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魔導大会四日目
戦いの果て
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「明らかにキレが増してる」
一方、ベレスは自身の両手を見つめながら確かな成長を実感していた。
(消滅させた細い空間を干渉で無理やり押し出す……遠距離攻撃に対応するため編み出した魔法)
その発想自体はこの魔導大会が開催される前からあった。
しかし空間に働きかけることが出来るのは両手とその五指でしか適わず、指先以上に鋭く尖った部位は存在しない。
「太くても押し出せるがどうしたって射程が短くなっちまう。ずっと諦めてた、俺が求めていた魔法に到達することはできないってな……」
過去の葛藤を語るベレス、視線は足元の影に向けながら。
「でもお前と出会えたから、全力のお前を叩き潰したかったから俺は白鬼の前腕を使おうと持って来たんだぜ……」
ベルモンド王国の国宝として収められた白鬼の前腕
付与された魔法【人体接続】の魔法特性は『所持者の肉体との同化』
即ち、外付けされた甲冑がベレスの血となり肉となり――――両手となるのだ。
「ありがとうアルム。俺を更なる高みへ登らせてくれて……」
直後、足元の影が揺れ動くと正面から指先を突き出したアルムが出現する。
「そのままあの世まで登って良いぜェ!」
撃ち出される魔黒閃、ベレスは右手の平を正面――――そして背後に左手の平を向け、影武者の熱線も難なく消失させる。
「甘ェよ、今の俺にそんな小細工は通用しない」
見破られてしまった策に呆然とする彼に対し、ベレスは拳を握り締めた。
「――――甘いのはお前だっ!」
呆然とした様子から一転、再び影が揺れると日本の長槍が浮き上がって来る。
(影武者がひとつの動作しか後追い出来ないとは言ってない)
アルムは魔黒閃の放つ影武者を作る前に黒器創成で長槍を生成する影武者を用意していたのだ。
あとは後追い時間を設定、影の中から飛び出す勢いを利用するだけ。
「お前がすぐに詰めてくることは分かっていたからな、攻撃時間差の計算くらい簡単だった!」
勝ちを確信し、安堵の表情を浮かべるアルム。
二本の槍がベレスの腹を貫こうとした瞬間、空いていた左手で穂先を抉り消す。
「……⁉」
「片手だったら危なかったなァ!」
膨れ上がった炎ともに甲冑がアルムの左頬を強く穿つ。
「ぐはァ‼」
掠った程度で済まない骨を砕くような衝撃が脳を揺らす。
頬の皮膚と筋肉はすぐさま焼かれ、灼熱の炎は口内すら焼け跡を残した。
(がっ……ああっ……だから)
「最低、なんだよぉ!」
意識を刈り取られる直前で踏ん張り、アルムは右手に斧を作り出す。
「おおぉらあァ‼」
右脚から血を噴き出すことを気にも留めず、ありったけの力を拳に乗せるベレス。
ドゴォン!
人の身体を殴り飛ばしたとは思えない重々しい音の観客席まで波紋のように広がる。
今度こそ意識を刈り取られたアルムは両足が宙に浮かぶ。
右手に握った斧を掴んだまま――――。
ザシュ……!
ベレスの左脇腹に重い刃が通過し、不意の一撃に両手両膝を地面に着ける。
「あ、あ……はぁ?」
貫かれた右足を遥かに超える量の出血。
ベレスは斬り裂かれた傷口に触れ、ようやく事態の深刻さを理解する。
「ふははは……そうか、これは確かに最低だ」
「――――――――ごほッ、ごほォ……⁉」
幸運にも喉が焼かれたせいで上手く呼吸が出来ずにすぐに意識を取り戻す。
「あァ⁉ ああァ! 気持ち悪ィ……!」
しかし揺さぶられた脳震盪は収まっておらず視界は酷く歪み、激痛とめまいが彼を苦しめた。
「気分最低だろっアルム!」
おぼつかない足取りで尋ねるベレス。
「自傷覚悟の相討ち作戦……マジで効いたよ……」
血を流し過ぎた彼は意識が朦朧として今にも倒れそうだった。
「多分、これ以上やったら本当に逝きそうだけど……お前を殺せるなら惜しくないって本気で思ってんだ」
「はァ、はァ、はァ……」
意識はあり、白目を向いたまま地に伏せるアルム。
今の彼の耳には一体どれだけの言葉が聞こえているのだろうか。
「アルム=ライタード! お前はどうすんだァ!」
「……ははっ、なんも聞こえねェ。けど言いたいことは分かるぜ、ベレス=ダーヴィネータ」
ベレス以上に不安定な足取り、しかし彼は立ち上がり戦闘の意思を示す。
「ほんっと最高だよアルム……! 今日この日を、俺たちの命日に刻もうっ!」
両者は駆け出し、拳と剣を重ねる。
「あんな状態でよく戦えるわね、あのふたり」
タリオナは呆れを通り越し、恐怖に近いもの懐いた。
動くごとにドクドクと流れ落ちる血液
片腕の左右差だけでなく平衡感覚すら機能していない脳
しかし彼らの動きは一層洗練されているようにすら見える。
