死神と恐れられた俺、転生したら平和な時代だったので自由気ままな人生を享受する

オカさん

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魔導大会五日目

始まる準決勝戦

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 一対一ワオン・デュエル上位4名まで進出させた魔導大会四日目を終えて翌朝。

『大波乱を迎えた魔導大会も本日で幕引きっ! 準決勝、決勝を制し最後に優勝の座を獲得するのは誰だァ!』

『ではこれよりライザ=バルトール選手とライオス=シュレイン選手による準決勝戦第一試合を執り行います』

「優勝候補は出揃ったァ!」
「ベレスも全快とはいかないだろうし、去年みたいにはならないはずだ!」
「誰が勝ってもおかしくない!」

 観客たちはまだ見ぬ波乱に期待を膨らませた。

(認めたくはないがベレスを消耗させてくれたのは思いがけない幸運……)

甲冑かっちゅうの魔法特性と警戒すべき空裂破断まほうは把握済み。まあテイバンが勝ち上がってくれるのが理想だが……)

 ライオス、ライザともに次の対戦者に意識を向ける。

「双方、恥じない戦いを……戦闘開始!」

「「まあとりあえず――――目の前の敵を叩き潰すっ!」」

 試合開始の合図とともにお互いに刺すような視線を向けながら走り出す。

「【岩塊の巨腕ジャン・スティーム】」「【衝撃インパクト】」

 ライザは両腕に硬化させた岩の装甲を纏う。
 ライオスは自前のハンマーを両手に構え、それぞれが力の限りに叩きつける。

 凄まじい衝撃波が会場を揺らし、優勝候補同士の熾烈な戦いが幕を開けた。

 ***

 一方その頃、急患で運ばれたアルムは未だに意識が戻らないままだった。
 とは言え体力を奪い過ぎない程度に治療したお陰で危篤状態という訳ではない。

「アルム……」

 ラビスは個室に運ばれた彼に付き添い、ほとんどの時間を病室で過ごす。

「お前、ずっと付きっきりだろ。アルムの家族と一緒に出掛けたらどうだ?」

 そして意外なことにセロブロも朝から病室に訪れ、彼が目覚めるのを待っていた。

「ううん、私はアルムが起きるまでここに居ます。セロブロ君こそ王都を歩いたり試合を見に行ったほうが良いんじゃないですか?」

「テイバンたちの試合にそこまで興味は無い。ならば啖呵を切っておきながら敗北した平民の感想を聞き出したほうが幾分かマシだ」

 心配など微塵もしていない、本人はそう振る舞っているつもりだろうがその全てが嘘偽りであることが透けて見える。

「分かりました。私でよければ紅茶を淹れますけど飲みますか?」

「それじゃ頼む、できるだけ美味しく淹れてくれよ」

 無論、それを口に出すほど彼女も子供ではない。
 セロブロにも伺い、彼女は静かに椅子から立ち上がった。

 彼は窓のそと、街道に映し出された試合映像に視線を向ける。

 司会の声こそ聞き取れないが映像を凝視する観客たちの反応。

「あっ、あ……」

 そして白目を向いて地面に横たわるライオスの様子から勝者が誰か理解した。

『ライオス選手の強烈な攻撃を凌ぎ切り、カウンターで止めを刺したライザ選手! 決勝戦進出です!』

 一足先に決勝の舞台に駒を進めるライザは鍛えられた右腕を大きく挙げ、歓喜の声に飛び交った。

「流石ですライザさん!」「ライザ君やったァ!」「お見事です……!」

 テイバン、スベン、カルティアなどエンドリアス学園の生徒たちは勝利を喜ぶ。

「ああァ……ライオス……」「あと少しだったのによぉ」

「あんたなりに頑張ったんじゃない、お疲れ様」

 グレニア学園の生徒たちは彼の敗北を悔しがり、タリオナは称賛を送る。

「ライザ君は決勝戦に進みました。惜敗したアルム君の分まで頑張ってください」

「はい! 必ずや勝利を収めてみせます!」

 カルティアは戦いに出向くテイバンを送り届けた。

「まさかヤツの試合で緊張する日が来るとはな」

 バリウスは開催国兼優勝国の面子に賭けて絶対に負けられないと焦りが見られる。

「ご心配には及びません。ベレス殿なら陛下に優勝を届けるでしょう」

白鬼の前腕フロム・ガントレッドは持たせたんだろうな? 最早、国宝の扱いを気にしている場合ではないからな」

「……勿論、ベレス殿にはそのように伝えております」

 側近の声が僅かに震えていた。

『フィールドの補修も終わり迎える準決勝第二試合!』

『次にテイバン=ビルフォート選手とベレス=ダーヴィネータ選手の試合を執り行います』

 サイベルたちの告知とともに両選手がフィールド内に足を踏み入れる。
 深刻なダメージを負った彼がどんな様子かと観客たちの視線が注がれた。

「おい、どういう事だ⁉」「昨日の甲冑を身に付けていないぞ!」

「はァ⁉ 伝えたのではなかったのか!」

 疑いたくなる光景にバリウスは問い詰める。

「た、確かに伝えましたっ!」

「伝えただけで着けてなければ意味ないだろう!」

「お、仰る通りです……」

 ぐうの音も出ない正論、しかし側近の彼にそれ以上のことが出来る筈もなかった。

(あれは対アルム専用に持ち込んだだけだ。まあ使用許可は下りたけど……)

「使わなくとも勝てる相手、なら必要ない」

 彼は遠く離れたテイバンに嘲笑的な視線を向ける。

「もしかしてと思ったけど舐めやがって……! 絶対倒す!」

 彼の考えを感じ取ったテイバンは凍てつくような冷たい眼差しで応える。

「双方、恥じない戦いを……戦闘開始!」

 因縁の戦いの火蓋が切って落とされた。
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