私が天使な悪魔? そんなの聞いてません!!

ピコっぴ

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👿私は『天使』で『悪魔』な悪役令嬢?

✡7 僕は誰で、君はどこのご令嬢かな?

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✡7 僕は誰で、君はどこのご令嬢かな?

 鏡を見ながらおでこを撫でる私を、大笑いする毒舌美少女な少年X。失礼なんじゃないの?

「くふふ。君、面白いね」

「⋯⋯⋯⋯それ、褒めてないわよね?」

「僕としては、褒めてる方だと思うけど、そうか。女の子は、可愛いとか綺麗が褒め言葉かな?」
「心にもないとこを言われても、褒められてる気はしないから別にいいわ」

 目に涙を溜めて、更に笑い続ける少年X。

「君、本当に面白いね。で? どこの名家の令嬢なの?」
「他人に訊ねる時は、先に名乗るものじゃない?」

 また笑い出す。

「君こそ、さっきの言葉をそっくり返すよ。貴族令嬢なのに、僕を知らないの?」
「知らないわ」

 10歳になったばかりで、まだ社交界に出てはいないし、7歳の時に集められた子供のお茶会では、天使な悪魔令嬢として、ぽっちゃり令嬢と張り合うか、彼女のお目当てのおぼっちゃまを甘えるふりして揶揄からかっただけで、元々交流を広げるつもりはなかったらしく、あの時もその後も、誰とも交友を深めなかった。

 当時のルシエーラが何を考えていたのかは思い出せない。
 出来事の記憶はあるけれど、思考内容までしっかりと覚えているのはここ1~2年分程度のもので、それすらも、本で読んだ他人のもののよう。

 所詮しょせん、黒髪おさげビン底眼鏡の私は、今は彼女の記憶と融合しているとはいえ厳密にはルシエーラではないからだろう。

 では、今のこの状況は、なんなのだろうか。

 予想としては、スマホで読める縦読みカラー漫画やウェブ小説にありがちな、異世界転生したけど頭を打ったりショックな出来事があって生前の記憶が蘇ったか、物語の登場人物に意識だけが憑依したものか。

 勿論、ナビゲーター的な存在や神様に会った事もないので、何が正解かは解らない。
 解らないけど、そういう事なのだろう。

 ただ、転生して今の私があるのなら、このまま新しい人生を送るしかないけど、登場人物に憑依していたのだとしたら。
 その場合、そのまま登場人物として生きていけばいいのか、何かお題をクリアすれば現代の黒髪おさげビン底眼鏡の喪女であった私に戻れるのか、がわからない。


「さて。僕がどこの誰なのかは、次に会ったときまでのお題にしておこうかな」

「七歳の時のお茶会では会わなかった、わよね? あの時、不参加のご令息がいたかしら? その全身シルクに宝石と金糸の縫い取りからして、お家は貧乏ではないわね。あの時は、貴族階級ではなくても、商家や名家などの上流階級の子女も多く居たけれど、今日は貴族だけのはず。まあ、あの時も、顔を合わせる事がなかっただけで、居たのかもしれないけど?」

 美少女な少年は、笑みを浮かべて、黙ってただそこに佇んでいる。美少女や美少年の笑顔は、破壊力が半端ないな。面食いじゃない私でも、動悸が⋯⋯

 七歳の時のお茶会は、交流を図る訓練として、またそれなりの人脈を作るというか顔を売るために、豪農や大商人、学者や大臣などの知識人・名士、法曹界の重鎮などの子女も参加していた。

 けど、今日のとおの祝宴は、本当に貴族の子女のみが招待され、各家門の全ての子供が強制参加だ。
 体調が悪い場合も、医師と共に別室に控えてそこで皆と同じく陛下のお言葉を聞くことを拒否できないほどに、絶対的なものだ。怪我程度ならこの庭園に出ているし、病気などしないよう、この日のために徹底管理されて、体調万全で臨む。
 どうしても緊張やストレスでお腹を壊したり貧血を起こしたりする子もいそうなものだけど、そこは幼い頃から英才教育を施されるべき、将来国の未来を担う貴族階級の子供達だけに、毎年そういうのは殆どないらしい。子供らしくないというか、さすがは貴公子や淑女のミニチュア版ということだろうか。

「じゃあ、私も、次に会うことがあったら、の宿題にしておくわ」

「なるほど? そうくるか。いいよ、次までに、僕が誰だか、考えておいてね」

 考えてわかるものでもないし、少ないヒントから調べておけってことかな。

「わかったわ」

 もうすぐ祝宴が始まるというのに、美少年は後ろ手に組んで植え込みのそばから、お預けを食らっている子供達が張り付くテーブルを避けて建物の方へ消えて行った。

 
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