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魔法学園入学
22話 いつかのウサギさん
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酔ったレイナからラビスから引き離し、俺たちは足早に家から出て行った。
入学式から数時間が経ち、辺りはすっかり暗くなって王都に夕日が差し込む。
「悪いな、せっかく相談に乗ってくれたのに最後は迷惑かけて……」
まさか同級生の前で酒を飲むような奴が身内に居るとは……素面になったら説教だな。
「謝らないで。確かに驚きはしたけど全然嫌じゃなかったよ」
「そう言ってくれると助かる……」
意図せず会話が途切れ数秒の沈黙が訪れる。
「……ねえアルム、魔法を見せてくれない?」
「ここで? 明日じゃダメか?」
無断の魔法使用は処罰の対象だ。入学初日から問題行動は避けたいところ。
「うん、駄目かな……?」
彼女の様子からどうしてもという感じでは無さそうだが、マインの相談に乗ってくれた手前突っぱねるのも薄情というものか。
「派手なものじゃなくても良ければ……」
「うん、アルムの魔法が見られるなら何でも良いよ」
俺は周囲を確認してから黒器創成の構築式を展開し、短剣を作り出す。
「これが、アルムの魔法……」
短剣を手に取るとなにかを確かめるように刀身を撫で、遠くを眺めるような視線を向ける。
「何かおかしかったか?」
「ああ、ごめんね! ありがとう、凄い魔法だね……」
短剣を見るには異様な様子に声を掛けると慌てて短剣を返す。
「欲しいなら上げるけど?」
試しに提案するもラビスはゆっくり首を横に振る。
「大丈夫、もう貰ったから……」
「それなら良いけど」
どうやら彼女は魔法に興味があっただけのようだ。
そりゃそうだ、短剣が欲しい女子なんて居ない――――どこかで同じ結論に至ったような……?
「すぐそこだからここまでで良いよ、送ってくれてありがとねアルム。また学園で会おう!」
「ああ、また明日な」
どこかで至った結論を思い返そうとしたが、別れを切り出すラビスへ手を振ることを優先する。夕陽で照らされて金茶色に輝く彼女の髪が見えなくなるまで手を振り続けた。
***
「ただいま帰りました!」
ラビスは宿舎の扉を開けると帰宅の合図を叫ぶ。
「お帰りなさいラビスちゃん。入学式はどうだったんだい?」
受付の奥から強気な中年女性がラビスを出迎える。
「色んな施設や人が居てすごく楽しそうでした。それに、友達も出来ました!」
「楽しい学園生活が送れそうなら良かったよ! 夕食が出来たら呼ぶから待っててな!」
宿舎のオーナーは夕食の支度をするため奥へ戻る。ラビスも階段を上がって自室へ向かった。部屋のドアを開けて制服の紐リボンを解き、制服をハンガーに掛けるとそのままベットに身を預ける。
「ウウゥン――――ハァ!」
枕を抱きかかえたまま膝を折り曲げて丸く縮こまり、背筋を伸ばして仰向けになる。
「すっごい緊張したぁ。入試試験でまさかとは思ったけど、学園でアルムと再会できるなんて。背も高くなってたし、大人びてカッコ良くなってたし……」
興奮した様子で足をバタバタさせる。
「でも、憶えてくれなかったなぁ……」
しかし落胆の声を漏らして動きを止める。
「一緒に居た時間なんてほんの僅かだったし、仕方ないよね……でも、助けられたほうは忘れるわけないじゃん! 意識しちゃっても仕方ないよね!」
誰かに共感を求めるような言い方をするラビス、だがこの部屋には彼女一人であり、ただの独り言にしかならない。
「……これを見せたら思い出してくれるかな」
彼女は机に置かれたウサギ型の結晶細工を手に取る。多少の傷や欠けた部分はあっても十年前とそう変わりなかった。
