは守るから! かわりに先生に渡しておくから安心して俺に託せ」

 ◇

「……とまあ、美里の前ではあんなこといったけど、ぶっちゃけ見てもバチはあたらんだろ。……って、え? 白紙……?」

 ◇

「やっとこの日が来たな! 準備は整った。さあ美里。いくぞ、支度しろ」

「……え?」

「おばさんから聞いてるだろ? 今日は出掛けるって」

「……うん。でも、なんでいるの……?」

「行先は俺が決めた場所だからだよ」

「……家族、旅行……なのに」

 ◇

「……ここは?」

「国立公園だよ。……さあ、こっちだ」

「……」

「どうだ?」

「……すごい」

「美里、お前に見せたくて必死に探したんだぜ? ……秋に咲く桜を」

「……なん、で……」

「桜ってさ、虫とか天候とかの影響で葉が枯れると、春だと勘違いした桜が花を咲かせるらしいんだ。今年の五月に大型の台風が来ただろ? もしやと思って調べてみたらビンゴだったってわけ」

「……綺麗……」

「ここからの景色も最高だけど、せっかくならもっと近くで……って、いわなくても向かっていくか~。……おい待てって~!」

 ◇

「……桜、すごく……綺麗……」

「ああ。本当に綺麗だよな。……風が吹いた時の花びらと美里がすごい絵になってる」

「……友次」

「ん? どした?」

「……ありがとう」

「へへっ。これぐらいなんでもねえよ」

「……」

「……おい? 寝そべると服が汚れるぞ? ああ……。まあいいか」

「……ふふ」

「じゃあ俺も寝そべよっと」

 ◇

「美里、気分はどうだ?」

「……すごく、いい」

「よかった」

「……ねえ、友次」

「ん?」

「……短冊、見た……でしょ……?」

「……ああ。ごめん」

「……ううん……違う、の……おかげで……」

「うん?」

「……桜、見れた……」

「ああ。そうだな」

「……ありがとう」

「……美里。……そうだ、美里」

「……なに?」

「お誕生日おめでとう」

「……え?」

「ほんとはさ、この後に美里のバースデーパーティがあるんだけど、どうしても今いいたくなってさ」

「……それ、今……いうの?」

「……あ! しまった! バースデーパーティのサプライズがあることをばらしちゃった! なんか雰囲気でついいっちまった! なにやってんだ俺!? ……美里! わるいけど、今のは聞かなかったことにしてくれないか!?」

「……だめ」

「ええ!? そこをなんとか~! やべえ、おばさんとおじさんに怒られる~!」

「……ふふ。……いいよ」

「ほんとか!? よかったああ」

「……その、かわり……」

「そのかわり?」

「……来年も、一緒に……見よう、ね」

「ああ! もちろん!」

「……約束、だよ」
 
 
 
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