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新たな縁談
7.縁談?
しおりを挟むどこの夜会でも見かけないと思ったら、陛下に蟄居申しつけられていたのか。
ローゼは国王の言葉に納得したが、実際は、教会や議会の不興を買ったウィスコントと関わり合いたくなくて、誰からも招待されなくなったからである。
「要件はこれじゃ」
まだ50歳なのに白い物が多く混じる淡い灰茶の髪を肩から垂らしながら上半身を傾け、国王が差し出したもの。
テーブルに置かれた紙面に書かれていたのは、婚約解消に関する確認事項と、解消する事で被るローゼへの補償やこれからの扱いなどの項目であった。
「それで、愚か者の代わりに婚約したい王子は決まったかの?」
(あれ、本気だったの!?)
「いいえ、陛下。長年の婚約者一人惹き付けておけないようなわたくしには過ぎた縁談。他の王子殿下の妃になど、過分にして分不相応にございますわ」
王妃達との縁が切れる事は寂しいし、せっかくの王子妃教育も勿体ないが、貴族として生きていく上ではどこへ嫁いでも応用の利く教養、無駄にはなるまい。
むしろ、ウィスコントの尻拭いですら大変であったのに、王城の奥宮に暮らし、本格的に公務を執り行うなど、冗談だけにして欲しいと思った。
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