捻れて歪んで最後には

三浦イツキ

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契約の夜

八(R18)

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 体中が熱い。

 ちゃんと抗えていたのはいつまでだったか、すっかり快楽に呑み込まれた私の頭は幾度となく溺れ、それでもまだ置き去りにできない理性から湧き上がる羞恥で今にも焼き切れてしまいそうだった。

「ッあ……や、だっ……! また、変に、な、ぁっ!」
「教えただろう。きもちいい、と言うんだ。いつ覚える?」

 最初こそ到底入らないと思っていた彼の指が私の中で動くたび、淫らな音とともに背骨を小さな火花が駆け上がった。腰から広がるそれはやがて脳を痺れさせ、全身が痙攣してまた熱が上がる。もう何度目かもわからない。

 私がこんなことになっているのは魔術のせいだと言い聞かせつつも、笑い混じりの彼の低い声が耳をくすぐるたびに心臓が跳ねている。

 頼りない下着の紐はとっくの昔に解かれ、いつの間にか指は一本から二本に増え、やけに楽しそうな彼は私の体を弄び続けた。それは初めて知るその感覚が性的な快楽であると教えるには十分で、まるで望んでこの行為に耽っているかのような錯覚に陥らせる。

「だいぶ慣れたように見えるが、そろそろ次に進んでも?」
「な、んでも……いいから、早く、終わらせてください……!」
「そのように言われては寂しいな」

 一纏めに片手で封じていた私の両手首を解放すると、そのまま肩を掴んで体の向きを変えさせ、ベッドへ押し倒す。咄嗟に胸を隠す私を見て僅かに目を丸くしたが、すぐに愉快そうに唇を歪めた。

「まだ余裕があると捉えて良いか?」
「……そう、かも……しれま、せんね」

 虚勢も全て、どうせ見通しているのだろう。

「ゆっくり呼吸するんだ。体の力を全て抜いて」

 浅ましく濡れた秘所に何かが押し当てられる。軽く息を飲んで、できる限り力を抜いた。これが終わればきっと開放される。早く街に出て、教会で神様に謝らないと。

 思考を他へ飛ばしかけたのを強引に引き戻すように押し入ってきたそれは圧倒的な質量を持っていた。指とは全然違う。動きは遅いが、無理に内側から腹を広げられている。痛みがないことが不思議なくらいだ。

「むり、そんなっ……入らな、い……!」

 精一杯の強がりをすぐさま突き破られ、浅い呼吸を繰り返しながら訴えると動きが止まった。彼は腰を掴んだ手を片方だけ離し、私の頭の上へついて額にキスをひとつ落とす。

「私の指示通りに呼吸しろ。吸って……吐いて……、上手いぞ」

 いつになく湿った声に操られながら喉を震わせる。異物感は引かないが、苦しさだけは和らいでいくように思えた。

 そして、先程まで嫌というほど与えられたあの甘い欲が奥に潜んでいることに気づいてしまう。そんなものを求めてなどいないのに。
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