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竜王国って、竜の国?
🚷25 久し振りのお風呂です!!
しおりを挟む個室には、小さなバスタブ(据置型)があって、便器替わりの蓋付きの壺が隣にある。
勿論、部屋の角で、壁から突き出た柱やバスタブに向かって置かれた戸棚なんかで、トイレ壺は廊下や室内からは見えないようになっている。
見えたら、囚人部屋みたいだよね。
マディラさんがお風呂を用意するから、軽く食事でもと言ってくれたけど、疲れ過ぎて食欲ないので断った。
「水芸で、お風呂溜められるかな?」
──ボクに任せてよ!
──私が温めるわ
ぴちょんとメラが張り切って、空気中の水分を集めて湯船に水を張り、その水がバスタブに溜まる過程でメラが熱を加えて行くので、日本の一般的な一つ穴式のお風呂のようにお湯が増えていく。
その様子も、マディラさんは大興奮だった。
「本当に、あなたが魔法を使ってる訳じゃないのねぇ。精霊に愛されてるのね」
なんだ。あそこでも、酒樽とかなにかを借りてこうすればお風呂に入れたんやん。
湯船に浸かれないから、よけいに疲れがとれなかったんだよね。
聞いてみたら、この国では、大樽や陶器のバスタブを置いた家は多く、みな生活魔法でお湯を沸かして湯に浸かる習慣はあるらしい。
評議国と、南の小諸島共和国連邦なんかは、川で水浴びや濡れ手拭いで拭くだけの地域もあるらしい。うう、あんまり行きたくないかも。
「そうね。こんなに精霊に愛されてて、****様の守護もある人には、よその国に行って欲しくないわねえ」
「んん?」
精霊に愛されてて、星竜の守護がある人は、よそに行って欲しくない、とは?
さっきの誓約魔法のせいだろう、星竜の加護については、私と二人きりでも口に出せないようだった。
「だって、有能な人は一人でも多くいてくれた方が、国のためにもなるでしょう?」
そうなの?
「あなたが居てくれるだけで、気ままな渡りの精霊も集まってくれるし、もし異世界の知識や技術がこの国でも転化流用出来るものなら尚更大歓迎よ?」
ああ、異世界定番メニューの知識チートってやつね。
「私は、まだ学生の未成年だから、そんな専門知識はないですよ?」
「技術的なことは、専門家に任せればいいの。アイデアを出してくれるだけでも、この世界にはなかった着眼点で、いい魔道具や創作魔法が生まれたりするものよ」
そう言えば、マクロンさんも、私の日本での生活や文化を聞きたがったなぁ。そういう事なのね。
囮様に格上げされた日も、薬の大量生産に繋がるアイデアを求めてきたんだっけ。
答える前に、囮生活に疲れてそれどころじゃなくなったけど。
彼は、今頃どうしているだろうか。
囮様がいなくなって、作戦は中止、町に帰って元の薬師魔法士に戻ってるのかな。まだみんなと分かれて半日だし、山中を捜し回ってくれてるのかな。
次話
🚷26 朝食──あそこよりかは素晴らしい?
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