「アルム……」
ラビスは想い人の変わり果て、痛ましい姿に静かに涙を流した。
一方、ベレスは自身の両手を見つめながら確かな成長を実感していた。
(消滅させた細い空間を干渉で無理やり押し出す……遠距離攻撃に対応するため編み出した魔法)
その発想自体はこの魔導大会が開催される前からあった。
しかし空間に働きかけることが出来るのは両手とその五指でしか適わず、指先以上に鋭く尖った部位は存在しない。
「太くても押し出せるがどうしたって射程が短くなっちまう。ずっと諦めてた、俺が求めていた魔法に到達することはできないってな……」
過去の葛藤を語るベレス、視線は足元の影に向けながら。
「でもお前と出会えたから、全力のお前を叩き潰したかったから俺は白鬼の前腕を使おうと持って来たんだぜ……」
ベルモンド王国の国宝として収められた白鬼の前腕
付与された魔法【人体接続】の魔法特性は『所持者の肉体との同化』
即ち、外付けされた甲冑がベレスの血となり肉となり――――両手となるのだ。
「ありがとうアルム。俺を更なる高みへ登らせてくれて……」
直後、足元の影が揺れ動くと正面から指先を突き出したアルムが出現する。
「そのままあの世まで登って良いぜェ!」
撃ち出される魔黒閃、ベレスは右手の平を正面――――そして背後に左手の平を向け、影武者の熱線も難なく消失させる。
「甘ェよ、今の俺にそんな小細工は通用しない」
見破られてしまった策に呆然とする彼に対し、ベレスは拳を握り締めた。
「――――甘いのはお前だっ!」
呆然とした様子から一転、再び影が揺れると日本の長槍が浮き上がって来る。
(影武者がひとつの動作しか後追い出来ないとは言ってない)
アルムは魔黒閃の放つ影武者を作る前に黒器創成で長槍を生成する影武者を用意していたのだ。
あとは後追い時間を設定、影の中から飛び出す勢いを利用するだけ。
「お前がすぐに詰めてくることは分かっていたからな、攻撃時間差の計算くらい簡単だった!」
勝ちを確信し、安堵の表情を浮かべるアルム。
二本の槍がベレスの腹を貫こうとした瞬間、空いていた左手で穂先を抉り消す。
「……⁉」
「片手だったら危なかったなァ!」
膨れ上がった炎ともに甲冑がアルムの左頬を強く穿つ。
「ぐはァ‼」
掠った程度で済まない骨を砕くような衝撃が脳を揺らす。
頬の皮膚と筋肉はすぐさま焼かれ、灼熱の炎は口内すら焼け跡を残した。
(がっ……ああっ……だから)
「最低、なんだよぉ!」
意識を刈り取られる直前で踏ん張り、アルムは右手に斧を作り出す。
「おおぉらあァ‼」
右脚から血を噴き出すことを気にも留めず、ありったけの力を拳に乗せるベレス。
ドゴォン!
人の身体を殴り飛ばしたとは思えない重々しい音の観客席まで波紋のように広がる。
今度こそ意識を刈り取られたアルムは両足が宙に浮かぶ。
右手に握った斧を掴んだまま――――。
ザシュ……!
ベレスの左脇腹に重い刃が通過し、不意の一撃に両手両膝を地面に着ける。
「あ、あ……はぁ?」
貫かれた右足を遥かに超える量の出血。
ベレスは斬り裂かれた傷口に触れ、ようやく事態の深刻さを理解する。
「ふははは……そうか、これは確かに最低だ」
「――――――――ごほッ、ごほォ……⁉」
幸運にも喉が焼かれたせいで上手く呼吸が出来ずにすぐに意識を取り戻す。
「あァ⁉ ああァ! 気持ち悪ィ……!」
しかし揺さぶられた脳震盪は収まっておらず視界は酷く歪み、激痛とめまいが彼を苦しめた。
「気分最低だろっアルム!」
おぼつかない足取りで尋ねるベレス。
「自傷覚悟の相討ち作戦……マジで効いたよ……」
血を流し過ぎた彼は意識が朦朧として今にも倒れそうだった。
「多分、これ以上やったら本当に逝きそうだけど……お前を殺せるなら惜しくないって本気で思ってんだ」
「はァ、はァ、はァ……」
意識はあり、白目を向いたまま地に伏せるアルム。
今の彼の耳には一体どれだけの言葉が聞こえているのだろうか。
「アルム=ライタード! お前はどうすんだァ!」
「……ははっ、なんも聞こえねェ。けど言いたいことは分かるぜ、ベレス=ダーヴィネータ」
ベレス以上に不安定な足取り、しかし彼は立ち上がり戦闘の意思を示す。
「ほんっと最高だよアルム……! 今日この日を、俺たちの命日に刻もうっ!」
両者は駆け出し、拳と剣を重ねる。
「あんな状態でよく戦えるわね、あのふたり」
タリオナは呆れを通り越し、恐怖に近いもの懐いた。
動くごとにドクドクと流れ落ちる血液
片腕の左右差だけでなく平衡感覚すら機能していない脳
しかし彼らの動きは一層洗練されているようにすら見える。
「アルム……」
ラビスは想い人の変わり果て、痛ましい姿に静かに涙を流した。
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