悪役令嬢だと気づいたので、破滅エンドの回避に入りたいと思います!

飛鳥井 真理

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第一章 目覚めた記憶

第20話 特権?

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「それから、学院ではフレデリック様が気をつけてくださるとのことです。ご一緒に行動なさってくださいね」

「分かりましたわ……って、やっぱり駄目ですわっ」

「……お嬢様、油断大敵だと、先程確認したばかりですわよね?」

「アリスの言う通りですわ。ここは我が儘おっしゃらずに……」

「違いますわよっ。わたくし達、まだそれぞれの婚約者の誤解を解いてないのです。今、一緒に行動するのは不味いのですわ!」

 あぁ成る程と言うように二人も頷く。

「そういえばそちらの問題もありましたわね。対外的にお嬢様を追ってフレデリック様が転校なさったように見えてしまう……でしたか?」

「ええ、そうなんですのっ。その上ほら、先程、校門前で悪目立ちしてしまいましたでしょ」

「婚約者の方々には、今日にでも連絡が行きそうですわねぇ。それで不貞を疑われる可能性があると…… 例の男爵令嬢の対策もありますのに、何故そんな駄目押しをなさったのです!?」

「これは不幸な事故ですわっ。わたくしだってそんなつもりはありませんでしたわよ。全力で回避しようと逃げましたのに、捕まってしまったと言うか……たまたまそれが校門前で……全てが成り行きで仕方なくですもの!」

 ヴィヴィアンどうしてもが避けられなかったのだと力説すると、二人も仕方がないというように渋々納得してくれた。

 納得はしてくれたのだが、彼女達を説得できても根本的な解決にはなっていないのは変わらない。



「これはお二方に説明するのが面倒なことになりそうですわねぇ、セレス」

「ええ、本当に。誤解が誤解を生んでややこしく拗れそうな予感がしますわね、アリス」

 頭が痛いと言うように額に手をやり難しい顔をする二人。さすが双子だけあって、そうやって悩む仕草もぴたりとシンクロしている。

「……ですからその誤解を解くまでは、いいのですけど駄目って事なのですわ!」

「成る程……分かりたくないですけれどもよく分かりましたわ、お嬢様」

「急いで対策を話し合うはずでしたのに……その前にフレデリック様が彼女に影をつけて監視すると言う妙案を思いつかれましたでしょう? それが素晴らしかったのと、ちょうどそのタイミングで寮に着いてしまって、ついうっかりもう一つの方を忘れてしまったといいますか……」

「まあ、それは仕方ないですね。ついうっかりはお嬢様の専売特許のようなものですし」

「……っ! わたくしだって忘れたくて忘れているわけではありませんわよっ」

「ええ、ええ。とてもよく存じ上げておりますわ、お嬢様。ですから、ついうっかり……なのでしょう?」

「アリス!」

「まあまあ、お嬢様。落ち着いてくださいませ。その対策も早急に考えると致しまして、まずはフレデリック様陣営と話し合った結果を先にご報告させてくださいませ」

「はぁ、分かりましたわ、セレス。……何ですの?」



「はい。まずは、精霊契約に力を注がれてはどうか、というご提案でございました」

「精霊契約?」

「ええ。魔法学院では一定の資格を満たした希望者に限り、契約の手助けをしてくださるそうです。一般的には知られていないですが、この学院の生徒の特権だそうですわ」

 精霊契約にも色々な種類があるそうだが、今回目指すのは、その中でも運要素が強く特に難しいといわれている守護精霊との契約。

 守護精霊とは、契約者の一生涯のパートナーとして困難にある時にも寄り添い、守護してくれる存在……魂の伴侶とも言うべきものらしい。

 契約を結び加護を授けられると幸運値が上がったり、新しい魔法を覚えられたりと恩恵を受けることが出来るのだとか。

「まあっ、幸運値が!?」

「今のお嬢様に一番必要なものかと」

「その通りでしてよっ。是非、成功させたいですわ!」




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