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親鳥と雛
🔕3 闖入者?
しおりを挟む「えっ!? あの、なに? どう、は? ええっ?」
「萌々香? どうかした? 落ち着いて」
どうかした?じゃねぇわ!! なんで、乙女のベッドに上がってくんねん? おかしいやろ!?
──モモカ、落ち着いて
──他意はないから
──本当に、解ってないんだよ、非常識かどうか、が
──至って真面目なんだ、許してやって
いや、許せと言われてもね? おかしいでしょ?
人間じゃないどころか生物でもない精霊達に解ることが、マクロンさんに解らないなんて事ある?
──ん~、解らない、と言うより、思い至らない、が近いかな
──思いも寄らない? 悪いことしてるつもり全くないから
──ただ、モモカと一緒に寝たいだけじゃないかな
──悪気はないから
王さまが、人として感情やいろんな事が欠けて抜け落ちたまま成長したとか言ってたけど、ここまで?
評議国での彼と、別人みたいやん?
──根っこは変わってないよ
──こんな風に育った人間だったっていうエピソード記憶を封印してたから、蓄えた知識と、他人事や対岸の火事レベルでの一般常識に従って、マクロンという一個人を擬えてただけだったの!
──あれはあれで、本質は変わってないから
──嫌いになった?
いや、単に驚いただけで、頭がまわってないからまだちゃんと怒れてないし、嫌いにはなってないけど。本来なら腹を立てるか怖がるところだとは思うんだけど。
驚きすぎて、純粋に驚いてるだけな自分にも驚いてる。
「萌々香?」
心配げな表情で、覗き込むマクロンさん。
「マクロンさんのお部屋は?」
「⋯⋯この隣だけど」
「なんで、今、ここに居るの?」
「萌々香を守るためだよ」
「何から?」
「可愛い萌々香を掠いに来る悪い奴とか、城の中には滅多に出ることはないけど、魔族や魔獣の襲撃とか。
離れて休んでる間に、目の前で知らない世界の誰かに召喚されてしまったり掠われたりしたら、と思うと⋯⋯」
離れて眠る選択肢はないという事らしい。
「私を掠う人なんかいないって。評議国でも扱いひどかったでしょ」
「今日、僕を攻撃して脅してまで萌々香を欲しがった人達、居たよね?」
「あれは、特殊例やん。それに、捕まったでしょ? 普通、そんなに何度も召喚術に引っかからないと思うけど」
「萌々香は二度界渡りして女神の祝福を受けてるから、魔力はかなり高くなってる。召喚する側から検索されるかも」
「魔法士が世界一多い国なんでしょ? お城の警備だって万全なんじゃないの?」
「勿論、人間の国の中では一番安全な場所だろうね」
「だったら⋯⋯ 見張ってなくても」
「この世界に再び召喚されたみたいに、また、どこかに引っ張り込まれるかもしれない。その時にすぐに召喚術を解除しないと」
どうあっても、私から目を離したくないのね。
結局、根負けして(眠くてどうでも良くなったとも言う)マクロンさんの希望通り、目の届く範囲で寝ることになった。
ベッドを2つ並べる案も却下され、並んで手を繋いで寝ることに。
同じ部屋の別のベッドでも、目の届く範囲やんね?
──くっついてないと不安なんでしょ
──どうしても嫌じゃなかったら、一緒に寝てあげて
──番いになったら、そうして寝るもんなんでしょ?
だから、番いじゃないって。
次話
🔕4 あさちゅんてこういうの?
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