異世界ってやっぱり異国よりも言葉が通じないよね!?

ピコっぴ

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保護児童(ただ飯食い)から公爵様の愛妾に昇格?

枕は違う意味で眠れない?

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 びっくりするくらい寝付きのよかったルーシェさんは、夜中に一度も、目覚めたりおトイレに立ったりしませんでした。たぶん、私の識る限り。

 ただ、あんなに「お父さん」のような発言をなさるのに、案外甘えっ子なのかもしれない……

 ルーシェさんが寝てるとダメなのか、なにか条件があって、それをクリアしてないからなのか、言葉は通じないままなんだけど、なにかぽしょぽしょ寝言を言って、きゅっと締めてくる。それに、私の頭のてっぺん辺りに頰をすりすりや、枕にしてない方の手の甲で私の頰を撫でたりするのがついてくる。

 抱き枕から、癒しの珍獣に格上げしたようだ。

 そして、子供と間違われる見た目に反し中味はお子様ランチな精神年齢だがキモイオバハン風味もある私は、「王子様」の意外な一面、隠し甘えっ子を見つけ、昼間の「お父さん」のような諭すように話すのとのギャップに萌えそうである。(……いや、本当は『公爵様』なんだけど、初めて会った時の印象が強くて、月を背に光り輝く、雷撃の『王子様』なんだよね。私の中のルーシェさんの印象は。絶対に口にしないけど。後、女優)


 頭や額にすりすりされるのは、私がにゃんこ達にするのと似たようなモンだと、さほど気にならなかったが、なんのツボなのか、手の甲で頰を軽く撫でられると、背中にゾワッと何かが走り、急に抱き枕珍獣でいるのが恥ずかしくなる。

 なるが、ルーシェさんは寝惚けているだけだし、ガッツリ抱え込まれてるから(くていいけど)抜けられる訳でもないし、温さにぼーっとしてきて寝落ちるまで、妙な居心地の悪さを感じる。

 一度落ちたら、朝までぐっすり眠れたけど、朝、小鳥さん達に起こされてから、ルーシェさんが目覚めて、妙な色気を振りまいて身を起こすまで、また居心地の悪さを感じなければいけなかった。

 女優にもなれるやろ、と思うお綺麗な顔、するすると流れる私よりやや短いが男性としては圧倒的に長い艶潤つやうる髪。
 翡翠の瞳を縁取る睫毛も長く、浄化クリーンの魔法なのかお貴族様の御用達美容液でも使ってるのか、ツヤツヤお肌。
 細身の印象なのに案外広い肩とそんなには目立たないけどちゃんとある喉仏。
 それらが対立しそうなのに違和感なく同居していて、本人は頓着してなさそうなところもまた、色気を醸し出してるというか、珍獣はそわそわして落ち着きません。

 でも、朝から眼福眼福と、心の中で合掌するのも忘れない。

 目覚めたときに、眼鏡を装着してるともっと麗しさを堪能出来るんだろうけど、同時に萌え死にするかもしれないからちょうどいいのかもしれない。

 漫画やアニメ、小説などの二次元、想像の世界にしかいなかった、女性めいてるのに違和感なく男性として存在してる不思議生物が、手の届く場所、なんなら密着して暖をとりながら眠る位置で、息をしているのだ。
 今までそこのヘンは意識せずに来たのに、二晩共寝しただけで急激に実感が湧いてきたのだ。

 まだ大丈夫。オバチャンは、若い公爵様のお色気には負けてないよ。いや、色気勝負じゃなくて(それはダントツ負けてる)、若い美貌の色気にノックアウトされてないよ、という意味ね。
 まだ、冷静に観察したり鑑賞したり出来てる。

 でも、毎晩こんな夜を過ごしてたら、勘違いしたりしそうで怖い……
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