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竜族の棲む深い森の中で
🔇3 野生の生き物は警戒心が強い?
しおりを挟む緑深く暗い森の中を行く人達や小径を続いてつかず離れず歩く人達は、私(達)を警戒しているのか、追尾しているのか。
一定の距離を保ち、決して近寄っては来ない。
彼らに気づいた頃から、小鳥やリスっぽい小動物達は姿を現さなくなった。
と言うことは、彼らが狩猟者の恰好をしているから生き物たちは警戒しているのか、彼らから殺気とか不穏な空気が発せられているのか。
──どっちもじゃない?
──隠遁し切れてないのはその辺だと思うよ
──気配に敏いからこそ、生き残れるでしょ
──竜族の縄張りでいい度胸だよね
世の中には、強力な武器や強化された身体で圧倒的な戦闘能力でもって、集団でドラゴン狩りをする団体もあるらしい。
たいていは、家畜を狙うとか気紛れに街を破壊する若い竜を撃退、退治するのが目的だけど、時には、竜燐や竜革、爪や角などの素材狙い、或いは騎竜にするために翼竜を生け捕りにする事もあるらしい。
「ドラゴンライダーって格好いいかも?」
──星竜様に乗せてもらったデショ?
──覚えてない⋯⋯のね
うん、覚えてない。勿体ないなぁ。
──この先、10分ほどで、青竜の縄張りに入るよ
──水辺や風の通るところが好きな種族で、青い湖沼の畔に出るから、岸辺で鱗拾うといいよ
──隠遁しとく?
──今、二体の雌が子育て、一体が卵温めてるから、刺激しない方がいいかも
「そっかぁ。魔力は向こうの方が圧倒的に上なんだよね?」
──もちろん
「じゃ、隠遁してもバレてると思うし、却って疚しい感じだから、このまま行く」
──わかった
──もし、竜族達が威嚇して来て、諦めて撤退する時には、隠遁術や『衝撃緩和保護魔素分解吸収』を使おうね
「お世話かけます。よろしくお願いします」
──世の中の精霊使いに聴かせてやりたい言葉だね
そ、そうなの?
──大概の精霊術士は、使役してるつもりみたいだし、たくさん契約してる人は、それだけ自分の魔力や魔法量を誇っているから、中には見下した人もいるのが現状
──精霊は友達って言う子供もいるけどね
──いつの間にか対当じゃない感じになっちゃう
──僕たちも守護して霊気や魔力を舐めさせてもらって綺麗になるから手を貸してるだけで、世界の構築構成力に影響なければ、人間の考え方はどうでもいいから放置してるけど
うん、聞かなかったことにしよう。他人は他人、私は私。
仲良くやっていけたらそれでいいや。
少しすると、みんなの言うとおり、密集していた木々が開け、明るい空間に出る。
星竜の眠っていた湖よりは小さいけれど、池と言うには大きい水源があった。
次話
🔇4 ヒツジクサ揺れる水源
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