「思い出してもらえる権利なんか、今の私には無いか……」
結晶細工を枕元に置いて、彼女は眠りに就いた。
入学式から数時間が経ち、辺りはすっかり暗くなって王都に夕日が差し込む。
「悪いな、せっかく相談に乗ってくれたのに最後は迷惑かけて……」
まさか同級生の前で酒を飲むような奴が身内に居るとは……素面になったら説教だな。
「謝らないで。確かに驚きはしたけど全然嫌じゃなかったよ」
「そう言ってくれると助かる……」
意図せず会話が途切れ数秒の沈黙が訪れる。
「……ねえアルム、魔法を見せてくれない?」
「ここで? 明日じゃダメか?」
無断の魔法使用は処罰の対象だ。入学初日から問題行動は避けたいところ。
「うん、駄目かな……?」
彼女の様子からどうしてもという感じでは無さそうだが、マインの相談に乗ってくれた手前突っぱねるのも薄情というものか。
「派手なものじゃなくても良ければ……」
「うん、アルムの魔法が見られるなら何でも良いよ」
俺は周囲を確認してから黒器創成の構築式を展開し、短剣を作り出す。
「これが、アルムの魔法……」
短剣を手に取るとなにかを確かめるように刀身を撫で、遠くを眺めるような視線を向ける。
「何かおかしかったか?」
「ああ、ごめんね! ありがとう、凄い魔法だね……」
短剣を見るには異様な様子に声を掛けると慌てて短剣を返す。
「欲しいなら上げるけど?」
試しに提案するもラビスはゆっくり首を横に振る。
「大丈夫、もう貰ったから……」
「それなら良いけど」
どうやら彼女は魔法に興味があっただけのようだ。
そりゃそうだ、短剣が欲しい女子なんて居ない――――どこかで同じ結論に至ったような……?
「すぐそこだからここまでで良いよ、送ってくれてありがとねアルム。また学園で会おう!」
「ああ、また明日な」
どこかで至った結論を思い返そうとしたが、別れを切り出すラビスへ手を振ることを優先する。夕陽で照らされて金茶色に輝く彼女の髪が見えなくなるまで手を振り続けた。
***
「ただいま帰りました!」
ラビスは宿舎の扉を開けると帰宅の合図を叫ぶ。
「お帰りなさいラビスちゃん。入学式はどうだったんだい?」
受付の奥から強気な中年女性がラビスを出迎える。
「色んな施設や人が居てすごく楽しそうでした。それに、友達も出来ました!」
「楽しい学園生活が送れそうなら良かったよ! 夕食が出来たら呼ぶから待っててな!」
宿舎のオーナーは夕食の支度をするため奥へ戻る。ラビスも階段を上がって自室へ向かった。部屋のドアを開けて制服の紐リボンを解き、制服をハンガーに掛けるとそのままベットに身を預ける。
「ウウゥン――――ハァ!」
枕を抱きかかえたまま膝を折り曲げて丸く縮こまり、背筋を伸ばして仰向けになる。
「すっごい緊張したぁ。入試試験でまさかとは思ったけど、学園でアルムと再会できるなんて。背も高くなってたし、大人びてカッコ良くなってたし……」
興奮した様子で足をバタバタさせる。
「でも、憶えてくれなかったなぁ……」
しかし落胆の声を漏らして動きを止める。
「一緒に居た時間なんてほんの僅かだったし、仕方ないよね……でも、助けられたほうは忘れるわけないじゃん! 意識しちゃっても仕方ないよね!」
誰かに共感を求めるような言い方をするラビス、だがこの部屋には彼女一人であり、ただの独り言にしかならない。
「……これを見せたら思い出してくれるかな」
彼女は机に置かれたウサギ型の結晶細工を手に取る。多少の傷や欠けた部分はあっても十年前とそう変わりなかった。
「思い出してもらえる権利なんか、今の私には無いか……」
結晶細工を枕元に置いて、彼女は眠りに就いた。
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