悪役令嬢だと気づいたので、破滅エンドの回避に入りたいと思います!

飛鳥井 真理

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第一章 目覚めた記憶

第25話 条件とは?

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 納得できませんの……だってわたくしの性格について、裏表なく嘘がつけずにすぐ顔に出るというアリスの説得には絶大な効果があったようですが、それって全然褒めてませんわよね!? むしろ、貴族令嬢としては落とされていますわっ。
 やはりフレデリック様がおっしゃったように、わたくしってそんなに感情がバレバレなんですの?



「……分かりましたわ。信じてもいいでしょう。でも、ひとつ条件がございますの。叶えていただけますかしら?」

 それでも、無条件で信じていただけるって訳では無いのですね。

 今すぐ色々と反論したかったのですが、ここは涙を呑んで大人な対応をしましょう……貴族令嬢らしく、冷静にね!

「こほん。それで条件とは、何ですの?」

わたくし、この魔法学院に転入したいと思っていますの。その手助けをお願いしたいのですわ」

「まあ。転入……ですか?」

「ええ。それがお二人のことを信じる条件です」

「しかし、リリー。こちらに来られると貴族としては色々と不都合もあるかと……社交なども疎かになってしまいますし、貴女の将来のためになりませんよ」

「いいのです。フレデリック様のいない学園に通っても仕方ありませんもの」

「ああ、そんなに僕のことをっ……嬉しいよ、リリー!」

「フレデリック様!」

 感極まって互いの名を呼び手と手を重ねると、紳士淑女としては少し近い距離で熱く見つめ合う恋人達。

 あ、甘ったるいですわ……。

 お二人の周りにハートが飛び散り、ピンクのオーラが溢れるのが可視化できそうです。

 ……もう、そんな条件などなくともこのお二人、既に仲直りしているんじゃありませんの……わたくし、必要ですの……これ?



「でも、確か魔法学院では、途中入学は認められていなかったように記憶しておりますが……?」

「ええ、分かっておりますわ。ここは入学にも権力が及ばない場所ですし。ただ、転入可能となる裏技があるらしいんですの」

「そう、なんですの? フレデリック様はご存知でして?」

「いえ、知らなかったですね。つまり、その裏技を調べるのが条件って訳ですね?」

「ご名答ですわ」

 皆まで言わずとも正確に意図を読み取ってくれた婚約者にコクリ、と満足げに頷く。

「分かりました。他でもない貴女の頼みです。何とかしましょう」

「まあ、ありがとうございます。わたくし達の為に頑張ってくださいませね。楽しみに待っておりますわっ」

「ええ、期待していてください!」

「ふふふっ、勿論ですわ。それではフレデリック様、ヴィヴィアン様。今日は有意義なお話が出来て嬉しゅうございました」

「ええ、こちらこそ。誤解が解けて良かったですわ」

「そうですわね。では、この辺りで失礼致しますわ。ごきげんよう!」

 そう言って輝かんばかりの笑顔を振りまくと、意気揚々と帰っていった。




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