世界はいつも自分を中心にまわっている。

まるおさん

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プロローグ

1.夢

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 目の前の光景がおそらく夢なんだろうということは、なんとなく確信が持てている。
 身体全体の感覚としては、幽体離脱して肉体がないと思うくらい軽く、鈍い。
 その割に、「鈍い」と思える程度には在り物としての肉体を感じるし、どこからか聞こえているフルートの音色が、何かの楽曲だと判断できるくらい耳も冴えている。
 何よりも、目の前でメトロン星人が胡座をかいているという光景に数秒間思考が停止する程度には、普段と変わらない思考力を持てている。   
 以上の事から、この素っ頓狂な光景がまさか現実であるはずないという希望的心情も含んだ上で、夢であると確信した――。

 大学を卒業し、上京してから5年目のある日。今日も始まりから終わりまで何の変哲もない一日だった。
 いつも通り起床し、バイトに行き、疲れた身体を持ち帰って、風呂に入り、布団に入る。ルーティンワーク言われても間違いない、規則正しく代わり映えのない毎日の中の一日だった。
 しかし、今日に限っては眠りについた後で、現実では見たことのない景色が目の前のに拡がっている。最近、寝るときに夢はあまり見なくなっていたが、身体の感覚がおぼろげであることと、目の前の状況を考えてみると、久しぶりに夢を見ているのだろう。

 日本の特撮作品に詳しい人なら、知っている人もいるであろう名シーンの光景。夕暮れの光が射し込む畳敷きの安アパートの一室にて、卓袱台を挟んで自分と宇宙人が対面している。
 宇宙人は明らかに『異形』と呼べる形である。全体の半分以上を占める楕円形の縦に巨大な頭部。その頭部には不釣り合いに小さなフジツボのような目が上側に2つ付いている。下半分の外縁には四角い発光器官が一列ずつ並び、時折波打つように光っている。全体としては、丹塗りのような色の頭部対して、胴体は鮮やかな青色と、生物にしてはエキセントリックな配色になっている。もし、元ネタを知ることなくこの宇宙人と、初対面を迎えたならば素直に戦慄していただろう。

 そもそも、こんな状況が夢でなくてなんだというのか。
 仮にもしも現実であるならば、丸腰で侵略宇宙人の前に居るのだから命の危険さえ感じるだろう。    
 しかし、自分が特撮オタクで、何度となく画面の向こう側に見た風景であるため、精巧なジオラマを見ている気分にしかならない。
 おそらくこの後、宇宙人と交渉の末に変身、巨大化しての戦いとなる。自分が勝利する頃には枕元から聞き馴染んだアラームが鳴り、光の戦士からバイト戦士に再転職し、また変わらぬ毎日が始まるのだ。
 そう考えていると、
「そう悲観するものではない。それだけ君の世界は平和という事なのだから」    
 突然、宇宙人が喋り始めた――。
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