22 / 25
急変
しおりを挟む「……おばさん!」
「友次くん!」
「美里は!? どうなんですか!?」
「今は集中治療室にいるわ。心不全で意識がなくなったそうなの」
「心不全!? じゃあ、もう……」
「……友次くん、信じるのよ。最後まであの子のことを」
「はい……」
◇
「先生! 手術は? 美里はどうなりましたか!?」
「一命は取り留めましたが、依然脈拍は低いままです。これ以上の手術は非常に難しくなります。次にまた意識を失うことがあれば、その時は――」
◇
「あの子、ぐっすりと眠ってるね。……なんだか幸せそうな寝顔してるね」
「そうですね」
「……友次くん、ごめんなさいね」
「え? なにがですか?」
「ずっとあの子のことを考えてくれて。私はてっきり、あの子の気持ちを優先することがあの子のためだとばかりに思っていたの。たとえ間違った考えでも、そうすることが親のやるべきことだと思ったから。でも、違った。今もこうして笑顔で眠ることができてるのも友次くんのおかげね」
「よしてくださいよ。なんにしても、美里のことを想う限りは全部正しいと俺は思ってますから」
「友次くん……。最後に……あの子を幸せにしてくれて、本当に、本当にありがとう……」
◇
「……」
「……」
「おばさん、美里は俺が見ときますから。……もう深夜の二時ですよ。俺は平気ですから、少し休んでください」
◇
『ピー、ピー、ピー』
「え、なに!? なんだ? 美里? おい美里? しっかりしろ美里! ……そうだ、ナースコール」
『ピー、ピー、ピー』
「早く来てくれ……美里が……美里が……! 機械に文字が出てる……心拍数、低下……?」
「友次くんどうしました!?」
「看護師さん、美里が……美里の心拍数が……!」
「落ち着いて友次くん! 今医師に連絡をしたから!」
「美里……美里……」
「美里ちゃんに電気を流します。友次くんちょっと離れて」
「美里……!」
◇
「おばさん!」
「友次くん、見ててくれてありがとう。美里は?」
「今は病室で……」
「病室……?」
「もう手術に耐えられる身体じゃないって……だから電気ショックと投薬で……心臓を……うう……」
「……」
「おばさん……美里は、もう……」
「友次くん、こういう時こそ側にいなきゃダメじゃない」
「おばさん……」
「ほら! いくよ!」
◇
「美里……!」
「だめです。脈拍は安定しません!」
「これ以上の電圧は危険だ。心臓マッサージに切り替える」
「美里……お願いだ……死なないでくれ……もう一度、お前の声を聞かせてくれよ!」
『ピー、ピー、ピー』
「美里!!!」
「だめです! 血圧が上がりません!」
「来年も一緒に桜を見よって約束したじゃねえか。やっとお前と本音をいい合えたのに、これからだったのに……」
『ピッ、ピッ、ピッ、ピッ』
「ああ……死ぬな……起きろよ美里……!」
「だめです先生! もうこれ以上は!」
「ああ神様……美里を救ってくれよ! 俺が死んでもいいから! 俺はどうなってもいいから! 頼むよ、誰でもいい。美里を助けてくれよ! ……くっそおおおお!」
『ピーーーーー』
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
白椿の咲く日~ひそかな恋、遠い日の思いは
紫さゆり
恋愛
結婚を控えた真由子は、久しぶりに異母姉の稚子(わかこ)と会う。
真由子の母の雪江は、大学教授であり著名な歌人の水上実之(みなかみさねゆき)の後添いとして水上家に嫁いだ。
婚約者の諒人(りょうと)のことなど、真由子は稚子と色々語り合ううち、庭の白椿の木は真由子がなついていた異母兄、靖之が植えたものだと知る。
白椿の木をめぐっての、ひそかな大人の恋物語です。
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。
「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…
なお、スピンオフもございます。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
夜の帝王の一途な愛
ラヴ KAZU
恋愛
彼氏ナシ・子供ナシ・仕事ナシ……、ないない尽くしで人生に焦りを感じているアラフォー女性の前に、ある日突然、白馬の王子様が現れた! ピュアな主人公が待ちに待った〝白馬の王子様"の正体は、若くしてホストクラブを経営するカリスマNO.1ホスト。「俺と一緒に暮らさないか」突然のプロポーズと思いきや、契約結婚の申し出だった。
ところが、イケメンホスト麻生凌はたっぷりの愛情を濯ぐ。
翻弄される結城あゆみ。
そんな凌には誰にも言えない秘密があった。
あゆみの運命は……
~春の国~片足の不自由な王妃様
クラゲ散歩
恋愛
春の暖かい陽気の中。色鮮やかな花が咲き乱れ。蝶が二人を祝福してるように。
春の国の王太子ジーク=スノーフレーク=スプリング(22)と侯爵令嬢ローズマリー=ローバー(18)が、丘の上にある小さな教会で愛を誓い。女神の祝福を受け夫婦になった。
街中を馬車で移動中。二人はずっと笑顔だった。
それを見た者は、相思相愛だと思っただろう。
しかし〜ここまでくるまでに、王太子が裏で動いていたのを知っているのはごくわずか。
花嫁は〜その笑顔の下でなにを思っているのだろうか??
優しい雨が降る夜は
葉月 まい
恋愛
浮世離れした地味子 × 外資系ITコンサルのエリートイケメン
無自覚にモテる地味子に
余裕もなく翻弄されるイケメン
二人の恋は一筋縄ではいかなくて……
雨降る夜に心に届いた
優しい恋の物語
⟡☾·̩͙⋆☔┈┈┈ 登場人物 ┈┈┈ ☔⋆·̩͙☽⟡
風間 美月(24歳)……コミュニティセンター勤務・地味でお堅い性格
雨宮 優吾(28歳)……外資系ITコンサルティング会社勤務のエリートイケメン
清掃員と僕の密やかな情状
MisakiNonagase
恋愛
都心のオフィスビルで働く会社員の26歳・高城蓮(たかぎれん)。彼の無機質な日常に唯一の彩りを与えていたのは、夕方から現れる70歳の清掃員・山科和子だった。
青い作業服に身を包み、黙々と床を磨く彼女を、蓮は「気さくなおばあちゃん」だと思っていた。あの日、立ち飲み屋で私服姿の彼女と再会するまでは――。
肉じゃがの甘い湯気、溶けゆく氷の音、そして重ねた肌の温もり。
44歳の年齢差を超え、孤独を分かち合った二人が辿り着いた「愛の形」とは。これは、一人の青年が境界線の向こう側で教わった、残酷なまでに美しい人生の記録。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる